柴田励司の人事の目

Indigo Blue メールマガジン

Vol.487 大企業からはリーダーが生まれにくい

年末年始はいかがお過ごしでしたか。私は、年末は掃除やふだん出来ない資料、写真の
整理。年始は恒例化しつつある「山手七福神巡り」からスタート。所沢の実家に両親を
訪ね、フィットネスクラブでラケットボール、映画「清須会議」、録り貯めしていた
TV番組の鑑賞・・・と長期休暇だからこそできることを堪能しておりました。
 
Indigo Blueを会社化したのが2010年7月。本格化したのが2012年8月。昨年は初めて
1年を通してIndigo Blueで代表者兼プレイヤーとして奮闘してきました。これはこれで
楽しいですし、充実感もあるのですが、それだけですと発展性がありません。2014年は
自分の知識、知恵、経験、技を「コンテンツ」化して、より多くの方のお役に立てるよう
図っていきたいと思っています。
(私的勉強会も企画しようと思っています。詳しくは"おまけ"で。)
 
さて、ここ数年、実感していることがあります。実感というよりも、最近では確信
めいてきていると言った方がいいかもしれません。
 
「大企業から優れた"スタッフ"は多く生まれるが、"リーダー"は生まれにくい。」
 
大企業は組織で動いています。そこには役割分担やルールがあります。当然です。
それがないと混乱し、組織運営がとんでもなく非効率になります。
 
一方で役割分担やルールは人の行動を規制します。誰かが決めたことを誰かの期待に沿う
ように行動することを求めます。自分で企画し自分で実行し、自分で必要な軌道修正を図り、
結果に責任を持つ。このPDCAサイクルを自分で回すことがなかなかできません。
 
しかも、評価制度の中では「上」から見られているので、「上」の目を意識して動かざるを
得ません。「上」の意図と異なる行動をとりますと、代わりがいますので、結果として
外されます。これが「上が求める正解」を求めて動こうとしてしまう行動の源泉です。
 
これら全ては優れた"スタッフ"を育成する仕組みそのものです。
 
この中で20年もやってきますと、優れたスタッフの動き方が身体に馴染みます。
そうなると、いざリーダーというポジションに就き、未来を拓くための意思決定をする
役割になったときに惑います。
 
未来を拓く意思決定はイノベーションそのものです。そこに「絶対解」はありません。
少なくとも決める時点では何が最適解なのか誰にもわかりません。しかし、それでも
決めなければならない。それがリーダーの仕事です。
 
ところが、長い間、誰かが「正解」を持っている中で仕事をしてきたり、誰かが決めたことを
実行する役割を担ってくるとそれができなくなります。そういう風に動くことに慣れていない
ので、リーダーになっても、周囲の人間たちと議論をしてコンセンサスを得ようとして
しまいます。これがスピード感を失わせ、その事業のユニバース(世界観)を小さくします。
 
「絶対解」のないことを議論して決めようとすると、デキない理由がたくさん出てきます。
時間をかけて議論したあげく、保守的な動き(または動かないという結論)になります。
イノベーションのイの字もありません。
 
関係者がどう考えているかを聞いておくのは必要です。しかし、決めるのはリーダー自身の
仕事です。多数決で決めるべきものではありません。
(リーダー一任を多数決で決めるのはありです。)
 
大企業として安定した運営をすればするほど、イノベーションが生まれず、活気が弱くなって
いくのはここに原因があるのではないかと思っています。
 
では、どうしたらよいか。
 
解決方法は少なくとも2つあると思います。まず、"意図的にエリート"をつくること。
それと"安穏としない人事制度にすること"。
 
エリートのミッションは自らの優秀さを他のために役立てること。こういうエリートたちが
将来リーダーとして活躍してもらうために、特別な経験を積ませる。具体的には多くの人を
巻き込み、かつ"背負い"ながら自分の責任でPDCAを回す役割を担わせること。これです。
(そのプロセスで対象者をスクリーニングします。)
 
"安穏としない人事制度"とは、企業の価値創造への貢献度から社員一人ひとりの格付けを
一定期間で見直す仕組みにすることです。
 
全社員を対象に再格付けを定期的に行います。過去の評価・実績で格付けが積みあがっていく
職能資格制度や個々のポジションによって格付けが変わる職務資格制度ではなく、
"ガラガラポン"を制度化するものです。
 
また評価についてもKPIをベースにしたものと多面評価によるものにして、特定の「上」の
色を薄くします。
 
昨年来、私のこうした提案を受け入れていただく企業が出てきました。今年はもう少し声高に
この提案を掲げていきたいと思っています。20世紀の人事の考え方と制度のマイナーチェンジ
でいくのは、そろそろ止めた方がいいと思うので。
 
2014年も引き続き、よろしくお願い申し上げます。
 
 
 
おまけー1:「2020年人材育成責任者の会」をやります。
これは、2020年に企業・団体で人材育成の責任者の役割を担うであろう方を対象とした勉強会です。
(今も責任者で6年後もそうだ、という方も歓迎します。)2014年上期分で15名程度募集します。
 
3月1日(土)終日と4月25日・26日の合宿を想定しています。(場所は都内)
これは私的勉強会なので費用は会場費・宿泊代だけです。(たぶん5万円くらいです。)
 
ご希望の方はこのメルマガへの返信でお名前、会社名、お役職、年齢をお知らせください。
(応募者が多数の場合には次回に優先的にご案内致します。)
 
 
おまけー2:三谷幸喜監督の「清須会議」、なかなか面白いです。
いつもの三谷作品とは違いストレートですが、組織内政治をうまく描いています。
まだの方へ。早く見にいかないと終わりそうです。
 
 
おまけー3:品川プリンスは50歳以上でシニア割引で1000円。その半券を持って行くと、
水族館が半額の900円。この水族館、なめていましたが、なかなかいいです。マンタも
ノコギリサメもいるし。アオリイカの水槽もいいです。
ふだん、スーパーとかで見ているイカがふわふわ泳いでいますよ。