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柴田励司の人事の目

Indigo Blue メールマガジン

Vol.390 上海

およそ3年半ぶりに上海に出掛けてきました。

かつて、CG会社の社長をやっていたときには2か月に一度くらいのペースで訪れていました。
当時、上海の浦東地区に制作の子会社がありまして、私はそこの董事長をやっておりました。

久しぶりに行くと変化がわかります。まず大気汚染がひどくなっています。
ホテルの高層階からの視界が黄土色っぽく曇っています。朝にホテルの周辺を
軽くジョギングしましたが、20分くらいで喉がおかしくなりました。

ネット規制も変わっていません。もしかすると強化されているかもしれません。
なにしろホテルのサーバー経由だとFacebookが見れません。Youtubeはもちろん見れません。

上海の知人からこんな笑い話を聞きました。肌を相当程度露出している写真を含むページを
自動的に閲覧不可としたところ、中国の某要人の顔写真がそれにひっかかったとのこと。
原因はその方の額のスペース・・・。こりゃ、まずいということで、今ではロボット技術に
大量の人を投入してアナログで規制しているという噂です。
それが本当だとするとすさまじい数の人を投入していることになります。

といっても、一般の上海市民はVPN(Virtual Private Network)を通じて自由にネットにアクセス。
Twitterで活発に意見を交換しているそうです。
人々の動きを規制しようとしてもそれが人間本来の欲望(この場合は"知りたい""発信したい"
"つながりたい")に基づくものだと無理。
必ず規制の網をくぐって実行するものです。歴史が証明しています。


さて、上海でお会いした経営者がこう言っていました。

「何もやらないとリスクが大きくなる。」

この言葉、今の上海・中国をよく表していると思います。なにしろ、世の中の変化が早い。
新しいサービスや商品が生まれると、あっという間に模倣品が出回り市場が成熟します。
コピーライトがどうのという議論をしているうちに、その商品・サービスそのものが陳腐化して
特定の議論だと意味がなくなります。ですから、彼らの論点は「真似するなら、真似してみろ。
こっちはその先に行く!」です。

そんなスピード感で動いているので、"お客様に出す品質"の基準が全く異なります。
日本では、完全なものを万全な体制を整えてから出しますが、どうやらそんなペースで
やっていては他に先を越されてしまいます。中途半端であろうと、とにかくカタチができたなら
市場に出してしまう。その後、走りながら完成させていくという姿勢です。

例えばショッピングセンターを開設するときなど、テナントが十分に入っていなくても
始めてしまいます。
商品のアフターサービス体制が整っていなくても始めてしまいます。
新規事業の立ち上げにしても、考えついたら即実行。想定されるリスクを何十にもわたっ
会議室で議論してからGOサインを出す日本と大違いです。

上海の消費者はそれを良しとしているかというと必ずしもそうではないようです。
しかし、供給者側の論理が優先しているというのが実態でしょう。

この状況の最大の背景は「人が多い」ということです。とにかく多い。だから競争が激しくなる。
安穏としていてはあっという間に誰かに淘汰されてしまうという危機感が周囲に蔓延しています。
それがこの爆発的なスピードの源泉だと思います。

このスピード感、おそらく日本の1970年代の感じと一緒なのではないでしょうか?

中国の方々とビジネスをやろうとすると、このスピードやアウトプットの質に粗野なものを感じて
"一緒にはやれない"と思うかもしれませんが、長らく停滞感のある日本企業としては、
この「高度成長感」を刺激剤として取り込んでみてはどうか、と思いました。

大企業の経営会議は「お代官的」なことが多いです。社員が提案してきたものを
あれこれ重箱の隅をつついて、何度も何度も提案させて、
その上で条件付きでGOサインを渋々出す。
批判的な意見は言うが自ら手を差し伸べることはしない。

このながーいプロセスの間に上海ではビルが建ち、その社員の"やってやろう!"
というモチベーションは冷え切ります。

会社に勢いを取り戻したいのならば、中国事業を企画して中国の会社と一緒に仕事をして
刺激を受ける。
これも有効な処方箋の一つだと思います。



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おまけー1:上海からの帰国時、某中国系キャリアでの出来事。Duty Freeの買い物をして
余った元で払おうとしたら「釣りがない」とのこと。で、まけてくれるのかと思ったら
「釣りは要らない?」


おまけー2:その上海でチケットに印字された17番搭乗口に行ったところ誰もおらず。
前を歩くヒトも首をかしげて引き返してきます。で、近くのカウンターで聞いたところ、
印字をボールペンでぐしゃぐしゃにして「16」。そこで、「16」に行ったところ、そこは台北行き。
私が乗る便は「15」からの出発。あぶない、あぶない。


おまけー3:私が個人的に応援している音楽座ミュージカル/Rカンパニーの公演があります。
1月20日~22日@町田です。お近くの方へ、ぜひ、劇場へ! 私も出かける予定です。

「ブレンド」という宇宙人3人組のナンバーが楽しみです。

http://www.ongakuza-musical.com/sakuhin/shabon.php