柴田励司の人事の目

Indigo Blue メールマガジン

Vol.650 リーダーためのメール術

まずはお知らせです。

 

6月26日(月)の朝6時10分頃、NHKおはよう日本」の「おはビズ」のコーナーで

「柴田励司の会議術」が紹介される予定です。名づけて「カイシャインの掟」

(もちろん、トランプ退陣とか、ミサイル発射とかのニュースがあると

差し替えになるでしょうが・・・)

 

しかしまあ、朝早いですから、あとで以下のサイトからも見られると思います。

 

http://www.nhk.or.jp/ohayou/biz/

 

 

「会議とメール」。この2つへの取り組み・改善は急務です。これらの改善なしに

働き方改革はありません。なにしろ日本企業の生産性を下げているのはこの2つだからです。

 

目指す会議の姿は、“全員が議論に参加し、同じ結論を共有、終了後すぐに動ける”

です。メールの送受信対応のゴールは、“メールの奴隷からの解放”です。

 

会議についてはリーダーのファシリテーションスキルを高めることに尽きます。

柴田のスキルを標準化すべく「リーダーのためのファシリテーション術BAW

(Ba/Agenda・Wrap up」なるものを開発しました。これについては別途ご紹介します。

 

その他の要点は「おはビズ」を見ていただくとして、今日のメルマガはメールについて。

特にリーダー(管理職)のメールへの対応の仕方、“リーダーのためのメール処理術”です。

 

組織内の「報・連・相」のほとんどがメールで行われていますよね。役位が高くなれば

なるほど一日に受信するメールの数が大変なことになっていると思います。受信数250は

普通だと思います。私もかつてメールの数には悩まされておりました。250から300が

平均でした。自分の席でメール処理していると追いつきません。日中は会議や商談が

目白押しですから。

 

自分の忙しさから、メール処理が土日や夜中・早朝になったり、受信したメールを

しばらく放置してしまいがちです。これが組織内に「メールの奴隷」を生みます。

「メールの奴隷」は全ての行動がメールに支配されています。メールを待っているので

無駄な時間がたくさん生まれる上に、精神的に休めません。これが生産性向上の

足を引っ張ります。

 

そこで、その気になればすぐできる「5つの術」をご案内します。

 

 

その1:メールは「隙間の時間で処理」。

 

ちょっとした休憩、トイレ等隙間の時間を利用して次から次に処理します。

スマホなどの携帯端末を活用しているのが前提です。5分あれば3通はメール処理できます。

この時間感覚をもって対応しましょう。「5分しかない」ではなく「5分もある!」です。

 

その2:長いメールには電話で対応

 

長いメールにメールで返信すると更にメールを呼びます。電話すれば一発で終わります。

そもそも、双方向でやればすぐに終わることをメールにするから余計な手間を生むのです。

 

その3:腹立たしいメールは1日放置

 

腹が立つメールが届くことがあります。すぐに返信してはいけません。余計な感情が伝わり

事態を悪化させます。返信文をすぐに書いたとしても、送信を1日待ちましょう。

一晩寝た後で改めて読み、冷静に文章のトーンをチューニングし、余計な文章を削ります。

 

その4:部下からのメールには既読のサインをすぐに送る

 

“メール見ました。来週の*曜日までに返信します。”といった返信をすぐに

いれておきましょう。

 

じっくり読んでから対応しようと自分では思っていても部下にそれは伝わっておりません。

“届いた。来週返事する”。これがないから、部下はいつ返事がくるかわからないので

ずっとスタンバイ状態になります。それだと本当の意味で部下は休めません。

まさに「メールの奴隷」になります。

 

その5:休日に書いたメールは下書きフォルダに

 

週末にメールの返事を書く場合、それが緊急の場合を除き、休日の送信は止めましょう。

下書きフォルダにいれておき、月曜の朝に送りましょう。“返信急ぎません”と書いた

としても、忠実な部下ほど休日に返信してきます。

 

 

リーダー、特に中間管理職の会議、メールの処し方が変わると組織全体の行動が変わります。

繰り返しになりますが、これなしに、全体の生産性の向上はありません。労働時間を

制限したとしても、本質が変わないとアングラ残業を生んだり、業務の品質に

影響が出ます。本質的な行動改善を通じた働き方改革をお薦めします。

 

 

おまけー1:山城経営研究所主催の「柴田励司の講演」20名の方をご招待します。

 

