柴田励司の人事の目

Indigo Blue メールマガジン

Vol.692 イメトレしておかないと有事対応はできない

先日、小松空港で足止めとなりました。まさかの延泊。JAL最終便が機体不良で

欠航になりました。

 

出発予定時刻は19:55。ところが予定時刻を20分経過しても何のアナウンスなし。

搭乗口付近の待合の気配が険悪な気配になったそのときです。搭乗口付近から

「うわーっ」という声を上げながら出口にダッシュするおじさんあり。

んん、なんだ、なんだ、という感じで全員が総立ちになったときに

「・・・欠航となりました」とのアナウンス。

待合全体に広がる「なんじゃーい」という声。

 

ぞろぞろ行進の中に私も入り、階下のJALカウンターへ。荷物の検査場のガードを

逆に通るのでキンコンキンコン鳴ります。あっという間に長蛇の列。

200人くらいはいたのではないでしょうか。対するカウンターは1人。永遠に

かかりそうな気配です。

 

その時点で20時40分。どう考えても、その日のうちに帰京する術はありません。

JALに頼むのはあきらめて、自力でホテルの手配と明日の帰京便への振り替えを

することにしました。アナウンスではインターネットを通じて振替ができると

言っていましたが、実際にはできませんでした。新規に予約・支払いをする

必要がありました。ラッキーなことに、この日はその時刻まで秘書のSさんが

オフィスにいたので飛行機の再手配をお願いし、私は同時にホテル探しをしました。

 

空港周辺のホテルをネットで検索すると複数出てきたのですが、なんとすべて満室。

後で聞いたところ、某企業の新人研修で満室だったとのこと。しょうがないので、

粟津温泉まで流れに流れ、ようやく1部屋素泊まりで確保しました。

 

宿の対応も危なかった。電話したところ、まずは「えー、これからですかー」

というつれない反応。事情を説明したところ「朝ごはんないですよ。素泊まりで

いいですか?」。とにかく寝るところがないのは困るのでその条件でお願いしました。

 

次に困ったのはタクシー。全然いない。タクシー乗り場で延々と待っていても

らちが明かないので、「小松空港 タクシー」で検索。最初に出た会社に電話したら、

なんと金沢の会社。うむむ・・・の検索。しょうがないので住所を見つつ、

近そうなところに電話したところ、「何時になるかわかりませんが・・」

というこれまた頼りない返答。しかし、しょうがないのでそれで了解。

待つこと40分。タクシー登場です。

 

「どうしたの?こんなに人がいて」と人の良さそうな運転手さん。

「最終便が欠航しまして」「あ、そうなの。そりゃ大変だ。」

 

途中、替えの下着類を買いたいのでコンビニに寄ってほしいとお願いすると

「コンビニねえー、うーん」と言いながら、探して連れていってくれました。

宿に着くと何故か背広を着た人が申し訳なさそうに部屋の鍵をくれました。

 

おそらく普段売っていない部屋なのでしょう。犬神スケキヨさんが泊まりそうな

部屋で実にホコリぽい。お風呂は大浴場のみ。行ってみると韓国人の団体と

中国人の団体が陣取り合戦中。私はなぜか韓国側になりました・・・

 

翌日なんとか9時40分発の飛行機に乗ることができて帰京できました。

この様子を見て、有事の対応について思うところがありました。

有事対応はイメージトレーニングができていないと、いざという時に動けません。

 

JALの空港職員の方々は一生懸命やってくれていましたが、いかにも段取りが悪い。

案内もスムーズではありませんでした。配られた書類もたいへん見にくいデザインでした。

 

有事の対応について、マニュアルは整備しているでしょうが、有事発生時に

マニュアルを見ながらの対応では無理です。

 

“最終便が欠航。さあ、採るべき手段は?”というようなイメトレをやっておきませんと、

後手に回ります。これはどの会社でも同じような問題があるはず。

自社で“こんなときどうする?”系のイメトレができるキットを開発して提供したいと

思いました。開発したいアイディアがたくさんあって、どうしよーの今日この頃です。

 

 

おまけー1:大浴場で酔っ払いの韓国人に聞かれました。「キムチ、ザーサイ、どっち?」

「キムチ!」と言ったら韓国側の風呂に入れました。(しかし、これ全裸でする会話ではありません)

 

