柴田励司の人事の目

Indigo Blue メールマガジン

Vol.280 「少数精鋭」

最近、「少数精鋭」についてよく考えます。

「少数精鋭」は"するもの"か、"なるもの"か。

一般的には、こんなシチュエーションで使われることが多いように思います。
今のメンバーに満足していない管理者が外部に"精鋭"を求め、
人材サーチ会社のお墨付きで、"精鋭"が見つかった。
但し、社内相場よりもはるかに高い給与をオファーしなければならない
その人間を採用したいので、上長に「少数精鋭でやっていきます」と説明。

これは"するもの"的発想です。(つまり、少数精鋭にする!)

そうは言っても現在のメンバーとの完全入れ替えで採用するケースは
稀なのが実態。結果として、少数精鋭どころかヘッドカウントは増加。
採用後に「入れ替えしてないやんけ」とフォローする上長もおらず・・・
これでは、少数精鋭になりません。

そもそも"精鋭"を一人入れたところで、直ちに何かが変わるほど
世の中は単純ではありません。
周囲との信頼関係がなければ、いかに優れた技量の持ち主を投入したところで、
一人では成果が出るものではありません。
仮に信頼関係が構築される前に成果が出たとしても、
それは一過性のものなので、単純には喜べません。

"精鋭"を外部から即戦力で求めるのは無理があります。
(人材サーチ会社の方には良く覚えておいていただきたい。
"外部の優秀な人材を入れて少数精鋭でやりましょう"的営業トークしちゃダメ。)

"精鋭"は、内部に求めるか、外部の"精鋭"に時間をかけて
自社にとっての真の"精鋭"になってもらうしかありません。

考え方を変えてみましょうか。
"精鋭"を集めて少数でやるのではなく、「少数でやるから"精鋭"になる」と。

少ない人数にすると、なんでもやらなければなりません。
これは私の仕事ではありません、なんて言っておられません。
必然的に神経を張り詰め課題に取り組むことになります。
誰かに頼るという意識が消え去り、結果として精鋭化する・・・
そういうことではないかと。

10人の組織を「少数精鋭」にしたい、と考えた時に10人でやっている仕事を
どう整理し、どのように役割分担するか、という計画的かつ論理的な
アプローチではなかなか進みません。
そうではなく、一気にどーんと3人にしてしまうのがよいかもしれません。

10人でも「集団皿回し」をしているところをいきなり3人にしてしまうと、
"シルクド・ソレイユ"級の皿回しになるー!という感じですが、そうではありません。

これは一端、回している全ての皿を止めてみようかというものです。
当然、皿が落ちます。
が、その中で新たに3人が本当に回さなければならない皿だけを拾う
という乱暴な提案です。

ここで大事な皿が割れてしまうリスク、その結果、
社内が混乱するリスクがあります。
お客様との直接的な接点で、この無茶なアプローチは問題あるかもしれません。
しかし、間接部門ではありではないかと。

社内が混乱するリスク、もっと言えばサービスレベルが一時的に落ちること、
停滞することは折込済みでやるのです。
何もしないで「集団皿回し」を放置して、多くの関係者が疲弊し、
かつ目先の仕事をこなすだけの組織体になってしまうリスクよりは良い!
・・・と割り切るのです。

しかし、この3人の人選が要です。全て既存メンバーから選ぶのは止めましょう。
10人でやっているイメージがあるメンバーには酷なリクエストになります。
既存メンバーからはベテランを1名残存して、他の2名はテクニカルスキルや
知識が欠けていても、どんな仕事でも当事者意識をもって飛びついていけるような
タイプを内部から登用しましょう。

最初から3名でやるもの、という意識で仕事に臨みますから、
なんとかなるのではないかと。
そういう姿勢が結果として、この3名を「精鋭化」するだろうと思います。
つまり「少数精鋭になる」のです。

大企業で上場していると、なかなか「少数精鋭」になる機会がありません。
ここは意図的にそういう環境を創った方がいいでしょうね。
さもないと、気がつくと社内に精鋭候補が全くいなくなってしまうかもしれません。



おまけー1:
19日の株主総会後の取締役会を経て、CCCの代表取締役COOになりました。
といっても、何かが変わるわけもなく、引き続きミッション遂行あるのみですが。


おまけー2:
区役所に出掛ける用事があり、ずいぶんといろいろな催しや勉強会が
開かれていることを知りました。結構、有益そうな内容です。
しかし、こうしたことを納税している人間のどれだけが知っているでしょうか? 
行政のコミュニケーションもマスからOne to oneに変えるべきだと思います。


おまけー3:来週は"梅雨休み"でメルマガはお休みです。