「社長の覚悟~真に人を生かし強い組織をつくるために~」

2017 年 7 月 24 日(月)15:00~17:00 椿山荘東京 11F マーガレット

 

7月3日まで申し込みを受け付けます。

 

定員が一杯になった場合は抽選とし、結果をお知らせします。

ご希望の方は以下までメールでお申込みください。

 

お申込み先:花輪朱美 hanawa@kae-yamashiro.co.jp

氏名・会社名・お役職・メールアドレスを明記の上お申し込みください。

 

 

おまけー2:着るだけで腹が割れるTシャツを着ている人の話を聞いてみたい。

 

 

Vol.649 カバン持ち

ご心配をおかけしました。退院しました。通常スケジュールに戻っております。

それにしても、セカンドオピニオン、しかも自分をよく知っている医師の意見の大切さを

痛感しました。

 

入院先では手術(胆のう摘出)を再三勧められました。しかし、退院後訪れた20年近く

お世話になっているクリニックの先生曰く、「切らずにいけます。」。入院先の病院が

「問題あり」とした箇所も「前からあるし、問題なし」との判断。ワンショットの

検査数値で判断するのは危険。長きにわたって観察しているからこそわかることあり。

これは医療に限らず、なんでも同じですね。

 

さて、今日のテーマは「かばん持ち」です。いま、私のところに日本を代表する企業3社から、

それぞれ1名「武者修行型出向(留職)」受け入れています。それぞれパスグループの中で

役割を持ちながら、1か月に3日程度、柴田励司の「カバン持ち」をしてもらっています。

 

といっても、実際に「カバン」をもってもらうことはありません。柴田励司の仕事上の

スケジュールに基本的には全て帯同し、柴田励司がやっていることをすぐそばで

見てもらい、それぞれの出来事についてどう感じたか、レポートを出してもらうのが

仕事です。

 

取締役会や限定メンバーによる経営会議にも同席してもらいます。柴田励司の講演や

お客様との会食にも。社外秘のディープな議論の場にも。ときには無理をお願いして、

柴田励司が社外役員を務める会社の取締役会にも参加させてもらっています。

 

彼らはそれぞれの出向元で将来を嘱望された人材です。年齢もアラフォー、アラサーです。

彼らの今後を考えるとちょうどいい時期に来てもらっていると思います。

 

人の成長に大きな影響を与えるものは「経験」です。どれだけ刺激的な場を経験したか。

これがその人の器の弾力性を決めます。安定した企業、恵まれた環境の下では「刺激」が

ありません。

 

一流企業では仕事そのものの質的な要求はあるでしょうが、それはあくまでも特定領域の

深耕です。必要なものは、自分を見つめざるを得ないような体験です。これがない状態に

長らくおかれますと、自分の器の内壁が硬直化し、「学ぶ」姿勢がなくなります。

つまり、成長が止まります。

 

体験型ケーススタディ(OT:Organization theater)を開発し続けているのは、

大企業の次世代人材の硬直化しつつある内壁にひびを入れようと思ったからです。

新卒で大企業に入社。10年経験した人間と同じく新卒でベンチャー、中小に入って10年経験

した人間を「柴田塾」という同じ場で見たときに、その実力、学ぶ姿勢に大きな差が

ついていることを実感しました。大企業の人材は優秀です。知識はあります。

しかし、早くも器の壁が硬直化している人を多く見かけます。胆力、人間的な魅力、

成長ポテンシャルで、ベンチャー、中小経験者に劣ります。

社会人になった時点の評価は真逆だったろうと思いますが。

 

OTは修羅場・有事の疑似体験です。修羅場とは全力を尽くしても、どうにもならない

という局面です。この局面で自分がどう動けたか、動けなかったかを実体験してもらい、

内省を促しています。本当に優秀な人間はこの疑似体験で気づきを得て、

器の内壁を自ら取り払っていきます。

 

OTは通常版が2日、長くても3日です。経験ということでは、これよりも、働く場

そのものが「修羅場・有事」の方がいいに決まっています。しかし、一流の大企業には

そういう場がないものです。

 

そこで、大企業で次世代を担う若者には一定期間、社外の「安定しない環境で武者修行」

をすることをお薦めしていました。3年前にパスの再建を担うことになり、

パスそのものが「修羅場・有事の連続」ですから、この場も提供しようと考えたわけです。

 

