柴田励司の人事の目

Indigo Blue メールマガジン

Vol.509 ギャップ人材対策

「会社がやってほしいこと」と「本人がやれること」にギャップがある中高年社員。

この人たちをどう処遇するか。大企業、IT系で重い課題です。

 

該当者からすると、だいたいこんな感じです。

 

1:低い評価になる

2:給料が下がる(降格、降職になる)

3:キャリア研修なるものに参加させられる

4:“退職”を検討させられる

(5:退職勧奨を受け、再就職支援を受ける)

 

“ギャップ人材が辿る道”の典型です。

 

この展開は嫌ですね。本人も会社も辛い。しかも、根本的な解決になっていないので、

該当者が次から次に続きます。根治策をやりましょう。

 

私の提案は「定年制を止め、期間の定めのある雇用にする。」ことです。(これがPlan-A)

 

個々の社員が“自分の退き時は自分で決める。”というマインドセットを持つようにする。

これなしにはギャップ人材問題は解決しないと思います。

そのための「定年制廃止」と「雇用期間の有期化」です。

 

仕事は「自分でやる」「他者にやってもらう」に分けられます。スキルについては、

「特定の仕事に紐づく特定スキル」、「一般的なスキル(思考力、対人関係力等、

ポータブルスキルと言われているもの)」があります。

 

このうち、「特定スキル」を使って仕事をしている場合に、それがどんなに優れていても、

その“特定の仕事”がなくなってしまったり、紐づきのスキルが変わってしまうと一気に

“用無し”になってしまいます。

 

「一般的なスキル」を応用して、異なる領域で活躍したり、「他者にやってもらう」

(広い意味でマネジメント)に転身できるヒトは良いのですが、そうでないと確実に

“ギャップ人材”になります。

 

だからこそ「一般的なスキル」を鍛えておけ・・・、となるのですが、人間はそんなに

合理的に動けるものではありません。頭では十分にわかっていても動けない。毎日忙しいし、

ついつい後回しにして、気が付くとギャップ人材が辿る道に足を踏み入れている・・・、

 

ここを変えるには本人が自分の仕事環境、将来予想、自分自身のことを考え、主体的に

アクションを採らざる得ない環境をつくるしかないと思うのです。

 

定年なるものがあると、そこまで頑張ろう(実際には“しのごう”、“耐えよう”)になります。

会社側からみると、これは“ぶら下がり”です。会社に余裕があればいいですが、そうでないと

確実にリストラ対象です。この展開からの再就職は大変です。やりたくない仕事に嫌々ついて、

人生の末節を抑圧された気持ちで過ごすことになります。

 

定年がなく、かつ雇用期間が有期になると、仕事を続けたいと思ったら、有期期間を超えて

続けるための自助努力をせざるを得ません。

 

特定スキルが陳腐化しないために努力するか、一般スキルを鍛えるか、マネジメントスキルを

鍛えるか。この3つの何れかに取り組むことになります。もちろん、その度合いと出来不出来

には個人差があるはずです。それでも、自分のことを考える真剣さは今とは比べものに

ならないはずです。

 

これを推進する場合のインフラは、“本人が努力したいときにその機会がある”環境づくりです。

これを確実に担保しないとブラック企業や経営難の企業の社員にはその機会が生まれません。

 

インフラ実現のために政府・行政にやっていただきたいことが2つあります。

まず「研修休暇」の新設です。年次有給休暇同様に「研修休暇」を制度化し、この運用を

ウオッチしていただきたい。労働時間だけでなく、研修休暇をとらせているかどうかを監督

していただきたいのです。

 

研修そのものについても会社お抱えではいけません。会社が企画して、集合研修でやっていては、

そこに個々人の主体性がありません。一般的なスキルを習得・向上させる機関を紹介し、

「参加する・しない」は本人が決めるようにすべきです。

 

この研修は社内で知った顔が集まる中でやるよりも、他流試合の方がいいです。余計な

人間関係やパワーバランスを気にすることなく、ピュアに研修に参加できます。これにより

「研修という名の業務」になってしまうことも制御できます。行政にはこの研修を担う

非営利の社会人学校を各地域に設立していただきたい。これが2つ目のお願いです。

 

研修修了後には「スキル認定」をし、そのヒトの努力を可視化し、履歴書を充実させます。

(これが本来のジョブカードの思想ですね。)

 

会社としては、社員が決められた研修OFF日を消化していない部署をウオッチし、該当管理職が

注意される(ペナルティがある)ようにしましょう。

 

これらが整うと構造的にだいぶ変わってくると思います。戦力外通告を受けてから次を

考えるのではなく、現役時代に自ら次を考える。そういうマインドセットが当たり前に

なってくると思います。

 

但し、「雇用期間の有期化」など政府・行政に期待しても、現実的にはハードルが高いと思います。

Plan-Bは自社で「研修休暇」をつくる、複数に声をかけて「一般スキル」研修の場をつくる、

「一般スキル」の認定が報酬の決定要因(手当をつける、昇降格要素にする等)にする、ですね。

(しかし、これだとブラック系はやりませんので、課題は残ります。)

 

 

おまけー1:自分の退き時は自分で決める。この信条でずっとやってきています。

一定以上のクオリティの仕事をし続けるためには「体力」「気力」の充実があってこそ。

 

おまけー2:「X-MEN:フューチャー&パスト」観てきました。

 

http://www.foxmovies.jp/xmen/

 

いくつか腑に落ちない点があり、うむむ・・と数日なっていたのですが、以下のサイトでスッキリ。

要は「ウルヴァリン:SAMURAI」を観ていないために混乱したことがわかり、早速レンタル。

 

(ちなみに以下のサイトはネタバレ満載なので注意を)

 

http://topics-stand.com/archives/4528.html

 

 

おまけー3:6月16日からIndigo Blueは同じビルの7Fに引っ越します。ちょっと広くなります。

うれしー。 ヽ(^o^)丿