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柴田励司の人事の目

Indigo Blue メールマガジン

Vol.337 ヒトは"聞きたいことだけ"を聞きがち

こんな経験がありませんか。

きちんと説明したはずなのに、相手は全く違うように解釈している。
しかも、そのヒトにとって都合がいいように。
挙句の果てには"そんな話は聞いていない"、とまで言われる・・・。

更には、こっちが聞いていないことについても、"言った!"と
強く主張されたり・・・。やれやれ。

こうしたコミュニケーション上のトラブルは、仕事をしていく上ではある意味でつきものです。
特に、上司と部下との間、顧客と取引先との間で起こりがちです。
(親子間でも起こりがちです。)

おそらく人間は、自分が聞きたい話だけを聞く。そういうわがままな生き物なのでしょう。
溢れんばかりの情報の中でも、関心があるニュースには何故か気がつきますし、
関心がないことについては、いくらインプットを試みても
あっという間に忘れてしまいますから。

この"わがまま"な部分は誰にでもあると思います。
そこを取り上げて、どうこう言うつもりはありません。

そうは言っても、前記のような"わがまま"し放題のヒトは困りものです。
仕事の相手としては最悪です。

人間は強い立場になると、無意識のうちに相手に対して、
自分の話を聞いて当然と思い、それこそ自分が聞きたいことしか耳に入らなくなります。
つい、無茶なことを言ったり、勝手に解釈したり・・・。 
この尊大さ、困ったものです。

だからだと思いますが、社長、重役、お得意様というエライ立場のヒトに
"自分の聞きたいことだけ聞く"というタイプが出没しがちです。
更に、企業のオーナーで高齢者に、この傾向が強いように思います。
しかし、これはそのヒトの人間性の問題ではなく、
環境がもたらすものだと思います。

オーナーは、何かあったとしても、一般社員のように"辞める"という
選択肢を取りにくい存在です。自分の子供の素行がひどくても、
その「親」をやめられないのと同じです。だから辛い。
一般社員には理解しがたいプレッシャーと気構えの中にいます。
表面的に穏やかであったとしても、常に緊張(もしくはイライラ)感が
自分の中に内在しているはずです。

加えて高齢になると、自分の職業人生の先が見えてくるので、
ますます追いつめられてきます。そうなると、一層、
聞きたいこと以外は聞こえないようになってしまうわけです。

更に、それを助長するのが、"茶坊主"です。

オーナー経営者の周囲にオーナーにとっての耳触りの言いことばかり話し、
なんでもかんでもオーナーの話を称えたりする輩が増殖します。
俗に言う"茶坊主"です。

冷静な目を持っていれば、"茶坊主"かそうでないかの見極めができるのですが、
なにしろ、追いつめられていますので、オーナーはそれがわからなくなってしまっています。
そうして、更に自分の聞きたい話だけ"茶坊主"から聞くようになる・・・
まさに「裸の王様」。

どんなに素晴らしい製品やサービスを世の中に提供していたとしても、
そこのオーナー社長が「裸の王様」になっていると、未来はありません。
株で言うと「売り」です。なにしろ、トップが聞きたいことしか聞かないので
どんどん視界が狭くなっていきます。

どんなに優れたオーナー社長であったとしても、そのヒト一人の視界だけで
ビジネスが上手くいくほど、世の中は狭くありません。


先日、ひょんなことから、この"聞きたいことしか聞かない、
"オーナー経営者を諌めることになりました。
なにしろ、聞いた話を勝手に解釈して、それが実行されないことに腹を立て、
取引先にくってかかるという有様。
たまたま、私が双方のお話を聞く立場にあったので、こうしました。

まずは、その"オーナー経営者"が理解していることを箇条書きのメモにしました。
メモ中の短い文章一つ一つに番号をつけます。次に、そのオーナーの周囲の人間を
全部集めて、オーナーと一緒にメモを確認しました。その後、そのメモを取引先に確認。

すると、何番の文章で、双方の理解が食い違っているのかが明らかになります。

しかし、ここで「違い」を追及しても建設的ではありません。誰が言った、
聞いていないという"犯人探し"になります。

そうではなく、原点に立ち返って、双方のビジネスにとってのゴールを再確認して、
その上で"どうするか"を話し合う、という方向を示唆しました。

また、そのオーナーには自分が理解していることが進まない場合の
「Plan-B」を冷静に用意するように伝えました。自分が思ったとおりに
進まないからといって感情を害していても、先に進みませんから。

そのオーナー、さすがに世界に認められている技術者。気持ちの切り替えが早い。
そのやりとりの翌日には「確かに、自分の常識にずれている点があった」
という連絡がありました。その気づきが継続すれば、"裸の王様"から脱却できるのですが。



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おまけー1:毎月第二火曜日に、日経産業新聞で「ベンチャー経営虎の巻」なる
連載をしています。今回は結構反響がありました。
内容ではなく、写真にです・・・ "ヅラ疑惑" むむむ・・・
http://www.indigoblue.co.jp/news/2010/20101214.html



おまけー2:音楽座ミュージカル「ホーム」観てきました。魂への滋養。ありがたいです。
東京公演は今日で終わり。あとは大阪。
http://www.youtube.com/watch?v=IsbUKYXiigI



おまけー3:週末のうち1日の午前中は、掃除・洗濯です。
しかし、家事は"段取力"を鍛えるのに最高ですね。