パスグループにおける通常の役割については、さすがに大企業で将来を嘱望される

人材だけにみな大いに貢献してくれています。その上で日々の気づきが彼らにとって

財産になっているだろうと思っています。昨日、その一人がこう言っていました。

 

「自分は何者でもないことを痛感しています。」

 

この気づきは大きいですね。大企業にいると無意識のうちにその看板で仕事をしている

ものです。それはその人の実力ではなく看板の威光。看板ではなく、自分の魅力・実力を

磨くことに気づいたようです。

 

私は今月末でパスのCEOを退きますが、「カバン持ち」は継続。

柴田励司の様々な活動に帯同してもらう予定です。

 

 

おまけー1:胆石発作の直接の引き金は「まるごとバナナ」だと疑っています。

食生活を改善します。

 

 

おまけー2:点滴がとれた後に黒いTシャツで病院内を歩いていたら、他の病棟のナースたちが

挨拶してきました。ドクターに見えたらしい。

 

おまけー3:病院内の売店に「ん?」という食べ物、雑誌あり。

あれ買うと没収されるにちがいない。

 

Vol.648 勢い

世界卓球、ご覧になっていましたか。日本勢大活躍でしたね。中でも13歳の張本選手の

活躍はワクワクしましたね。「チョレイ!」は卓球おじさんの間で流行りそうです。

 

張本選手には「勢い」がありました。「勢い」があったから、格上の選手を次々に

撃できたのだと思います。大関に昇進した力士の高安についても「勢いがある」という

コメントがありました。書道や絵画の世界でも「勢い」があるという評価をよく聞きます。

 

「勢い」 これがあると10の力が20、30になります。

 

人は「勢い」に気押され、「勢い」に惹きつけられます。「勢い」はスポーツの世界に

限りません。ビジネスの世界でも同じです。「勢い」がその人の提案を実現させます。

 

多くの物事はやってみないとわかりません。非の打ちどころがない良い提案であっても

、必ずしもうまくいくわけではありません。うまくいくかどうかは、提案の当事者に

「勢い」があるかどうか、その「勢い」に影響されて、その人の想い(提案)を

実現させてやろうと思う人がどれだけ生まれるか。この2点にかかっていると思います。

 

「勢い」は“何かに向けて無心で全力を尽くしているときに生まれるもの”だと思います。

心理学者のミハイ・チクセントミハイさんが提唱されている“フロー状態”になり、

そこに達成に向けた熱量が加わると出てくるものではないかと思っています。

 

「勢い」は若者のものと思われがちですが、そんなことはないと思います。シニアは

「勢い」を自ら制御しているだけだと思います。結果を意識したり、相手の腹の内を

探ったり、場合によっては“その場しのぎ”をしたり・・・。経験による学習効果

なのですが、それらが災いするので「勢い」が生まれにくくなっているのです。

 

しかし、そんなことを考える余裕もないくらい没入して課題に向かえば「勢い」は

生まれます。年齢関係ありません。

 

一方で若者が誤解しがちなことですが、熱っぽく語ることが「勢い」を生むのでは

ありません。むしろ、その場の体感温度を超える熱さがあると、暑苦しさ”を生みます。

寡黙であっても、その姿から「勢い」は感じられるものです。

 

自分の行動から「勢い」が消えていると思っている方へ。

 

いったん、自分をリセットして、無心で取り組める好きなことを思う存分やりましょう。

それが見つかれない場合には誰かの「勢い」を加速させる役割をしましょう。

「勢い」の炎が再点火しますよ。(このどちらもやらなくなると“老けます”。)

 

リセットの仕方は人それぞれですが、手軽なやり方はこれです。時間の余裕をもって、

誰にも見せないことを前提に自分が考えていること・実現したいことを存分に書く

(PCに向かって)こと。これで頭の中で整理されリセットできると思います。

(海辺でビールの方が理想的ですが。)

 

 

卓球話に戻ります。中国の王者、丁寧選手はアジア選手権で平野選手の「勢い」にやられましたが、

今回は違いましたね。「勢い」を飲み込む風格。すごい気合でした。

 

シニアのみなさんへ。「勢い」のある若手社員に接するときには気押されることなく、

飲み込みましょう。

 

 

おまけー1:木曜日の未明にお腹がえらく痛くなり、夜間の救急病院へ転がり込みました。

胆のう炎の発作とのこと。いやー、参りました。その後、入院となり絶食生活となりました・・・

25年ぶりの入院。これもリセットの機会と観念して休むことにしました。

 

おまけー2:それにしてもドクターヘリも到着するような救急病院なので、夜間受付で悶絶しながら

待っていたところ、「酔っ払いの事故」「頭から血を流す人」「憔悴しきった付き添いの女性」など

次々に登場。ドラマです。

 

おまけー3:酔っぱらってころんで頭から血を出している人が最悪。こっちは悶絶しているのに、

何度も話かけてくる。

 

「あの、僕の携帯知りませんか?」

「・・・高橋さんですよね?」

 

挙句の果てに

 

「どこか具合悪いんすか?」 

 

Vol.647 メルマガ再開!

