柴田励司の人事の目

Indigo Blue メールマガジン

Vol.628 潮目を引き寄せること

“潮目”はやってくるものではなく、引き寄せるものです。

 

今年の日本シリーズは面白かったですね。小さな“潮目”がくるくる変わる試合の連続。

大きな潮目の変化は第三戦の最終回、大谷翔平選手のサヨナラ安打でした。第一戦で

絶対的エースの大谷投手の先発で負けた日本ハムが広島の精神的支柱である黒田投手が

先発した試合をひっくり返した。しかも大谷の安打で。多くの方が指摘するように、

これで大きな流れが日本ハムに移りました。

 

但し、その前の西川選手の2死からの盗塁。これが潮目を変えるきっかけだったと

思います。2死からの盗塁。攻めています。この攻めの気持ちが潮目を引き寄せたのだ

と思います。(私的には西川選手がMVPです。)

 

良くないことが続くと、誰でも気持ちの上で守りに入ります。いけませんね、

“潮目”を変えるきっかけを自ら遠ざけることになります。

 

私自身、この9月から10月にかけて、いろいろなことが起きたので、無意識のうちに

“守り”に入っていたと思います。そうなると元気レベルが下がり、生産性も落ち、

創造性も下がり、ただ仕事をしているだけ・・・という感じだったと思います。

(といっても傍目にはわからなかったと思いますが)

 

ところが、あることをきっかけに「最悪なるもの」が底を打った音を感じました。

“あ、どつぼ期が終わった。明日から自分らしく動こう!”と思いました。

 

そう思った翌日、驚くことが多発しました。まず朝一番の打ち合わせで、ある方から現在

出光美術館で開催中の江戸時代の禅僧・仙がいの展覧会のパンフレットを見せてもらいました。

これが念押しになりました。「杭に結わかれた犬」の絵が目をひきました。良く見ると

杭が地面から離れています。この犬はもはや結わかれていないのです。しかし、動かない。

結わかれていることに慣れてしまうと、それが外れても動けないという象徴です。

(管理されることに慣れてしまうと、管理が解けても自分では動けなくなってしまう。)

 

自分を縛っているものは自分である。

 

このことを念押しされた感がありました。その打ち合わせを終えて、“やはり、自分らしく

動こう!”と思ったその矢先から、いろいろな人からの連絡が入り始めました。

 

マーサー時代の知人の韓国人から「OTを韓国でやりたいので教えてくれ」、とある経営者の

方が「近くまで来たので寄ってみた」(そのときはお会いできなかったのですが、

次にお会いする予定を立てました。)、とある知人からおよそ5年ぶりのメール。

「リストラで奔走しているが落ち着いたら会いたい。」これ以外にも懐かしい方との

面談が続き、まあ、いろいろな人が集まってきました。いつもの私の感じです。

 

あとはこれまでと同じで“攻める”。失敗しても、転んでも“攻める”。自分の意思で

攻めていれば疲労はしますが、疲弊はしまえん。自分が動けないことを誰かのせいに

して自分を縛っていると疲弊します。この当たり前のことをやれる気力が戻ってきました。

 

みないろいろな事業を抱えて生きているはずです。しかし、それを理由に自分の行動を

制限する必要はありません。先のことを考えすぎたり、失敗したら・・・と思うと

動けなくなります。“いっちょ、やってみる”、それが潮目を引き寄せます。

 

 

おまけー1:「江戸時代の禅僧・仙がいの展覧会」です。時間を見つけて行こうと思っています。

 

http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/exhibition/present/

 

 

おまけー2:とあるインタビューで“電通過労自殺”の件を聞かれました。私が思うに

中高年の男性の「時間を守る」概念が“始めの時間だけ”であることが問題だと思います。

「時間を守る」は終わりの時間も含まれるべきです。あとは上司が自分の忙しさを

伝染させる働き方をしていること。これらに尽きます。

 

おまけー3:とあるお店。メニューに「グレープサワー」とありました。

“お、ぶどうサワーか”と思って注文したところ、違うものが出てきました。

 

ま、予測できたといえばできましたが。

 

 

Vol.627 靴の中の小石

 

