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柴田励司の人事の目

Indigo Blue メールマガジン

Vol.299 ユーモア

ちょっと前のことですが、こんなことがありました。


とある企業のエレベータに5人くらいで乗り合わせていたときのことです。
昇降ボタンの前に立っていた20代と思われる女性が"ぷっ"とおならをしました。
(あっ・・・)


なんとも言えない緊張感がエレベータの中に漂ったその直後、
後ろから"ぷっ"という音が。
思わず全員が音の方向を見ると、中年の男性が、


"いやー、うつっちゃった!" 


この男性のおかげでエレベータの中は一転して笑いが。
最初のおならの女性だけでなく、そこにいた5人全員が救われました。


絶妙なユーモアです。(自在におならを出せるスキルにも脱帽ですが。)


ユーモアは場の空気を変えます。笑いは最高のアイスブレーキングです。
リーダーともなると、人前で話しをする機会が増えます。
少人数のミーティングをリードすることも日常的になります。
その際に、要件だけ話すというスタイルだと、
聞いている方から緊張感がとれません。
正論でかつ、大事な話しであっても、それ一辺倒だと
聞いている方が身構えてしまいます。


ちょっとした、アイスブレークとしてのユーモア。
このセンスがリーダーのメッセージ力を強めます。


ユーモアとギャクを取り違えてはいけません。
ちょっと古いですが、部下からの提案に対して、"そんなの関係ねぇ!"
といったアクションを職場でやるのはNGです。
また、ダジャレもユーモアと違います。寒くなるだけです。
ボケは時としてユーモアにもなりますが、
"本当にボケている"と思われるリスクがあります。


ユーモアとは「共感されるもの」です。
周囲のみんなが"あー、そうそう"と思うから笑うわけです。
2年くらい前に、"あるある探検隊"というネタがありましたが、変な振り付けや
失神ネタがなければ、ユーモアとしてのセンスがいいものもありましたね。


明らかに周囲からいじられキャラの人がいて、
"来るぞ来るぞ"とみんなが思っている中で、そのヒトがいじられるので、
笑いが起きるのです。そういう空気感が醸成されていない中で
特定個人をネタにしてはいけません。笑っていいものかどうかわからないので、
場の空気がギクシャクします。


自虐ネタもなかなか高度です。
しかし、明らかに自虐ネタを言わない感じの人が敢えて言うことで、
場に安心感が漂います。


この見事な例があります。
映画「不都合な真実」の中で、講演前にアル・ゴア
「かつて一瞬、大統領だった・・・」と自己紹介するシーンです。


こうしたユーモアはネタとして用意しておくのではなく、自然に出るようにしないと
かえって辛いものがあります。センスですね。


センスというと生来のもの"どうしようもない~"、と落胆することはありません。
このユーモアのセンスを磨くのは実は簡単です。
センスがあるヒトのそばにいて、その呼吸感を盗めばいいのです。
こればっかりは「How to 本」で学ぶのは無理です。


センスあるヒトと時間を共有することで、だんだん馴染んできます。
ある日、普通にユーモアを話している自分に気づくことでしょう。


さて、ユーモア以前の問題として、リーダーがメッセージ力を高めるとしたら
「笑顔」を忘れてはいけません。
リーダーは常に意識して「笑顔」でいましょう。
「笑顔」は伝染し、場の空気を和ませます。
笑っている状況じゃない、という声が聞こえてきそうです。ですけどね、
笑っていられない状況で厳しい顔をしていては、周囲は余計ピリピリします。
厳しい状況であればある程、最高の笑顔でいましょう。


ユーモアの達人でいつも笑顔を絶やさなかったYさんが先週亡くなられました。


私がマーサーの社長時代に、某外資系企業の社長を退任されたYさんにお願いして、
格下のポジションである成長途次の会社のマーケティング部長、
総務部長を歴任してもらいました。
時には、新設の部門の責任者もやってもらいました。


とりわけ、私が考案した「10年後の人事を考える会」については、
その運営の全てを担当してもらっていました。
この会のOB・OG会がずっと続いているのは、
ひとえにYさんのお人柄に他なりません。


会議を移動中の車内での電話会議に変更して、告別式に参列してきました。
それにしても早すぎるご逝去。告別式に20分しか参加できず、
夜の会食までスケジュールがぎっしり。余韻に浸る間もなかったですが、
さすがに、この日は凹みました・・・。(合掌)



おまけ:次回「300号」をもって、予告通り、しばらく休刊いたします。
サイトはオープンしたままでおきますので、バックナンバー、掲示板などを
ご活用いただけますと幸いです。