ご無沙汰しております。お元気でしたか?

 

今日から「人事の目」を再開致します。引き続き、よろしくお願い申し上げます。

 

6月27日に開催する定時株主総会を以て、パス株式会社の代表取締役CEOを退くことと

致しました。“雇われ経営者は3年”という信条と昨年度の目標であった最終黒字化を

達成することができなかったことへの“けじめ”です。5月31日に発表致しました。

 

売上4億円未満のグループの再建をお引き受けして売上は8倍にしました。3社の買収、

2事業の売却、1事業の停止と、この3年間は“切った張った”の連続でした。

リアルOT(修羅場体験)の3年版を自ら体験してきたようなものです。過去にも

“雇われ経営者”として複数の会社に関わってきましたが、今回の再建事業は

“もろもろの事情”から非常に難易度が高く、厳しい毎日でした。

なんとかやってこれたのは、優秀なスタッフたちのおかげです。

 

しかしながら、応援いただいた株主の皆様のご期待に応えることができなかったのは

事実です。非常に申し訳なく思っています。

 

後任として発表しました中原信一郎さんは10年来の知人です。総合的にバランスの

とれた素晴らしい方です。これまでに、トップとして自分の後任を選ぶということを

過去に3回やってきていますが、今回も自分がやるよりも良いと思える人にお引き受け

いただき、嬉しい限りです。

 

今後は取締役として、中原さんの支援をしつつ、徐々にIndigoblueの会長としての仕事、

柴田励司個人としての活動を増やしていく予定です。

 

 

さて、今回のテーマは「良い忖度と悪い忖度」です。

 

辞書には「忖度」とは「他人の気持ちを推し量ること」と書かれています。

これはホスピタリティそのものですね。

 

“相手の期待を予見して動く”。私なりのホスピタリティの定義です。

ホスピタリティはビジネスの実践、人間関係の形成において極めて大事な要素です。

この有無、レベルがその成否を決めます。この実践に「忖度」は欠かせません。

「忖度」そのものは必要かつ良い行為なのです。

 

しかし、森友問題を皮切りに「忖度」の印象が悪くなりました。先日、とある講演会場で

忖度についてのイメージを聞きましたところ、ネガティブな印象を抱く人が50%以上

いらっしゃいました。

 

そもそも、なぜ、部下が上の忖度をするのか。これは、それをすることで「上が喜ぶ」

または「組織のためになる」からです。上は上で、自分が指示する前に部下が動いて

くれたり、自分が気づかなかったことを先取りして動いてくれたりすると安心します。

この人であれば任せられると思うものです。これは「良い忖度」です。

 

しかし、これを超えて行われる「忖度」には悪い要素が加わってきます。忖度者の

“野心”が首をもたげるのです。“上の意向”を錦の御旗にして、その影響力を

自分の欲しいままにしようとする野心です。また、そのために、上にとって

“ややこしい”と思っている案件を忖度し、自主的に解決してあげて、上にとって

自分が欠かせない人物であるという立場を固めようとします。実際に上としても、

自分のために“汚れ仕事”をしてくれる人に対して精神的に負い目が生まれます。

 

上に負い目を抱かせるほどの忖度。これが「悪い忖度」です。

 

人間集団である組織ではこの「悪い忖度」は必ず発生します。これが起きないように

することは無理だと思います。そうなると、「上」が“悪い忖度”に気づいたら、

すぐにその芽を摘んでおかないといけません。「上」がそれに気づいていないときには

「上」のスタッフが指摘しないといけません。放置すればするほど、対処が難しくなります。

なんでもそうですが、初期対応が肝心ですね。(私も気を付けます。)

 

 

おまけー1:6月2日(金)のNHK金曜イチから「わたしたちと“忖度”(そんたく)」

の中で私の講義の様子が紹介されました。顔がまるい。なんとかせねば。

 