靴の中に小石が入っていると全力で走ることができません。どんなに些細なことで

あっても、気になることがあるのなら、早めに“解消”しておいた方が良いでしょう。

“気になっている”状態を長らく放置してはいけません。リーダーとしての

パフォーマンスに影響が出ます。

 

“あれどうなってるかな。”

“あの人、どう思ってるかな”

“ちゃんとやってるかな”

 

問題そのものがなくなることはないでしょう。それでいいんです。何らかのアクションを

取ることで、気が晴れればいいのです。小石は消えます。

 

時間の経過と共に小石は大きな石になります。自分の中での“期待値”があがってしまい、

その期待が裏切られたときのインパクトが大きくなります。“ちゃんとやってるかな”

については特にそうです。自分が期待するアウトプットになっていないときに、

そうじゃないかと思ってたんだ!と感情的になりがちです。言わなくてもいいこと

まで言ってしまうこともあります。

 

そこまでになる前に一声かける。それで失敗を未然に防いだり、相手との関係性を

悪化させるほどの言い様に展開することを避けられます。

 

但し、これは日常的に小石の存在を感じている人にはお薦めできません。そういう人が

自分の気が晴れることを優先して確認をし始めると超マイクロマネジメントになります。

周囲としてはたいへん仕事がしにくい状況になります。

 

確認の頻度が多すぎるのはダメです。小石を発生させているのは自分です。日常的に

小石を自覚しているとしたら、周囲の問題と言うよりも、自分のやり方、心のもちようを

疑った方が良いでしょう。

 

周囲のメンバーに対してどのような気持ちで接しているか。“どうせできないだろう”

と思っているのか、それとも“なんとか成功してもらいたい”と思っているのか。

“この人はデキる”と思っているのか、それとも“デキない”と思っているのか。

この見方ひとつでその人に対する気持ちが変わってきます。

 

“どうせできないだろう”“デキないやつだ”と思っている時点でその対象者の存在

そのものが小石になっています。その人がいる限り、小石として認識しています。

 

しかし、よく考えてみてください。“デキない”と思われたくて仕事をしている人はいません

。誰もが貢献したいと思っているはずです。あなたのやり方とは違うかもしれません。

しかし、あなたのやり方が完全無欠ということはありませんし、そもそも経験豊富な

あなたと同じクオリティのアウトプットを出せるわけがないのです。価値の受益者

である顧客が許容できるクオリティであればいいと割り切った方がよいのです。

 

最も良くないのはあなたのやり方や期待するクオリティについてきちんと話すことなく

求めて、それでNG評価をすること。これだと小石の感覚が常にあります。ストレスも高まり、

イライラして、周囲からすると“一緒に仕事をしにくい”存在になります。

 

メンバーとの関係性は時間の経過とともに悪くなる一方です。当事者意識があり、

それなりの力量がある人から抜けていきます。最終的には“言わないと動かない”

“言ってもできない”人の集団を率いることになります。

 

小石を感じたら気軽に確認し、気軽に小石を消す。そういう姿を目指したいですね。

 

ちなにに小石の存在を感じたときに、確認ではなく自分のストレス解消で気分を

晴らすというやり方もあります。ストレスが高まると自分の器が小さくなり、

ふだん気にも留めないことが小石化することがあります。リーダーは良く寝て、

良く笑い、よく運動し、うまいものを食べる。それがチームのためになります。

 

 

おまけー1:福岡行の飛行機がターミナルに引き返しました。

“乗せてはいけない荷物を乗せてしまったのでターミナルに戻します。”とアナウンス。

何を乗せたんだろう?