おまけー2:よい気候になりました。自転車に乗りながら、ついつい「鼻歌以上」の

音量で唄っていましたら、知らないおじさんにガン見されました。止めるのも何なんで、

おじさん見ながら唄い続けたら拍手してくれました。

 

おまけー3:音楽座ミュージカルの「ホーム」再演! おススメです。

http://www.ongakuza-musical.com/2018/home0224

 

 

Vol.692 イメトレしておかないと有事対応はできない

先日、小松空港で足止めとなりました。まさかの延泊。JAL最終便が機体不良で

欠航になりました。

 

出発予定時刻は19:55。ところが予定時刻を20分経過しても何のアナウンスなし。

搭乗口付近の待合の気配が険悪な気配になったそのときです。搭乗口付近から

「うわーっ」という声を上げながら出口にダッシュするおじさんあり。

んん、なんだ、なんだ、という感じで全員が総立ちになったときに

「・・・欠航となりました」とのアナウンス。

待合全体に広がる「なんじゃーい」という声。

 

ぞろぞろ行進の中に私も入り、階下のJALカウンターへ。荷物の検査場のガードを

逆に通るのでキンコンキンコン鳴ります。あっという間に長蛇の列。

200人くらいはいたのではないでしょうか。対するカウンターは1人。永遠に

かかりそうな気配です。

 

その時点で20時40分。どう考えても、その日のうちに帰京する術はありません。

JALに頼むのはあきらめて、自力でホテルの手配と明日の帰京便への振り替えを

することにしました。アナウンスではインターネットを通じて振替ができると

言っていましたが、実際にはできませんでした。新規に予約・支払いをする

必要がありました。ラッキーなことに、この日はその時刻まで秘書のSさんが

オフィスにいたので飛行機の再手配をお願いし、私は同時にホテル探しをしました。

 

空港周辺のホテルをネットで検索すると複数出てきたのですが、なんとすべて満室。

後で聞いたところ、某企業の新人研修で満室だったとのこと。しょうがないので、

粟津温泉まで流れに流れ、ようやく1部屋素泊まりで確保しました。

 

宿の対応も危なかった。電話したところ、まずは「えー、これからですかー」

というつれない反応。事情を説明したところ「朝ごはんないですよ。素泊まりで

いいですか?」。とにかく寝るところがないのは困るのでその条件でお願いしました。

 

次に困ったのはタクシー。全然いない。タクシー乗り場で延々と待っていても

らちが明かないので、「小松空港 タクシー」で検索。最初に出た会社に電話したら、

なんと金沢の会社。うむむ・・・の検索。しょうがないので住所を見つつ、

近そうなところに電話したところ、「何時になるかわかりませんが・・」

というこれまた頼りない返答。しかし、しょうがないのでそれで了解。

待つこと40分。タクシー登場です。

 

「どうしたの?こんなに人がいて」と人の良さそうな運転手さん。

「最終便が欠航しまして」「あ、そうなの。そりゃ大変だ。」

 

途中、替えの下着類を買いたいのでコンビニに寄ってほしいとお願いすると

「コンビニねえー、うーん」と言いながら、探して連れていってくれました。

宿に着くと何故か背広を着た人が申し訳なさそうに部屋の鍵をくれました。

 

おそらく普段売っていない部屋なのでしょう。犬神スケキヨさんが泊まりそうな

部屋で実にホコリぽい。お風呂は大浴場のみ。行ってみると韓国人の団体と

中国人の団体が陣取り合戦中。私はなぜか韓国側になりました・・・

 

翌日なんとか9時40分発の飛行機に乗ることができて帰京できました。

この様子を見て、有事の対応について思うところがありました。

有事対応はイメージトレーニングができていないと、いざという時に動けません。

 

JALの空港職員の方々は一生懸命やってくれていましたが、いかにも段取りが悪い。

案内もスムーズではありませんでした。配られた書類もたいへん見にくいデザインでした。

 

有事の対応について、マニュアルは整備しているでしょうが、有事発生時に

マニュアルを見ながらの対応では無理です。

 

“最終便が欠航。さあ、採るべき手段は?”というようなイメトレをやっておきませんと、

後手に回ります。これはどの会社でも同じような問題があるはず。

自社で“こんなときどうする?”系のイメトレができるキットを開発して提供したいと

思いました。開発したいアイディアがたくさんあって、どうしよーの今日この頃です。

 

 

おまけー1:大浴場で酔っ払いの韓国人に聞かれました。「キムチ、ザーサイ、どっち?」

「キムチ!」と言ったら韓国側の風呂に入れました。(しかし、これ全裸でする会話ではありません)