 

おまけー2:知らない番号からの着電があり、「はい」と出ましたら、「どんぴょ!」と

言って切られました。折り返すかどうか、難しい判断です。ちなみに若い女性からの電話でした。

 

 

おまけー3:最近、Twitterを乗っ取られ、身に覚えのないフォロー、リツイートがされ

参りました。気になったのでFacebookも調べてみましたら、こっちも!身に覚えのない

アクセスポイントが表示されました。知らないうちにマッチングサイトにも登録され・・・

怖いですねー。

 

 

 

Vol.646 現場がもたない。辞めてくれ。の衝撃

「現場もたない 辞めてくれ」3月8日の日経MJの一面のタイトルです。三越伊勢丹HDの

大西社長の辞任の舞台裏の記事です。衝撃的なタイトルです。

 

個人的には大西社長を存じあげませんし、三越伊勢丹の内実も知りません。実際には

報道されていないこともあるでしょうし、何が真実かはわかりません。しかし、労組から

泣きつかれて「現場もたない 辞めてくれ」と会長が社長に告げたという信じられない展開。

これが真実だとすると大いに考えさせられます。

 

百貨店に限らず基本的なビジネス構造を変えないことには立ち行かない業態は数多くあります。

スマホの普及によるEC(電子商取引)とデジタルマーケティングの本格化、日本の人口動態の

変化、情報格差、経済格差等、世の中の変化は多くの“昔からある業態”に変化を求めて

います。なんとかしないと、それこそ「もたない」企業はたくさんあるはずです。

 

こうした右肩下がりの状況を変えようと新たなリーダーが改革に着手すると、組織の

あちこちからノイズが出ます。このノイズをトップマネジメントチームが拡声するようなことを

してはいけません。リーダーとしては立つ瀬がありません。いかに優秀なリーダーであっても

神様ではありませんから、見立てや戦略・戦術が適切ではないこともあるでしょう。そうであれば、

そこを修正して前に進めるための提案をする。それがマネジメントチームの役割ではないでしょうか。

 

組織(大衆)なるものは違います。変化が起きるとぶれるものです。実際に改革が進行すると、

「うちの会社は今のままではダメだ。改革が必要だ!」と言っていた人たちの中の相当数が

“やります、と言ってやらない”人たちであることがわかります。多くの人が改革を実際に

やるのは自分ではなく、誰かがやってくれると思っているものです。

 

自分の仕事環境や、やり方を変えることを求められるようになると途端に態度が変わります。

リーダー批判を始めます。しかも、その多くはリーダーのコミュニケーションスタイルや

性格的なことへの批判です。

 

リーダーに対する組織内の風向きが変わったと感じた管理職クラスの中には、その影響を受けて

変わる人が出てきます。リーダーが掲げている戦略・戦術がおかしいと言い出します。

自分もその戦略・戦術づくりに参画していたにも関わらず、こう言い出します。

“戦略・戦術がおかしい。だから成果がでない。”

 

これは改革の実行フェーズで普通に起きることです。会社組織だけでなく政治の世界でも

一般の社会でも起きることです。汗をかかずに恩恵を得たい。批判される側にいたくない。

これは普通の反応です。そこをぼやいても仕方がありません。想定内のことだと思いましょう。

 

これらのノイズの中に潜むメッセージは受け止めて、改革のスピードや進め方をチューニングする

ことは必要です。それをリーダーに提案するのがマネジメントチームの仕事です。こうした提案に

対して聞く耳を持たないような人を、そもそもリーダーに選出しているでしょうか。そんなことは

ないはずです。時間をかけてじっくり話すことで解決策は見えてくるはずです。そこをいきなり

「現場がもたない。辞めてくれ。」はないと思うのです。

三越伊勢丹のケースの真実がどこにあるのかはわかりませんが。)

 

改革はなんらかの「痛み」を伴うものです。改革に着手する以上、「痛みからのノイズ」は

想定内のはずです。そこに屈してはいけません。やり方を変えることは大いにあります。

しかし、その際もなぜ、改革をしないといけないのか、何がゴールなのか、ここから外れては

いけません。批判されたとしても、ふんばる度量を持ちたいものです。

 

 

おまけ:しばらく「人事の目」をお休みします。

 

ありがたいことなのですが、メルマガをお読みいただいている方が想定以上に増えてしまったために、

配信の仕方を考える必要が出てきました。リニューアル完了まで少々お時間ください。

 