 

 

おまけー2:今年の日本シリーズはおもしろい!試合の潮目の変化がよくわかります。

初戦を大谷投手で日ハムが落として潮目は広島に。ところが第3戦でその大谷がサヨナラ安打

。第5選でデッドボールからの二死満塁でサヨナラ本塁打。完全に潮目が日ハムに。

さて、この後どうなりますか。

 

おまけー3:“スパイ”のことを“スパイダーマン”と言う人あり。

文脈的に完全にわからない話になりました。

 

 

 

Vol.626 誰もが事情を抱えている

鳥取地震で被害に遭われた方々へ、お見舞申し上げます。地震の3日前に倉吉市

おりましたので、他人事ではありません。見覚えのある街並みが被害に遭っています。

お会いした方々の安否が気になります。一日も早い復興を祈念しています。

 

さて、今日のテーマは「誰もが事情を抱えている」です。

 

“家庭”には代わりの人間がおりません。早退した方がいい、今日は会社を休んだ方がいい、

と思ったときには、自分の最初の心の声に従いましょう。“一大事”とまでもいかなくても、

あなたが動かないといけない場合には家庭を優先すべきです。

 

“仮に仕事に穴をあけたとしても、挽回すればいいのです。家庭は挽回が効きません。

あなたが会社組織に所属しているのであれば、必ず誰かがフォローをしてくれるはずです。

心配いりません。個人事業主の場合には穴をあけたことでその仕事を失うかもしれませんが、

それも長い目で見て挽回すればいいのです

 

実際には“穴をあけた”と思っているのは自分だけで、周囲がそう思っていないことも

多々あります。

 

問題を抱えていたとしても、その問題が表面化していないときに抜群の仕事をしている

人は周囲の目が違います。周囲から信頼される存在になっていますので、家庭の事情が

表面化したときには周囲がそれを受け入れてくれます。突然休んだとしても“穴をあけた”

とは誰も思いません。むしろ心配します。

 

仕事をしているときに100%の力を出していれば問題ないのです。

 

いけないのはなにかあったら責任がとれないから・・・として自ら仕事を限定的にしたり、

周囲に対して必要以上に気を遣うことです。

 

そういう行動をとっていると“事情がある人”という認識になり、直接口に出すことは

ないでしょうが、できれば一緒のチームには入れないでほしいと思われる存在に

なってしまいます。それは避けたいですよね。

 

気にすることはありません。みないろいろな問題を抱えて生きているものです。親のこと、

子供のこと、配偶者のこと…等。問題の深刻さには個人差があるでしょうが、気になる

という点では同じ。何の心配なく仕事に打ち込める人の方が少ないはずです。

 

大事なことは事情に負けて仕事をする気持ちが弱くなることです。「意識の壁」を

つくって、仕事中は仕事に専心しましょう。気にしながら仕事をするくらいなら、

思い切って仕事を休んだ方がいいです。仮に事情が深刻化して、普通に出勤がままならない

ことになることもあるでしょう。その社員が余人をもって代えがたい社員であれば会社側が

工夫をするものです。在宅勤務ということもあるでしょう。

 

ちなみに、これが毎日なのが、子育て中のワーキングマザーだと思います。

 

こうした事情を理由に報酬を一定割合削減している会社が多いのですが、私は反対です。

仕事の成果は職場における労働時間で決まるものではありません。事情があって早退したり

、休んだりしている社員、または時短で保育園の送り迎えをしている社員の多くが仕事の

質を落とさないために、必要とあらば深夜早朝、休日などに自分の時間を投入しています。

しかも、その分の手当を請求していません。

 

ホワイトカラーエグゼンプション制度の解禁を引き続き求めます。

 

 

おまけー1:「働き方改革」の主要課題の一つが非正規問題ですが、なぜ、非正規社員

たくさんいるか、これは、ひとたび社員にしてしまうと「解雇」が難しいからです。

「金銭解雇制度」の導入を棚上げにしたままでは議論が空転します。

(こんなことはわかっているはずなのに・・・といつも思います。)

 

おまけー2:フリスク入りのマスクを試してみました。確実に効きます。眠気は完全に飛びます。

 

http://www.suzuran-corp.co.jp/frisk_mask_html/

 

 

おまけー3:ココリコの遠藤のライザップのCMを見て、

なんとなく悔しい想いをしているのは私だけではないはず。

 

 

 

Vol.625 メンバー構成が織りなすプラスとマイナスのパワー

メンバー構成が織りなすプラスとマイナスのパワー。人事異動はこの点も考えて実行する

ことをお薦めします。

 