 

おまけー2:よい気候になりました。自転車に乗りながら、ついつい「鼻歌以上」の

音量で唄っていましたら、知らないおじさんにガン見されました。止めるのも何なんで、

おじさん見ながら唄い続けたら拍手してくれました。

 

おまけー3:音楽座ミュージカルの「ホーム」再演! おススメです。

http://www.ongakuza-musical.com/2018/home0224

 

 

 

 

Vol.690 自由の範囲

“わが社は自由な風土・・・伸び伸びと仕事をしてほしい”と入社式で話す社長の

ニュース映像を見ました。4月におなじみの入社式風景の一コマです。しかし、

ほんとにほんとに“自由”なのでしょうか。正確に言うとこの自由は“ある範囲の中での

自由”ですよね。そこには暗黙的に共有された“範囲”があるはずです。

 

“無礼講”と言われて、本当に無礼講な振る舞いをすると、後々ややこしいことになる

ことはご存知の通りです。“ある範囲”の中での無礼講が求められているわけです。

宴席の冒頭に“今日は無礼講だ!”と言われたからといって、かつら疑惑の常務の

髪の毛を引っ張ったり、赤ワインの汚れは白ワインで消せるとして財務責任者に

白ワインをかけたりしてはいけないのです。真空とび膝げりを見せてやる、とか

やってはいけないのです。(若いころのSくんへの戒めです。)

 

ここで言う“範囲”。これは暗黙の常識感によるものです。が、多様化を推進すれば

するほど、この常識感が違う人がたくさん入ってくるようになります。かつては

“若いころのSくん”みたいな人は超マイノリティでした。裏に呼び出して

「お前、何考えてる!」系の指導でなんとかなっていました。つまり、個別撃破で

対応できたわけです。これからそれでは対応しきれなくなるでしょう。

 

この対策を制度的にやろうとすると大変です。ネガティブリストを延々と作ることに

なります。ネガティブリストとは、原則自由だがこれはダメ、という「ダメ」を

列挙するものです。ネガティブリストに挙げられていないものであればなんでも

OKというものです。

 

例えば、“明日の会食。服装は自由だけど、お客様はお硬い系の会社だから、

Tシャツ、ジーンズはダメだよ” この場合、ネガティブリストに挙げられているのは

「Tシャツ」と「ジーンズ」。それ以外はOKということです。なので「柔道着」で

現れたとしてもリストに載っていないので文句は言えない。それがネガティブリスト方式です。

 

そういう想定外のことが起きないように、つまり、自分が思ったように統制しようと

するなら、ポジティブリスト方式にするしかありません。これは原則ダメだが挙げたものは

OKというものです。“明日の会食。服装はスーツ、白のワイシャツでネクタイ、

黒の靴下で来るように。それ以外はダメ”とやるのです。しかし、これではたいへん窮屈です。

 

じゃあ、やはりネガティブリスト方式か、となったとしても、ありとあらゆる可能性を

考えてリストを作る労力がバカになりません。米系の企業との買収案件では

このネガティブリスト方式になることが一般的なので、どえらく分厚い契約書になり、

弁護士へのフィーがかさむことになります。それを日常的にやることを考えると悪夢です。

この方式はおススメできません。

 

ではどうするか。自分の意識の中にある”範囲“を広げるしかありません。自分の感覚

では変なことをする人が現れても笑える度量を持つこと。笑っている自分に当惑する

相手がいたら、それがいかにおかしなことであるかを説明すること。それで相手が

その行動を変えれば良し。仮に変えなくても、そういうことだと受け入れる。

これしかないと思います。

 

現実的にその人の行動により、迷惑や経済的な損失を被るようなことがあるのなら、

それはきちんと説明しなければなりません。ただし、その人への尊重を忘れずに。

 

ここまで書いて、かつて名古屋で冷やし中華に問答無用でマヨネーズをかけられて

文句を言ったことを思い出しました。すべては自分の度量次第ですね。

 

 

 

おまけー1:京王プラザホテル労働組合時代の仲間が六本木で「ひがん」という

和食のお店をやっていることを知り、出かけてみました。さすがの腕。イカの塩辛は絶品!