では、またお会いしましょう。

 

 

Vol.645 ”現役最後”の10年間

本日、3月5日は私の55歳の誕生日です。ちょうど10年前、7年間務めたマーサーの社長職を

辞任したときに、これからの10年間を「修行期間」にしようと思いました。当時のメルマガ、

書籍を見るとこんな風に書いています。

 

「これからの10年間で大きく3つの修行をしたい。財務的に厳しい小さな会社の再建に関わる

、自分一人ではどうしようもない大きな会社の経営に関わる、外資系で日本以外の国で働く。」

 

外資系で日本以外の国で働くこと」はできませんでしたが、最初の2つは経験することが

できました。それ以外に「Indigoblueの起業」、「上場企業の再建」が加わりました。

私生活においても大きな変化があり、非常に密度の濃い10年だったと思います。

まさに日々、修行の10年だったと思います。

 

“現役”としてはおそらく最後の10年が始まります。そう考えるとわくわくします。

世の中的には高齢者の定義が75歳からになりそうなので、65歳からの10年というフェーズも

あるのでしょうが、さすがに、その時には今までとは違う生き方になるのだろうと思います。

 

これからの10年。テーマは「集大成」になると思っています。これまで、普通の人よりも

多種多様な経験をさせてもらってきました。これは間違いなく多くの方々にご支援いただいた

ことの賜物です。本当にありがたいことです。今後はその経験を集大成してなんらかのカタチで

多くの方々にお返ししたいと思っています。

 

お返しする方法はいろいろあるだろうと思います。企業・組織の再生、人材育成、講演、執筆、

そしてなんらかのツールやプログラムの開発、もちろん、そのほかの方法もあるでしょう。

いろいろな人との日々の対話、会食もそう。常に“お返し”することを考えて動いていきたいと

思っています。

 

修行は続きます。尊敬する先人たちのお話しを聞きますと、歳を重ね、経験を積むほど自らの

至らなさを実感する、と言います。その通りだと思っています。学びは終生続くと思います。

 

CEOを務めるパス株式会社の再建も続きます。なかなか思ったようには行かず、株主の皆様には

ご迷惑をおかけしておりますが、ここはふんばりどころだと思っています。

 

さて、3月3日に社団法人PHAZEの1期生の報告会があり、発起人として参加しました。

 

PHAZEは「24歳以下の若者を対象に学歴ではなくやりきる力を学ぶ場」です。もともとは私の

以下の想いからスタートしました。

 

http://phaze.jp/

 

“10代のうちに勉強以外のことに時間と労力を割いてきたが、20代になり、自分の生きる道を変え、

社会をけん引したり、社会に貢献したいという熱意をもつ若者がいたら、彼ら彼女らちに

ビジネススキルや心構えを学ぶ場を提供したい。そこで学んだ若者が活躍できる場を提供したい”

 

その後、ありがたいことにご支援いただける企業が登場し、かつ私の想いを受けてこの事業を

運営してくれる人たちが現れ、昨年1期生の選抜とその後の学びの場(「魅惑の脱皮」)が

持たれました。

 

1期生は東京、京都、広島と住む場もバラバラ、学生あり社会人あり、日本人以外も含まれる

21歳から24歳の非常に多様なメンバーとなりました。私がこの1期生と会うのは1年ぶりでしたが、

みな顔が変わっていました。この1年のPHAZE事務局のみなさんのご苦労は大変なものがあったと

思いますが、その甲斐があった1年になったと思います。

 

現在2期生のオーディション中で、4月上旬には2期生が固まると聞いています。これもご支援

いただいている方々の賜物なのですが、これも“お返し”の一つのカタチになっていくといいな

と思っています。

 

 

おまけー1:昨年以来、花粉症は気合で乗り切るで対応しています。ひどい花粉症のときも

講演の前には治まります。その時の精神を再現して通常時も乗り切るやり方です。

今のところWorkしています。(と思います。)

 

おまけー2:タバコは薄毛の原因と言われますが、ほんとか?と思っています。

私がよく知る喫煙者が多い会社は毛量が多い人が多いです。(その会社のエレベータで実感)

 

 

おまけー3:最近のコンビニには食べたいパンがない、と思っています。

 

 

Vol.644 顔は履歴書

「男の顔は履歴書」。

 