6年前に開発した体験型ケーススタディ(Organization Theater:OT)は有事の疑似体験

プログラムです。ケースの題材は「小が大を飲み込む合併」「自社製品による死傷事故」

「契約不履行問題」「親会社による自社売却」「買収した海外子会社が抱えるトラブル」等、

どうなるかわからない中で多くの対立課題への対応が求められるものばかりです。

おかげ様で日本を代表する企業で「次世代リーダー育成プログラム」のコアメニューに

なりつつあります。

 

こんなことがあります。個々人は大変優秀。ところが、そのメンバーでチームを構成したところ

、チームとしてのパフォーマンスは期待以下。ケースに登場する利害関係者の反応も「×」。

メンバー構成的にはあきらかに失敗です。一方で個々には課題があるメンバーですが、

チームとしては思いがけず良いチームパフォーマンスを上げる。

 

この違いは何か。私はチームの総合力は個々の力量の積算ではなく、相互に影響を与え得

る要因により決まると思っています。相互に影響を与える要因としては「役割構成」

「組織感情」「特異な個性」があると思います。

 

まず、チームがチームとして機能するには「Driver」「Follower」「Enabler」という

3つの役割がそれぞれ機能することが必要です。

 

「Driver」とはチームの先頭に立ってぐんぐん引っ張る役割です。役職・年齢関係ありません。

指示を待たずに自ら方向性を見極め動く存在です。「Follower」は集団として決まった

方向性に“ついていく”役割です。「Follower」の相応な動きが組織に安定をもたらします。

「Enabler」とは「Driver」や「Follower」が動きやすいような環境を整える役割です。

時に縁の下の力持ち、時に“ミスのフォロー”、時に“感情のはけ口”。こういう動きをします。

 

この3つの役割がきちんと構成されるとチームがチームとして機能します。特にEnablerの

働きが重要です。Enablerが機能しているとチームのストレスが軽減されます。更には内外の

状況に応じて、同じ人が「Driver」になったり「Follower」になったり、役割を変えることが

できると変化対応力が働き、より強いチームになります。

 

お互いにどういう気持ちで接しているか。自分の弱みを見せられる関係性か。こうした感情面の

影響も無視できません。遠慮があったり、“あの人はこんな人だから”と腹に一物ある状態では、

いざというときに力を出し切れません。リーダーが交代したり、新しい人を迎えた時に

「チームビルディングの機会」が必要なのはこのためです。

 

「特異な個性」の存在。この影響を封じこめられるかどうか。チームのパフォーマンスを決めます。

 

一生懸命だが強烈にずれている人がいます。本人は極めて誠実に取り組もうとしていますが、

その発言内容、タイミングが強烈にずれているので、全体の士気が落ちます。また、その人を

どう扱うかにエネルギーが削がれてしまい、パフォーマンスの方向性があやしくなります。

こういう特異な存在をどう封じ込めることができるか。場合によっては代謝できるか。

ここも見逃せないポイントです。

 

 

人事異動は、「欠員補充」「キャリア開発」「苦情処理」等の理由で行われるものですが、

それによりその組織にどのような影響がもたらされるか。ここを捉えて手を打つ。

これは人事の仕事です。だからこそ、人事は社内の人を知らないといけません。

人事部員が常にオフィスの自席にいるような会社はパフォーマンスが上がりません。

 

 

おまけー1:マードゥレクスの化粧品を「中国」「台湾」「タイ」で展開していこうと

企てています。まずは中国。(お知り合いの中国の方におススメくださいませ)

 

http://exbeaute.com/cn/

 

 

おまけー2:柴田塾の最終日。隣で「日本ほめる達人協会」のイベントがなにやら開催中。

ほめる達人にぜひお会いしたい。(NHKの「LIFE」のキャラクターで現れそう。)

 

 

おまけー3:CVSで“チョコモナカジャンボ”を見ると「チョコモナカ、ジャーンボ♪」の

メロディが頭を横切りませんか?