おススメの日本酒も美味しい。小さなお店ですが、ぜひ足を運んでみてください。

予約の際、柴田励司から紹介されたと言えば通じると思います。

 

http://nihonsyu-higan.com/

 

おまけー2:大谷翔平選手の活躍に胸躍ります。勇気づけられます。

 

おまけー3:おなかが鳴るのを止める方法があったら知りたいです。鳴りそうになったら

咳込むという手は効くときと効かないときがあります。たいてい予知できないので

咳が間に合いません。政治家とか芸能人とかはどうしてるんだろう。

 

 

 

 

Vol.690 上になったら”上”の仕事をする

「上」になればなるほど仕事をしなくなるのが日本企業。その真逆が外資系企業の本社。

15年ほど前はそうでした。最近は変わってきましたね。日本の会社も「上」が目一杯

働くようになりました。

 

「上」になればなるほど、求められる仕事の質が上がり、対応しないといけない量も増える。

だから報酬が高いわけです。ところが、昔の大企業や官公庁では、おおむね課長時代が

ピークでその後は自分で“動くこと”“手を動かすこと”が、ぐーんと減るのが一般的でした。

下がお膳立てした内容にそって動くのが上の仕事になります。“あれはどうなってる?”、

“この担当は誰だ?”あれを持ってきて”等々。

 

判断業務という名の下に“口で仕事をする”ようになるわけです。

 

これが結構様変わりしてきました。今では、多くの企業で「上」であっても、自分で動き、

自分で資料を作成し、自ら話す、ということを当たり前のようにやっています。新興企業は

みんなそうです。ただし、勘違いしてはいけません。そこでやっているのは

「上になる前の仕事」ではありません。「上」の仕事です。

 

ここを理解しないで「今までと同じ仕事」をガンガンやるのはダメです。部下の領域を

侵食しています。それをしてしまいますと「下」が育ちません。更には組織としての

成長も見込めません。ガンガンやるべきは「上」ならではの仕事です。

 

「上」ならではの仕事とは。

 

‐自分がやっていた範囲の仕事をやる人間の成長を支援すること

(そのための機会を創出し、動機付けする)

‐組織全体の感情を高揚させることを企画し、実行する

‐自分たちがやっている仕事の生産性を劇的に高めるために何ができるか考え、動く

‐自分たちが創出している顧客価値を劇的に高めるために何ができるかを考え、動く

‐「上」としての仕事をするために人的ネットワークを拡大させる

‐「上」としての仕事をするために、自分へのインプットをする(新技術や業界動向の勉強など)

 

「今やっていること」の維持拡大ではなく、「今やっていること」そのものを俯瞰して、

「今」の次元を上げる。それが「上」の仕事です。“あいつはまだまだだ”とばかりに

、自分の後任者の仕事ぶりに口出しをしたり、頭ごなしにマネジメントしてしまうのは

「上」としての責務放棄です。

 

技術動向、働く人の意識、消費者の目など、事業を取り巻く環境は刻々と変化しています。

常にそう言われていますが、間違いなくこの変化が顕在化していると思います。

ぼやぼやしていると本当に置いていかれます。「上」が新しいことへのアンテナを

3本以上立てて動いている姿に「下」は刺激を受けます。置いてけぼりにならないように

闇練をする人たちが出てくるはずです。

 

ただし、「上」だけが新しいことを吸収し、その果実を「下」に分けないでいると、

「上」と「下」の距離がどんどん広がってしまいます。

 

事業が好調なオーナー企業でよくあることです。オーナー社長はいろいろなところに

出かけ、人に会い、見識・見分を深めます。「下」は目先の仕事で手一杯です。

そうなると、「上」の言葉が通じなくなります。「下」に世の中に触れるチャンスを与えずに、

「世の中はこうだ。お前たちの意識は低い!」などと「上」がやった日には最悪です。

「上」に対する意識はとげとげしいものになります。何をしてもうまくいかなくなります。

悪循環です。

 

びっくりするのですが、「上」が“口だけで仕事をする”やり方をいまだに踏襲している

のではないか、という大企業も残っています。はっきりしているのは、その「上」の

仕事のやり方を変えない限り、優秀な若者は定着しません。優秀でかつ健全な野心がある

若者にしてみると、そういう「上」の存在は“うざい”のです。

 

 

