読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

柴田励司の人事の目

Indigo Blue メールマガジン

Vol.334 2010年現在のグローバル人事マネジメント

グローバル人事マネジメントがホットになってきました。

このテーマは97年頃、04年頃にもホットでした。
97年頃の主たるテーマは「日本人派遣者のコスト管理」。
海外派遣社員の人件費にメスが入れられたのがこの頃です。

海外で仕事するのは"大変だ"と、何かと手当がつきました。
そうではなく、合理的な考え方で給与を決定しようという気運が高まりました。
日本で1000万円もらっているヒトが赴任先のシンガポールでも
同等な可処分所得にするには・・・という考え方です。
併せて、この時期にコスト高の日本人を派遣するのではなく、
現地の優秀な人材を登用するという動きに拍車がかかりました。

次のピークは04年頃。そこでは、日本以外の拠点を"グローバルに管理する"ことに
スポットライトが当てられていました。海外拠点の優秀な社員をデータベース管理して、
企業内大学で養成し、日本の本社で活用していこう、それが主要テーマでした。
しかし、あくまでも日本が本社。上司は日本人という考え方です。

現在ホットになっているテーマはちょっと違います。

日本を含めてグローバルにモノを考えようという気配があります。

なんだかんだ言っても"日本と外国"という視点、それがこれまでの考え方でした。
常に日本が中心。しかし、日本を中心にした考え方に固執しているとそこに制約が生まれます。
冷静に今後の成長戦略を考えると、日本についても主要な経済圏の一つ(One of them)として
考えざるを得ない。そうなると、マネジメントについても同様に考えるべきではないか、
となってきているように思えます。ようやく"グローバルに考える"ようになってきたとも言えます。

そうしたときに、日本以外の多国籍企業と比較して"超・ウルトラ劣位"なのが「人材」です。
グローバルにモノを考える以前の問題として、日本以外の環境で普通に仕事ができるヒトの
絶対量が足りません。
ここをなんとかしないと、日本企業はグローバルに"動く"ことができません。

日本人以外の人たちと普通に接し、普通に仕事をする。これだけのことなのですが、
それがデキるヒトが圧倒的に少ないのが日本企業の弱みです。


何と言っても「英語の壁」が大きいですね。
われわれ日本人はコミュニケーションツールである「英語」を10年以上勉強してきています。
英語のテストの結果が成績や受験に影響してきました。このため"間違ってはいけない"
という強迫観念がそこに植え付けられてしまっています。
まずは、この壁を壊す必要があります。

話す内容を一度考えてから、なんてやっていたら仕事になりません。語彙の不足はあっても
変なプレッシャーを感ずることなく普通に話せるようになりませんと。まずはそこからです。

かつて私はマーサーというグローバル企業のマネジメントチームの一員でした。
その時には、ニューヨーク、ロンドン、シンガポールメルボルン、上海、東京・・・
という単位で移動し、メール、電話会議、TV会議などを駆使しながら、
普通に仕事をしていました。国内を移動し、仕事をする感覚です。
しかし、これはグローバル企業のマネジメントチームの動き方としては普通でした。

当時はずいぶん背伸びをして頑張っていた記憶があります。
私も他の方と同様に"英語"の壁にぶつかっていました。日本語だと100%伝えられるものが
英語だと20%くらいしか伝えられないもどかしさ。ここで悩み、英語の特訓もやりました。

しかし、ある時気づきました。
英語のネイティブの連中ですら、20%くらいしか理解していないことを。
われわれは一単語も聞き洩らさないように集中して聞いていますが、
連中はぱっと聞いてぱっとイメージして、それで話す。
だから誤解もあるし、聞き間違いもある。

考えてみたら、日本人同士の日本語での会話でも100%伝わるということはまずありません。
言葉だけで100%伝えようとするのが、そもそも無理な話。そこに他の要素も絡めて
100%に近づけるようにしているわけです。英語でも同じです。

更には周囲には英語のネイティブではないヒトの方が多い。
フランス人、中国人、ドイツ人・・・、彼らの英語も相当にテキトーです。
そう思ったら、一気に気が楽になりました。

この気づきが"壁"を壊します。社内の公用語を英語にする、
という動きもありますが、"間違ってはいけない"トラウマの日本人同士で英語を話しても、
なかなかこの気づきには到達しないんじゃないかな・・・と思っています。
また、言葉を上達させようとしたら、上手い人と話しませんとなかなか上達しません。
言葉の学習の原点はモノマネですから。

この気づきの場を人為的に創ろうと「柴田塾」の中では、英語の間違いを気にしていては
話にならない課題を入れています。また、塾の参加者についても、日本人以外のヒトにも
門戸を開放しました。ワークショップの際にはチームの中に一人は日本人ではないヒトが
含まれているようにしたいと考えています。日本語でも、英語でも何語でもいいから
議論しないと先に進まない、そういう環境を体験してもらうことが"気づき"の近道かと。

その柴田塾の12月開催の登録締め切りが11月30日です。
イメージをつかんでもらうための映像(2分)もできました。是非、ご覧ください。
(音楽入りで見てくださいませ。)

http://www.youtube.com/watch?v=rQi2ccxHBCg

なお、登録いただいた方の中から、今回12月分の当選の方、
次回以降に優先的にご参加いただく方をお決めする予定です。



======================================

おまけ:今更ですが「陰陽師」という映画を見ました。
野村萬作さん演ずる主人公の"安倍晴明"というヒトが実在していたって知ってましたか?
しかも、この陰陽師なる仕事が明治時代まで陰陽寮という機関の国家公務員だったことは?

映画の中で「ヒトの心が神も鬼も生む」というセリフがありますが、全くその通りかと。