柴田励司の人事の目

Indigo Blue メールマガジン

Vol.379 プロジェクトが壊れるとき

「もう、私はいいです。好きなように進めれば?」
このマインドセットのメンバーが出てくると、プロジェクトとしては黄色信号です。

そもそも、プロジェクトチームとはある目的のために、特別に組成された集団です。
プロジェクトのミッションを達成した時点で解散、または次のステップに進みます。

たいていの場合、多くのメンバーが本来業務との兼務でスタートします。
これは時間のやりくりが大変です。しかし、そのミッションの重要性を理解しているので、
時間的に厳しくても頑張ってなんとか両立させていきます。そこには、メンバー全員が
プロジェクトの中での役割を自覚して、"自分ごと"でその役割を担っている姿があります。

ところが、だんだんプロジェクトメンバー間に秋風が漂い、いつの間にかプロジェクトリーダーの
孤軍奮闘に。そうこうするうちにプロジェクトそのものがフェードアウト。リーダーは傷心。
誰もそのプロジェクトについてはふれなくなる・・・。

社内プロジェクトでよくある悲しい顛末です。

ありがちなのは、このプロジェクトを発案した社長や役員の関心度が変わったために
そうなるものです。ひどい話なのですが、"いつまでやってんだ?"的な気配が社内に漂い、
ひとりふたりとプロジェクトからメンバーがいなくなっていきます。

これは最低。

本来、重要なプロジェクトチームに呼ばれることは"誇らしい"ことのはずなのですが、
社内的な認知が"負け残り"みたいな感じになります。 

プロジェクトを立ち上げた役員にはそのスポンサーとして、プロジェクトを見届ける責任があります。
仮に重要度や関心度が変わった場合には、それをきちんと説明して、
チームをきちんと解散させるべきです。
流れに任せてはいけません。

あとは、プロジェクトリーダーの運営の仕方に問題があり、参加メンバーの"熱"が
冷めていくというパターン。これもよくあります。なんでそんなことになるのかと言うと、
リーダーが"最新情報"をメンバーにタイムリーに共有しないからです。

メンバーが専任でないと、どうしても本業のスケジュールに引っ張られます。そのため、
プロジェクトが佳境に入ってきたときのスケジュール調整がうまくいかないことが出てきます。
その際に、欠席するメンバーへのフォローをきちんとやるかどうか、それが決め手になります。

これは全ての会議に言えることですが、会議の参加メンバーには「MUST」メンバーと
「NICE」メンバーがいます。
「MUST」メンバーはその名の通り、絶対参加。そのメンバーが揃わない限り、
原則として会議を開催しないというものです。「NICE」メンバーは"参加してもらえるとありがたい"
というメンバーです。ですから、そのメンバーが参加できなくとも会議はGOします。

プロジェクトチームの場合、基本的には全員が「MUST」メンバーのはずです。
しかし、全員が集まるのを待っているとタイムリーにプロジェクトの運営ができない、
ということになりますから、一部のメンバーで議論をして進めざるを得ないという展開になります。
そのときに、参加できないメンバーの意見を事前に聞かなかったり、会議の内容を伝えるという
フォローをきちんとしないでおくと、そのメンバーは"あ、自分はもう関係ないんだ・・・"
(「MUST」ではない)というマインドになってしまうのです。

そのプロジェクトについて本気だが忙しい、というヒトがいます。そういうヒトは
会議の後でそれなりの意見を述べるでしょう。
時には、それは会議の結論と異なることもあるでしょう。
そうなると、リーダーとしては、"面倒くさい"。そういう意識の高いメンバーへの情報共有に
二の足を踏むようになる。これが秋風の原因になります。

大きなプロジェクトであれば、事務局を置いて、欠席者へのフォローを
その人の仕事にすればいいのですが、
小さなプロジェクトの場合にはリーダーがこの点について配慮すべきです。


先日まで、とあるプロジェクトに参加していましたが、重要情報の共有がないので、
「もう、いいか」という気持ちになりました。そのプロジェクトそのものは、
私の参加がないと成立したいはずなのですが、運営側にその配慮が欠けています。
そうなると、自分の中でのプライオリティは下がってしまいますよね。
今は"言われたことをやる"という、業務委託マインドで参加しています。
ほかにもやるべきことがたくさんありますので。

みなさんの周りで、私のような気持ちになっているメンバーはいませんか?



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おまけ:

先日、西日本の日本海側の某地に赴きました。それにしても、日本海って、
なんであんなに物悲しい風情なのでしょうね。

大きな温泉宿に宿泊したのですが、その周辺には、いかにも"わけあり"のスナックが立ち並び、
外で聞こえてくるカラオケは"銀座の恋の物語"。

その並びにあったラーメン屋に入ったところ、ママさん(?)はパンチパーマ。
ご主人は青白い顔で寡黙。誰が頼んだかわからない料理を黙々とつくっています。

置いてある漫画は「俺の空」と「包丁人味兵」・・・。お客はほとんど"わけあり"の風情。

この空気の中では"醤油ラーメン"以外には頼めない感じ。
トッピングとかを軽々しくお願いしてはいけない感じでした・・・(店の営業的にはどうなんだろう)