おまけー1:いよいよ「もしかして、ブラック上司?」発売です。11日ころには書店にも

並ぶだろうと聞いています。ぜひ、手にとってみてください。

 

https://www.amazon.co.jp/%E3%82%82%E3%81%97%E3%81%8B%E3%81%97%E3%81%A6%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E4%B8%8A%E5%8F%B8-%E6%9F%B4%E7%94%B0-%E5%8A%B1%E5%8F%B8/dp/4827211140/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1523007640&sr=8-1&keywords=%E3%82%82%E3%81%97%E3%81%8B%E3%81%97%E3%81%A6%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E4%B8%8A%E5%8F%B8

 

おまけー2:新幹線。名古屋から隣の席にどかっと座ってきた大柄な若者あり。

いかにもスポーツ選手。ちらりと見たその顔はプロゴルファーのIRくん。

「ほう。思ったより大柄だな」と思っていたところ、

IRくんは千葉県の方で首位キープとのネットニュース。「ん?じゃ、この人誰だ?」

 

(IRに似ているプロスポーツ選手)とコソコソ検索したら、あ!この人だ!

 

おまけー3:大阪の某駅。同じ時刻に特急を走らすの止めてほしい。プレミアムカーに乗車。

安心してパン食べてたら、アテンダントの女性が

“あのあの、お客様は反対方面の予約をしていますが・・・”(しかも、特急だよ。)

 

 

 

Vol.689 屈折心がもたらすこと

上司の悪口。中間管理職にとっての格好の肴です。笑える上司ネタはいいですね。

それが悪口であったとしても底辺に「愛」があります。そうでない“ただの悪口”は

いけません。楽しくありません。周囲に悪い気をもたらします。

 

中には自分以外のすべての人について、ネガティブ発言をする人がいます。

これは聞いている方も辛い。本人は批評をしているつもりなのでしょうが、

実のところは批判ばかり。いかにその人がダメであるか、こればかりです。

聞かされている方は辟易とします。ただ、下手な反応をすると自分もどこかでその人の

ネタになってしまうかもしれないので、適当に合わせます。そうなると、喋っている

本人はますます得意気になって言わなくてもいい事まで言ってしまう。

どの組織にもこういう人がいます。特に中間管理職の男性に多いですね。

 

この“悪口”、本人には絶対言いません。むしろ、本人には極めて好意的に接しています

。その人のことが嫌いなのではありません。評価されたいと思っています。

ある意味で認めている人です。しかし、陰では悪口を言ってしまうという屈折した心理です。

 

気づかれていないと思っていますが、多くの場合、本人に伝わっています。

“あなたの悪口を言っている人”を伝えるのは戦国時代より忠誠心の証です。

ここぞとばかりに伝えようする輩はいつの時代にもいます。

 

それを聞いて、態度を変える人はまだいいです。その上の人の度量が大きければ

大きいほど、表面的な態度は何も変えません。ただし、その人に大事な仕事を

任せることはしなくなります。大事な話もしなくなります。徐々に距離を置き、

絶縁です。そうなると、その組織の中での信頼回復はほぼ不可能になります。

 

上司だけではありません。この人の近くにいるとどこで何を言われるかわからないので、

みなが去っていきます。

 

この屈折心は実に厄介です。自分より劣っていると思っている同期よりも昇進が遅れた。

かつての部下と立場が逆転した。こんなときにこの屈折心が芽生えがちです。

しかし、人間ですから、誰でもこういう感情をもって当然だと思います。

 

この心理の背景にあるのは「自分を認めてもらいたい」という欲求だと思います。

組織の中の自分の立ち位置や評価に満足しておらず、自分はもっと高い次元の

人間だということをわかってもらいたい。だから、誰もが知っている上司、

特に評判がいい上司の批評(実態は批判)をして、自分はその人よりも優れている、

ということを言いたいのです。

 

優れているかどうかは自分が言うことではなく、周囲が決めることです。

自分は悪くない、周囲の目が間違っている、という意識からいかに早く脱却できるか。

自分のココロと向き合う姿勢が必要ですね。ただし、この屈折心は怖ろしい速さで

増幅してしまいます。誰かが早期に摘み取ってあげた方がいいですね。

屈折心が周囲に対する憎悪になってしまうと、手がつけられません。

 

4月は組織改編、人事異動などが多く行われる月です。そんなとき、この屈折心を

もちがちな人を予見して対話の機会をもつ。自分の周りにそういう人がいないかどうか、

見渡してみてください。屈折心やその発展形としての憎悪。こういう感情を抱く社員が

いない方がいいに決まっていますので。

 

 

