読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

柴田励司の人事の目

Indigo Blue メールマガジン

Vol.286 1人の仕事を5人でやっていないか

日本でワークシェアリングが進みにくい本当の理由がわかったような気がします。


これまでの私の見解は以下の3つでした。


日本のホワイトカラーにおいては、
1.個々人のレベルで仕事の体系化ができていないので分担しにくい
2.仕事に属人的要素が強いので他の人では担いにくい
3.最後まで自分で仕上げたいという"職人魂"が他の人に任すことをよしとしない


だから、ワークシェアが進みにくい。


最近、それ以上の問題が根底にあるのではないか・・・と思い始めました。


もしかすると、日本企業の多くでは、既にワークシェアをしているのかもしれないと。
しかも、非常に非効率なワークシェアを。


だから、改めてワークシェアという掛け声があっても進まないのではないかと。
1人でやれることを5人でやっていませんかね。
もちろん、5人分とか10人分の仕事量をこなしているヒトがいることも事実です。
しかし、こういう"スーパーマン"は一握りで、
あとの大勢は5分の1の仕事をやっているのではないでしょうか。


多くの日本企業で、新卒の定期採用をしています。
これにより、結構な数の人間が組織に入ってきます。
中途採用については、現場の直接的なニーズに基づいて行われるので、
現場の長としても責任意識がありますが、新卒については違います。
現場のニーズというよりも経営のニーズという認識です。


否定的ではないが、主体的ではない。
現場の長としては、新卒は与件です。
もっと言うならば、自分が中途採用した人間以外は、
ほぼ全員が与件ということかもしれません。
自分が選んだわけではありませんから。


そうなると、10人の組織を預かったリーダーは10人に仕事を与えます。
ここで無意識のうちにワークシェアが起きているのです。
その組織で本当に必要な人数は何人か、という発想ではなく、
まず今いるヒトの数ありきになります。


一人でやった方がいい仕事を複数名でやっていますと、
本来は不要なコミュニケーション、会議が発生します。
ここで、時間とリソースが割かれます。
かつ、複数が関わっているために責任の所在が不明になり、
リスクがとれないので積極的に前に進まなくなり、チャンスを逃します。 
その上、誰かがやるだろう、ということでミスも起こりやすくなります。
そのミスのフォローでまた時間とエネルギーを割くことになります。
いい事がありません。


5分の1の仕事をしているヒトの多くは、罪悪感と焦燥感から、
無意識の本来不要な仕事をつくって忙しいように自分を追い込みます。
それだけならまだしも、これに付き合わざる得ないヒトたちが出てきますので、
組織効率は更に悪化します。


この手のことから生まれる忙しさは変な忙しさです。
"ただ忙しい"状況で疲弊します。
仕事をしている充実感や達成感が得にくいでしょう。
人生の大事な時間をこんなことで費やしてはいけません。


ここをなんとかしましょう。


組織運営側と社員側の両方で年に一度ゼロベースで
仕事内容を確認する機会をつくりましょう。


一人でやるべきことは一人でやる。教育的見地から、その動き方を見せて、
やらせて、自信をつけさせるということはあるでしょうが、
それ以外は一人でやるべきことは一人でやる。
この当たり前のことを基本原則にしませんか。


これは個々人が使命感を持って仕事にあたることができる上に、
組織効率も改善します。
組織の生産性も向上するはずです。


コンサルタント時代に、日本の大手企業と仕事をする際の担当者の数の多さに
びっくりしたことを思い出します。
外資系だの場合には、代表者か人事責任者など限られたメンバーとやってきたので、
1プロジェクトで10人近く出てくる感覚に戸惑ったことを思い出しました。




おまけ:タクシー運転手の鑑識眼

「貢ぐ女と、貢がせる女がいるでしょう、お客さん?」


恵比寿から乗ったタクシーの運転手さんがいきなり話しかけてきました。


「・・・そうかもね」
「すぐ、わかりますよ、あたしゃ」「へえー・・・、どこでわかるの?」
「顔です。顔の感じ。」「ふーん、男でもわかる?」
「わかりますよ。」
「僕は、どっち?」


「お客さんはねー、・・・***ですね。」(なるほどー)


やっぱり、多くのヒトを見てきているヒトは違いますね。
タクシー内の物語が書けそう。