 

 

 

Vol.624 I love ”ずっこけキャラ”

私は“ずっこけキャラ”の人が好きです。いじられキャラ。その人の話題になると

みなの顔がほころびます。いざというときに“ヌケている”ので仕事上、困ることも

あるのですが、なぜか憎めない。そういうキャラの人が大好きです。

 

昔の私は違いました。“ずっこけキャラ”の人を心のどこかでバカにしていたと

思います。自分はああならないようにしよう、人から弱みを指摘されないようにしよう、

と思っていました。これが若い頃は特にひどかったと思います。社会人1年目、

京王プラザホテルで宴会サービスの仕事をしていたときに、先輩社員から

「柴田はいつも鉄仮面のような顔をしている。他人行儀だ。」と指摘されました。

そのときは、この方の指摘の意味がわからず、仕事とプライベートは別。

完全無欠の仕事ぶりを目指して何が悪いと思っていました。

 

その後、仕事はデキるようになっていきましたが、仲間ができません。こちらが

腹を割っていないので、相手も割りません。当然です。先輩社員たちはずいぶん

気を遣って飲みや競馬に誘ってくれたりしましたが、会社の外で職場の人たちと

時間を過ごすことを嫌い、断ってばかりいました。可愛くない社員でした

 

当時の私は周囲からある程度距離を置かれるような存在であった方がいいとも思って

いました。「白い巨塔」(古くは田宮二郎、最近では唐沢寿明)の戝前教授キャラが理想でした。

 

この考え方は外資コンサルティング会社に就職して悪化します。コンサルティング

会社のユニットリーダー時代の写真が出てきましたが、ひどく“突っ張った”顔をしていました。

 

これは間違いです。自分を強く見せたい、尊敬されたいという虚栄心の権化以外の

何物でもありません。

 

どんなに仕事がデキると自惚れていたとしても、周囲から愛されないキャラクターの

人は失敗します。大きな仕事はできません。このスタイルが間違いだったと

実感しているので、「入社1年目からの仕事の流儀」(大和書房)の中で

「チャーミングであること」を大事な3つのポイントの中に挙げました。

 

“ずっこけ”キャラの人が道を踏み外す典型は、生来“ずっこけ”なのに、完全無欠系を

目指すことです。しかも、自分に対して完全無欠であろうとするだけでなく、周囲にも

それを要求します。そうなると周囲との人間関係がギスギスします。管理職になったり、

後輩ができたときにそうなりがちです。

 

完全無欠系の人のポカや間違いへの周囲の評価は厳しいものがあります。笑えません。

指摘もできません。生来の“ずっこけ”系の人はやはり“ずっこけ”系なので、

いかに完全無欠であろうとしてもポカが出ます。“ずっこけ”キャラであれば、

“すみませーん”で済むものが、完全無欠キープのための言い訳をするようになると、

もうダメです。ヒトが離れます。

 

“ずっこけ”愛されキャラは魅力です。強みです。無理してキャラを変えることはありません

。どのような環境下になっても、その魅力を使いましょう。普通の人ではできることでは

ありません。愛される“ずっこけ”キャラを支えてくれる部下、仲間が現れます。しかも、

その“支え”業務は部下にとっては成長の場になります。

 

“ずっこけ”キャラと“迷惑なやつ”は違います。“ずっこけキャラ”は基本的に人に

対して誠実。自分の失敗を認めます。“迷惑なやつ”は自分の失敗を認めません。

“ずっこけキャラ”の悪口は悪口ではなく愛情表現。“迷惑なやつ”の悪口は“

なんとかしてくれよ”という不満の悪口になります。

 

 

おまけー1:「働きごこち研究所」の藤野代表は“自分を賢く見せるヤナやつ”から、

ナイスガイに変身した実例です。藤野さんの会社のWEBサイトリニューアルに際して、

彼の変化について対談しました。

 

http://www.hatarakigokochi.jp/news/2016/004.php

 

おまけー2:マードゥレクス社(明治神宮前明治通り沿い)近くで昼食をとるときに

いつも困ります。近くにパスタ屋があるのですが、超まずい。あまりにまずかったので

“なんらかの手違いだろう”と思って、再度行ってみたら超まずさ変わらず。

しかし、もう一回くらい行ってしまいそうな“超まずさ”。

 

おまけー3:18時半過ぎの打ち合わせの前に「**さん、肉は好き?」というメールを

出しました。このメールから私が叙々苑のカルビ弁当を持っていくことを想像できる人

は柴田のことがよくわかっています。(某S氏はこのやりとりの後にパンを食べていました。)

 

 

 

Vol.623 なんで新卒採用するの?