おまけー1:4月は「飲み会」の季節です。ちょっと前ですが、NHKおはよう日本」の

おはBizで「飲み会の極意」について解説しました。なかなか面白く編集してくれています。

 

https://www3.nhk.or.jp/news/contents/ohabiz/2018_0320.html

 

おまけー2:花粉症なので朝のランニングを止めています。その代わりに隙間の時間を

見つけて泳ぐようにしています。しかし、平日の昼間のプール利用者の平均年齢は70歳くらい。

泳いだ以上に消耗するのは何かを吸い取られているのかもしれません・・・

 

おまけー3:地下鉄南北線の中で“私ではありません・・・、ちがいます・・・”と

寝言を言うサラリーマンあり。彼が置かれている状況が見えた気がします。

 

 

 

Vol.688 経験しないとわからない

無理を言ってはいけません。誰かに仕事をお願いするときに、その人が体験したことが

ないし、見たことも聞いたこともないことをやれ、と言ってませんかね。

 

そりゃ、無理です。「青沼静馬」を知らないIndigoblueのMTNさんに“青沼静馬の物まね”を

やってくれ、と言うようなものです。

 

部下が期待するようなアウトプットをつくれないと嘆く前に、その部下に自分が望む

アウトプットを見せているか? 更には、そのアウトプットを創る過程を見せているか? 

自分が作業したり、悩んでいる姿を見せているか? これを自分に問いましょう。

 

こうしたことを一切していないのに、期待するアウトプットが出てきていたとしたら、

それは大変ラッキーです。その部下が極めて優秀であるか、あなたの要求水準が低いか。

このどちらかです。しかし、いずれにせよ、その部下が優秀であれば、早晩いなくなるでしょう。

それではその部下にとって学びがありませんので。

 

この3月末に二人の「柴田励司のカバン持ち」出向者が帰任します。いずれも日本を代表する

大企業からの出向者です。帰任にあたり、出向元の2社でそれぞれに出向報告会を

開催してくれました。彼らがこの1年何を学んだか。その総括の場でした。

保護者のような面持ちで参加しましたが、この1年でずいぶん成長したことを実感しました。

 

彼らが従事した実務は大企業ではまず体験できないような修羅場の連続。日常的にも

何でも自分でやらないといけないという環境で、これらの経験がビジネスマンとしての

対応力を大幅にアップさせました。更に、これに加えて毎月一定時間、私のそばで

私の一挙手一投足を見てもらいました。ここが彼らの“気配”を変えました。

 

見てもらったのは、私のいい面も悪い面も全部です。もちろん“楽屋裏”もです。

限られた時間ではありましたが、その時間を通じて、彼らは私が意識して表現している佇まい

、空気のつかみ方、場のつくり方を吸収してくれました。こればかりはなかなか教えられません。

いずれも私が“社長”業を20年以上やって身に着けたことだからです。スキルとは違います。

経験値です。これは自分の目で見て、体感しないと難しいと思います。

彼らはこの点を彼らなりの解釈で吸収してくれました。引受人としては嬉しい限りです。

 

「どんな仕事を誰としたか」これが成長に大いに影響を与えます。4月に優秀な若者が

入ってくるとしたら、改めて留意しましょう、「誰と仕事をさせるか」。このアレンジは超重要です。

 

自助努力でやれることはやりましょう。何といっても「やったことがないことへの

チャレンジ」に尽きます。

 

なんでもそうですが、経験してみないと自分の引き出しが増えません。いろいろなところに

出かけ、いろいろなものを食べ、いろいろな人に会い、いろいろな芸術作品に触れる・・・。

こうしたことの積み重ねです。何よりも大事なのはそうした経験を楽しむこと。

やらなければならないからやっている・・・では、その経験は「引き出し」にはなりません。

自分が楽しめるような事柄でいいのです。やったことがないことを体験する。そこからです。

 

 

 

おまけー1:「青沼静馬」を知らない方へ。“犬神家の一族”(できれは古いやつ)をご覧ください。

 

おまけー2:なんでも経験だ!とレストランで食べたことがないものを選びがちです。

が、その多くが失敗です。それでも懲りずに新しい“変なメニュー”を選んでしまいます

。多くのケースでネーミングにやられています。“ここでしか食べられない、

トマトとチーズのハーモニーお好み焼き”とかあるとまず頼んでしまいます。(失敗でした)

 

 

おまけー3:「もしかしてブラック上司?」出版記念トークを4月9日の夜、アカデミーヒルズ

六本木ヒルズ森タワー49階)でやります。なんと、書店に並ぶ前のトークです!

