柴田励司の人事の目

Indigo Blue メールマガジン

Vol.348 イメージする力を鍛えよう!

地震、大変なことになりました。
しばらく余震が続きそうですが、大丈夫ですか?

地震発生時、私は個人的な理由からたまたま家から3キロくらいのところにおりました。
平日の3時頃に自宅付近にいることなど、まずありませんから奇跡的です。

周囲は停電になりました。このため信号がSTOPし警察官が出動。
手旗誘導体制に。加えて、鉄道が止まっていたので車で移動するヒトが激増し
国道は超渋滞。そんな中、普通は30分の距離を3時間近くかけて戻ったところ、
今度は家のセコムの侵入センサーがチカチカ点滅・・・。

すわ地震泥棒か!・・・とおそるおそる家に入ったところ、違いました。
地震の揺れで窓が開き、それをセコムが感知したようです。
いつもだと誤作動であっても、ほんの数分でセコムの警備員が駆け付けてくれるのですが、
警備員が家の中に入った気配がありません。心配だったのでお客様センターに
電話したところ、あちこちでいろいろな事が勃発したので、手が回らなかったとのこと・・・。


観測史上最大級の地震。想定外のことも結構あったようですが、
BBCやCNNで言われているように、被災地の人々が自らをコントロールして
冷静に動けているのが素晴らしいことだと思います。

地震による過去の大惨事を見たり、体験したりしてきているので、
どう行動すべきか、イメージできているおかげなのでしょう。

そうなのです。

我々は無意識のうちに、これから何が起こるかをイメージしています。
そのイメージがあるから手を打つことができます。イメージがないと、
何をしたらよいかわからず右往左往します。逆にイメージが豊かであればあるほど、
オプションが増えます。短期的な手と長期的な手の両方を打つことだってできます。


イメージは未来を知る力とも言えます。仕事がデキるデキないを左右する力だと思います。
気がきく、きかないも、このイメージする力に依存していると思います。

トップリーダーにイメージする力がないと大変なことになります。
全ての施策が後手後手になります。それだけではありません。
自らの意思決定が周囲にどのような影響を与えるのか、
このイメージを欠いていると、自社の評判を大幅に落とすことにもなりかねません。

トップリーダーの使命はステークホルダー(利害関係者)の利害の調整です。
もう少しわかりやすく言うと、関係者のみなさんがそれなりに納得し、
それなりの"いいこと"と"よくないこと"を享受する状態を保つこと。
これがコーポレートガバナンスの原則です。

その中でもトップリーダーたちが特に意識すべきイメージの矛先が、
時代の要請(背景)と共に変わっています。


90年代は"株主を忘れるな"、00年代は"顧客価値が優先"でした。
10年代の今は、これらに加えて"社会にどう貢献できるか"、
これがハイライトされています。

まずはPL(製造物責任)、CSR(企業の社会的責任)から始まり、
これにTwitterFacebookというSNSソーシャルメディア)が発達したことで
拍車がかかりました。

例えば、とある企業が大きな看板をたてて自店をアピールしたとします。
これまでであれば、その影響をイメージすべき範囲は近隣住民の日照権への配慮程度で
よかったかもしれません。今や、その地域を訪れる全てのヒトを対象とした景観への配慮
が求められています。

その地域の住民にとっては"慣れてしまった"風景であっても、そこを訪れたヒトが
不快に感じて、SNSで発信、これが波紋となってその企業のイメージがダウン、
ということも十分に考えられます。

イメージすべき範囲が劇的に拡張しています。全てを感知するのは不可能としても、
可能な限り、自分の感知範囲を広げておく必要があります。リーダーたるもの、
そのためのトレーニングが必要です。

イメージは論理的なものではありません。むしろ、直感的(Intuition)なものです。
直感は自分の経験と知力のもたらす最高・最速のソリューションだと思います。
これは座学だけでは鍛えられません。
体験を伴う実学とそれを体系化した座学の組み合わせが最も効果的だろうと考えています。
だからこそ「柴田塾」では、いろいろな世代・国籍、背景を持った人たちが、
それぞれのイメージを衆知結集しないと対応できないようなケーススタディ
用意しているのです。

「柴田塾」は年に3回くらいしかできないので、ちょっとした事象、意思決定が
どのような波紋を起こすか、このイメージトレーニングを日頃からしておきたいですね。



=======================================

おまけ:地震被災地の方々のために、自分が何ができるか考え、行動を起こしましょう!