10月1日はいわゆる内定式の日でした。今年は1日が土曜日だったので、その前後に

内定式をする会社が多いと思います。私が会長を務める株式会社マードゥレクスでは

9月30日にやりました。

 

今日のテーマは「新卒採用の可否 ~ “なんで新卒の採用をするの?”」です。

 

新卒が組織の中に入ってきますと、組織が活性化します。新卒に変な姿を見せられない

として襟を正す中堅、もはや自分が一番下ではないとして独り立ちを意識する若年層など、

新卒の投入は組織の中に間違いなく良い影響をもたらします。また、学卒者に雇用の

機会を与えるという点からも新卒採用はやるべし、と思っています。

 

しかし、ちょっと待ってください。そもそも新卒採用は何のためにやるのか、新卒を

どうしたいのか、この辺りをアップデートせずに、これまでやってきたのと同じ考え方・

進め方でやっている企業が多いのではないでしょうか。今日のメルマガはそれについて

の問題提起です。

 

新卒採用の時期になると、多くの企業で当たり前のように新卒採用の準備を始めます。

大企業の「要員管理」という観点からすると新卒の一括採用は非常に便利な仕組です。

定年による退職で一定数の人たちが毎年辞めていきますので、ヘッドカウント維持の

ために一括で相当の人員を確保できるのはありがたいわけです。これは画一的な労働力

を大量に確保することが求められる製造業、サービス業、大規模システムエンジニア業で

適したやり方です。いや、やり方でした、と過去形で書いた方がいいかもしれません。

 

画一的な労働力というのは「顔のない採用」です。極端な話、人数(頭数)確保です。

事業を成立させるために必要な労働力を若くて(賃金が安くて)一生懸命やってくれる人が

来てくれればいいのです。サービス業や製造行の現場では、その昔は新卒を“使い捨て”

していました。「753」という話がありましたよね。中卒で7割、高卒で5割、

大卒で3割が入社3年で退職するというやつです。これを問題視する一方で、

安い人件費の人が一定期間で入れ替わってくれるのは人件費管理上ありがたかったわけです。

 

今後、この手の「顔のない採用」ニーズは「AI」の進展と共になくなっていくはずです。

実際、AIの話が出てくる前から人材活用に問題意識のある企業では違う考え方で新卒採用を

進めています。「顔がある採用」です。個々のキャリアアップをしっかり考えた採用です。

但し、個々のキャリアアップを語る前にその会社の中長期計画と求められる人材像が

整理されている必要があります。

 

まずは、自社のバリューチェーンの中でそれぞれのバリューを最大化するためにどのような

人材が必要なのか。これを質・量の両面で捉えましょう。その上で現状の人員を評価し、

過不足を解消するための施策を展開します。

 

更にはどの人材を会社としてプロパー(新卒から)で育てるべきかを考える。重要な視点は

「専門性・経験」と「組織“特殊関係資産”活用力」の掛け合わせが個人のパフォーマンスを

高め、かつ会社のパフォーマンスを高めるポジションを特定します。

 

ちなみに「組織“特殊関係”資産」とは、その会社における社内ネットワーク力、言語化

されにくい社内経験の蓄積のことです。その会社の商品へのロイヤリティの強さも含まれます。

 

次にそのポジションはどのくらいの年数で独り立ちできるのかを考える。その上で、今、

3年後、5年後、10年後において、計画している中長期戦略の事業規模を維持するために

何名育成しておくべきか。これを考えます。そこから新卒の採用計画を立てます。

 

それ以外は中途採用による欠員補充です。特に「組織“特殊関係”資産」の割合が小さくとも

パフォーマンスを挙げられる職種については中途採用により即戦力人材を獲得しましょう。

 

個々のキャリアアップですが、従来は「部長」「課長」に育成するためという発想が

多かったのですが、これは高度経済成長期の話。今は違います。今考えるべきは、

「専門性の高まり」です。「専門性の高まり」のキャリアアップの件は別に書きます。

(長くなってしまったので。)

 

 