誰が言いだしたのかわかりませんが、この言葉、昔から言われていますよね。1966年に

このタイトルの日本映画があるようですが、その前からこの言い回しはあったと思います。

かのリンカーンの“Every man over forty is responsible for his face”

という言葉もありますし。

 

本当にそうだと思います。男性に限らず女性もそうです。その人が背負ってきたこと、行いが

全て顔に現れると思います。毎日見ていると気づかないものですが、数年ぶりに誰かの

「顔」を見るとその変化に気づいて驚くことがあります。体重、メガネ、髪型、ヒゲ、

お化粧、ときに整形と、見た目を変える要素はいろいろありますが、根本の表情は隠せません。

そこに「履歴」が出ます。

 

先日、その昔、社会を賑わせた方とお会いする機会がありました。御年60台後半。20年前の

その方の作品や活動に影響を受けた現在の40代、50代は結構いるはずです。私もその一人です。

お会いして小一時間お話しさせていただきましたが、お話ししているときの表情は昔と変わらず

エネルギッシュで大変魅力的でした。さすがです。ただ、そのスイッチが入る前と面談後の表情に

「履歴」を見ました。私が想像できないようなご苦労をされているのだろうと拝察しました。

 

表情は、その言葉の通り、自分の感情が表出したものです。辛い想いやストレスはどんなに装った

としても表情の端々に出てしまいます。その蓄積がその人の「履歴」になるのだろうと思います。

 

私もそうです。先週、Facebookに以下の投稿をしました。

 

「柴田塾55回の写真・映像のダイジェスト版をもらったので、見てみた。2010年とか2011年の頃の

顔は”青い”の一言。あんな顔で偉そうなことを講釈していたのが恥ずかしい。顔は履歴書とは

よく言ったもの。これからも精進しないと。5年後に顔に出る。ちなみに自分的には今の顔が

一番気に入っている。(毛は薄くなったけれど。)」

 

2011年頃までの自分を取り巻く環境と出来事を振り返ってみると、精一杯“背伸び”をして、かつ、

個人的にいろいろな事に直面していたにも関わらず“平静さ”を装っていました。その感じが

顔に出ていました。笑顔の写真も心底笑っていない感じでした。

 

“ココロに静かな水面を”という言葉を14年前から座右の銘にしています。柴田塾を始め、リーダー

育成の機会でお話ししている言葉です。これは“瞬間湯沸かし器”というあだ名だった自分を戒める

ために呪文のように唱えていた言葉です。

 

人間の身体に占める水分の割合は60%程度と言われます。余裕がなくなると、この水が揺れます。

そうなるとそれが表情や態度に現れてきます。そういう人に周囲は話しかけにくいものです。他を

寄せ付けない気配が出ます。話しかけにくいリーダーには、悪い情報が最後に届くようになります。

そうなるとリーダーとしてはどうにもなりません。どんな問題でも後手にまわると、手が付けられなく

なっています。そうならないように、リーダーたるものいかなるときでも水面を揺らさない。

平然としていよう。という教えです。

 

しかし、まあ恥ずかしいことに当時の私の写真は平然としているように見えて、実際にはかなり

強がっている顔をしています。いろいろ器からこぼれていたのでしょう。まだまだ青かったと

思います。

 

最近は強がってはいません。自分で言うのもなんですが、以前よりもかなり柔和な表情をしていると

思います。自分自身が成熟したということもあるのでしょうが、環境の影響は大きいですね。

家族、周囲のみなさんに感謝です。

 

それでも数年後に今の顔写真を見たら、おそらく「青い」と思うでしょう。それでいいと思います。

昔は良かったではなく、そういう年の取り方をしたいと思います。

 

 

 

おまけー1:最近の若者の顔は「小顔」「魚系」が多いように思うとお世話になっているヘアサロン

NORAの広江社長に話したところ、“ああ、そうみたいですよ。最近の子はおしゃぶりを早く離している

こと、硬いものを食べていないらしくて、それが影響しているらしいすよ。”と。

 

隣にいたネイリストが“わたし、小さい頃にじいさんの「あたりめ」をがしがし食べてたからだ”。

(返答に困るつぶやき。)

 

 

おまけー2:金曜日の深夜にTV東京で「バイプレイヤーズ」という番組をやっています。これがいい。

私が大好きな脇役のみなさんが勢ぞろいです。彼らの「顔」はいい。多くのキャラクターを演じてきた

円熟さがにじみ出る顔をしています。

 

http://www.tv-tokyo.co.jp/byplayers/