 

アカデミーヒルズさんのご好意により、「人事の目」読者に30席ご招待いただけることになりました。

ご希望の方は以下のURLからお申込みください。締め切りは3月31日。

応募者多数の場合には抽選とさせてください。よろしくお願いします。

 

http://indigoblue.co.jp/book_launch/

 

 

 

 

Vol.687 働き方改革はどうなった?

いい加減にしてほしい。そう思いませんか。国会審議のことです。

 

森友問題、財務省改ざん問題が看過できないのはわかります。しかしですよ、

働き方改革」はどうなったのでしょうか?厚生労働省のバックデータがいい加減で

あったという辺りから雲行きが怪しくなり、今や風前の灯火です。

 

新しいことをやろうとしたら心配事が出てくるのは当然です。

しかし、心配事が完全撤廃されないと新しいことを認めないという姿勢はいけません。

それだと何も変わりません。挑戦しようとしていることの目的とその目的達成のための

課題を同じ次元で議論すべきではありません。まずは目的そのものについての議論をする。

それに合意したなら、次に心配事を課題として捉え、どうすればクリアできるかを考える。

これが建設的な議論だと思うのです。どうしてそういう議論ができないのか。

残念でなりません。

 

そもそも「働き方改革」の目的は“日本という国を元気にするため”のものだと私は

思っています。日本の人口動態、AIの進展により、何もしないでいると“カネのない

高齢者”が社会に溢れます。定職につけない若者も増えます。人は、仕事や家事を通じて

、“誰かに(何かに)貢献したり、何らかの学びを通じて成長している実感があってこそ、

元気になり、生きがいを得るものだと思います。これらを失った人たちが増えると

間違いなく社会は停滞し、世の中のムードも暗くなります。日本をそうしてはいけない。

そうしないための「働き方改革」だと思うのです。

 

だから「一億総活躍社会」というようなフレーズが出てきているのだと思います。

ただ、そのための「枠組み」がないと、このフレーズもスローガンに終わります。

「枠組み」とは新しい事業のプラットフォームや業態のことです。例えば「Youtube」。

この「枠組み」により、多くの新しい雇用や消費が生まれました。

こういう「枠組み」を創出する人材が輩出される社会であってほしいわけです。

 

しかしながら、現在の労働法制下では「創造人材」が活躍しにくいです。働いた時間で

評価する人工(にんく)の発想がベースにあるからです。標準的な作業時間・作業量を

基準に考え、報酬を決める仕組みでは、創造活動を評価しにくいです。更には生産性が

高く、短い時間で仕事を完了できる人が報われません。むしろ、時間をかけた人の方が

評価されるというおかしなことになっています。これが過剰労働を生む温床にもなります。

 

もちろん、この人工発想があてはまる仕事もあります。それはそのままでよいのです。

しかし、創造的な仕事をする人には違うルールを適用すべきなのです。

 

また、育児や介護、遠距離結婚(職場から離れた場所に嫁ぐこと)などの個人的な

事情抱える人にしてみると、時間や場所の制約を受けない働き方を許容してもらえないと

どうにもなりません。

 

これらを解決するための新しいルールをつくろうという動きが「働き方改革」だと思うのです。

 

残業代ゼロで無制限に働かせるようなブラック企業が出てくるからダメという論調があります。

 

実際にはブラック企業よりもブラック上司問題だと思います。しかし、そのブラック上司も

やりたくてブラックをやっているわけではなく、その言動に問題があり、結果として

“ブラック上司”になってしまっていることが大半だと思います。

この“ブラック上司”対策を推進する方がブラック企業対策としては実効性があると思います。

 

ということで「あれ、もしかしてブラック上司じゃね?」という本にまとめてみました。

もうすぐ発売です。

 

https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784827211146

(なんと、もう予約受付してくれている書店さんを発見。)

 

繰り返しになりますが、「働き方改革」の心配事は課題として、いかにクリアすべきかを

検討するというのが筋だと思います。目的を見失った議論をしていてはいけません。

 

それ以前にこのテーマを置き去りにしてはいけません。

 

 

おまけ:20日(火)のNHKおはよう日本の「おはBiz:カイシャインの掟」に登場します。

早朝6時10分頃で早いのですが、ぜひご覧ください。

 

テーマは「飲み会」です。(笑)