おまけ:(このメルマガではパスのことはあまり触れてこなかったのですが、

9月27日に苦渋の決断をしました。皆様へのお知らせまで。)

 

http://www.pathway.co.jp/blog/20160927.html

 

しかし、へこたれてはおれません。やるべきことをやるのです。

 

 

 

Vol.622 一言多い

「一言多い。」これさえなければ・・という人が結構います。私もその一人であるという

自覚があります。気をつけないといけない点(がたくさんあるのですが)の一つだと

思っています。

 

言い争いが収まりそうになったときの「一言」。これで再炎上。更に激しい言い争いに

なってしまいます。駅やお店のトラブルでこの展開をよく見かけます。終わったはずが、

“コノヤロー”と。夫婦、兄弟、友人間でもよくあります。

 

上司が部下に注意をする場面でも同じようなことがあります。一通り注意が終わった後の

「一言」。これが部下の感情にとても嫌な印象を残します。その上司いかに適切な指摘・

注意をしたとしても、この「一言」のおかげで部下がそれを受け入れらない気持ちになります。

 

かつて、私の近くに大変不人気な女性管理職がいました。彼女が不人気であったのは、

部下への指導を終えた後、立ち去りながら、“いくらいってもダメ、死ね”、とか

“採用間違えた”という言葉を吐くからでした。彼女の指摘、指導は的を得ていましたし、

アドバイスもいい内容でした。しかし、最後の立ち去りながらの言葉がその前の全ての

指摘事項を感情的に上書きしていました。

 

あるとき、あまりの状況だったので、本人にそのことをフィードバックしました。

本人は憮然としてこう言いました。

 

「一言多いのは“気が済まないから”です」

 

伝えるべきことと自分の感情。どちらが伝わればいいか。冷静に考えると明白です。

「伝えるべきこと」です。自分の感情がそれを上書きしてしまうと指摘の意味がなくなります。

 

言わなくてもいいことを言ってしまう。この心理の底辺にあるのは「自分は間違っていない」

という強いエゴ(自我)と相手への「不満」です。その感情がなせる業です。

 

相手の主張を聞き、頭で理解したとしても、

自分の深いところで納得していないので「一言」言ってしまう。

 

自分に非があることがわかっているのに、

自分の深いところで「わかってほしい」というエゴがあるので「一言」言ってしまう。

 

相手に言うべきことを言った後に、溢れる自分の感情を押さえ切れずに「一言」言ってしまう。

 

これらを自制できたらいいですね。自分の周囲の人間関係のギスギスが減るはずです。

 

「自我」による悪さ、「不満」を引きずる感情。これらへの対処は自分を高める以外に

ありません。まずは、「一言」言ってしまう自分を客観視すること。「一言」言ってしまう

自分を恥ずかしいと思うこと。ここからです。これは意識しておかないと無理です。

繰り返し、自分に言い聞かせましょう。

 

それでも言ってしまうことがあるでしょうで。そうしたら、その度に自省する。

これを積み重ねていくしかないと思います。この反対にあるのが「余裕」だと思います。

余裕ある大人はエゴを自制し、不満を昇華させる術をもっています。

そういう大人になりたいものです。

 

 

 

おまけー1:とある件から「七年殺し」の話題に。聞いていた若者が“五郎丸選手?”。

これは世代間ギャップではなく間違いです。

 

おまけー2:ネーミングに弱いです。「地獄イカ」とか書いてあると、まず注文してしまいます。

 

おまけー3:「入社1年目からの仕事の流儀」。9月22日に配本されました。内定者を含め、

社会人経験3年目くらいまでの方が対象です。お近くの若者にどうぞ。

 

https://www.amazon.co.jp/%E5%85%A5%E7%A4%BE1%E5%B9%B4%E7%9B%AE%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%AE%E4%BB%95%E4%BA%8B%E3%81%AE%E6%B5%81%E5%84%80-%E6%9F%B4%E7%94%B0%E5%8A%B1%E5%8F%B8/dp/4479795421/ref=sr_1_2?ie=UTF8&qid=1474328682&sr=8-2&keywords=%E5%85%A5%E7%A4%BE1%E5%B9%B4%E7%9B%AE%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%AE%E6%B5%81%E5%84%80