柴田励司の人事の目

Indigo Blue メールマガジン

Vol.265 期待<信頼

組織の中で仕事をしていると、腹が立つこと、がっくりすること、悲しいことに
遭遇しますよね。しかも、それは頻繁にあるかもしれません。こんなに、一生懸命
やってあげたのになんでだっ・・・と。それを大爆発させるわけにもいかない。
(たまに抑えきれずに爆発してしまうこともあり)。結果として悶々とした夜を過ごす。

こんな想いをしているリーダーがたくさんいると思います。
期待したとおりに動いてくれない、反応しない・・・、この悩みは、残念ながら、
人間を相手にしていると避けられません。

ヒトはみな、自分とは違うのです。自分が"期待"するように動くと期待すること自体、
無理なんじゃないでしょうか。期待する、だから、それが叶わないと腹が立つわけです。

もしかすると、これは自分のエゴかもしれません。
相手には相手の人格があり、事情があります。
自分の想定内に全て入れ込もうとすることは、無意識のうちに「支配しようとしている」
のかもしれません。「支配」できないと怒る、これではいけません。

だとすると"期待しない"のが一番よいのです。期待すると、どうしても、
その期待を押し付けがちです。だから、期待しない。

私自身、このことに気づくのに結構時間を要しました。結構、"いらち"でしたので。

そうは言っても、仕事上でお願いしたことをやらない、約束を守らない、
そういうヒトには困りますよね。当然ながら、決まりごとを守ってもらうことは、
仕事を進める上で最低のルールですから。

その場合にも「なんでだー!」といきなり爆発せずに、相手の事情を理解しようと
すべきです。黙認はいけません。悶々としますし、相手も"これでいいんだ"
と誤解しますから。

もしかすると、お願いしたことが伝わっていなかったのかもしれません。
背景情報の共有が不十分であったかもしれません。コミュニケーションの良し悪しは
会話の背後にある"想い"をいかに共有できるかにかかっていますから、
通り一遍の説明では真意が伝わっていないことは十分に考えられます。
更には、現時点での能力レベルを超えるリクエストをしたかもしれません。

相手は相手なりに精一杯やっているのかもしれません。
そこをガツンとやってしまいますと、気持ち面で壁が生まれます。そうなりますと、
会話の背後にある"想い"どころの話ではなくなります。双方にできるだけ、
かかわりたくないというネガティブな感情の種がうまれ、同様の問題が
繰り返されるようになります。そこで更にガツンとやったり、悶々となると悪循環です。
ですから、まずは、怒らない。

そうは言っても、こっちも人間ですから、期待感が大きいとどうしても
裏切られた感が生まれます。結果として、腹も立ちます。だから、最初から
アウトプットに対する期待感を持たないようにするのです。

あきらめなさいと言っているのではありません。

自分がイメージしている通りに仕事をしてくれたら"ありがたい"、
もし、そうでなかったら"それはそれ"と受け止めるのです。
そんな風に考えられるのは、その相手を信頼しているからです。期待ではなく信頼。
自分が言ったとおりにやらないかもしれない。
しかし、基本的なところはおさえているから心配する必要はないと考えられるような
関係をつくればいいのです。

要するに、信頼できないヒトとは仕事をしなければいいのです。逆に言うと
周りの人間を信頼しましょう。仕事を始める前に「あなたを信頼する」と言いましょう。
失敗したとしても、失敗しようと思って失敗するのではない、良かれと思ってやった
結果だと受け止めていることを示します。まずは、そこからです。

仕事の質を云々する前に、お互いにお互いを信頼できるように時間を共有する。
このための努力を惜しんではいけません。

信頼できるヒトかどうかは時間を共有すればわかります。あなたの感覚が
YES/NOを伝えてくれます。それに従えばいいだけです。

もし、相手が能力的に不足している場合には、そのアウトプットが満足できない
レベルのものであっても、まずは提出してくれたことについて感謝した上で、
提出してもらったものを自分で修整します。または、使いません。
それをきちんと伝えます。怒るのではなく、仕事をしてくれた労力には感謝、しかし
"使えない、使わない"ことを示すのです。ココロあるヒトであれば、その時点で
自分の至らなさを理解して、成長スイッチが入るはずです。

幸いに、ここ数年、私の周りにいる人たちは信頼できるヒトばかりでした。
現在もそうです。だから、余計なストレスがなく仕事ができます。
実にありがたいことです。



おまけー1:
深い話を聞きました。日本のサッカーチームが得点力不足なのは、選手が
小さい頃からシュート練習してミスをするとコーチから怒られるからだと。
シュートしたという行為を褒めずに外すと怒られる。そうなると、つい自分以外のヒトに
パスしてしまう、最後の責任をとれなくなってしまう、と。
やっぱり、減点主義はマズイですね。


おまけー2:
豪華寝台特急での旅をしてみたいなぁと思っています。この話をしたところ、
CCCの女性リーダーのF島さんが「全面ガラス張りの?」と。(そんなのあるのか?)
「外から丸見えじゃん。」(ここから、話は変な方向へ。)


おまけー3:
「じゃあ、その中でマッパでタイタニックポーズできる?」と私。
「大丈夫ですよ。走っているから。」とF島さん。
「じゃあ、10万円払ったら、やる?」「もちろんです。」
「5万だったら?」「・・・ボーナス前ならやります!」(安い。)