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柴田励司の人事の目

Indigo Blue メールマガジン

Vol.482 そろそろ覚悟を決めて、トップ候補の育成を

「リーダー育成」と一口に言っても、「将来のトップマネジメント候補の育成」と
「次世代のリーダー候補の育成」は同じではありません。

多くの企業・団体でやっているのは「次世代リーダー育成」だけ。仮にあったとしても
「現職者のサクセッションプラン(後継者育成)」ではないでしょうか。

「トップマネジメント候補」の育成には、かなりの覚悟が要ります。だからやれていない
のかもしれません。ただ、そろそろ覚悟を決めてやらないと日本の大企業の弱体化に
歯止めが効かないのではないでしょうか。

自然体でリーダーの育成をしていきますと、全社的な視点からの人材の育成が進みにくく
なります。優秀な若い人材がそれぞれの部門で"囲われる"からです
。(外に出てもらっては困る・・・)その人材を部下に持つ管理職が思うのは当然です。

管理職は自分のリソース(ヒト、モノ、カネ、時間)を最適活用して目標を達成し、自ら
が率いる組織を成長させる、これが仕事です。そうなると、優れた人間を活用し続けたい
と考えるのは当たり前です。

その人材の将来を考えて、選抜研修には出しますが、異動についてはNGとなります。
そうなると、せっかくのポテンシャル人材が狭い範囲での活躍に留まることになります
。どんどん時間が経ちます。その人材は自分に残された時間と将来を案じて、自ら外に出る
(辞める)道を選ぶ、この展開になりがちです。

これを防ぐ方策として社内FA制度が挙げられますが、当人に上の人に対する"愛情"が
あるとなかなか動けません。社内FAだと精神的な負い目が残るので"社外を選ぶ"ことに
なりかねません。

本気でトップマネジメント候補を育成しようとするなら、以下の7点を意識されることを
おススメします。

1.      現職の社長が「トップマネジメント候補育成」のスポンサーになること

「社長」経験のない人達が計画すると"優れたスタッフ"を育成する内容になりがちです。
専門家であっても「社長」経験がないとわからない感覚があります。どんなに小さな会社だろうと、
子会社だろうと「社長」経験者のディレクション(方向付け)は絶対に必要です。

2.      20代のうちから「選抜して動機づけ」すること

エリートは周囲への奉仕が仕事。ここをわかってもらうための動機づけと教育は早いうち
からやっておくべきです。部長くらいまで一緒にやってきた中からポンと選ぶと本人の中に
「リーダーとしての自覚」が熟成しきれません。周囲に遠慮したり、傍若無人になりがちです。

3.      「選抜」した人材の人事権を本社人事におくこと

"囲い"を防ぐために必須です。現場の部門長は1回の"時期変更権"のみ有することにします。
つまり、選抜人材のキャリアプランのための異動要請があった場合で、どうしても事業継続上の
問題がある場合には3か月ないし6か月の繰り延べ要請だけはできる、とします。

4.      子会社をトップ人材育成目的で活用すること

どんな小さな会社でも構いません。「社長」を経験させることは必ず次につながります。
事業目線のポートフォリオに「人材育成」の視点をいれて子会社を活用しましょう

5.      選抜途中で漏れた人材へのオプション提示をすること

選抜して様々な経験をさせていくと「天井感」がでてくる人材がいます。その際に、社外の
オプションも用意しておくこと。このための戦略的な(前向きな)アウトプレースメント、
つまり、健全な"天下り"の用意をしておくこと。

6.      グローバルを視野に入れること

候補者は日本人だけではありません。20代からの選抜プールに海外の人材もいれましょう。

7.      選抜人材にはコーチをつけること

選抜人材の成長を後押しする存在として利害関係のないコーチをつけましょう。ある段階までは
社内コーチでもよいでしょうが、上級管理職クラスになってきましたら、外部のコーチをつける
ことで"軌道修正"のチャンスが増えます。(このコーチですが、日本人以外のコーチをつける
のも効果的です。)


特に1番の「社長」がスポンサーになること。これは本当に必要です。

現在世の中にあるリーダー育成系のプログラムのほとんどが「スタッフ養成」です。
「スタッフ」として極めてしまいますと、リーダーに求められる"わからないこと、未来の
意思決定"ができなくなります。「スタッフ」は与件があって動くこと、問題を提示されて
解決にあたることが仕事。リーダーとは本質的に違います。

(もしかすると、資質的な要素も違うのかもしれませんが。)

そろそろ、覚悟をきめてトップマネジメント候補の育成を。2004年に調査したときに、
日本以外のグローバル企業のCEOのほとんどが45歳から54歳だったのに対して、日本企業の社長は
55歳から64歳。それから10年。未だに変わっていないですよね。


おまけ:

Indigo Blueの取締役で「犬の手作りごはん」サイトを運営するコラビー代表の瀧谷さんが、
積年の研究?の成果として「カレー事業」を始めました。

ちょっとしたカレー・レストランより美味しいカレーを、市販のカレールーと同じ手軽さで
作れるカレーキットを販売しています。ダマされたと思ってぜひ試してみてください。
4人前で830円です。

http://currysss.com/

試作段階のものを食べてみましたが、私は気に入りました。上野の場末にあるパキスタン人が
やっているお店の野菜カレー、白金台の千年茶館の海老カレーに次ぐ"美味しさ"です。