柴田励司の人事の目

Indigo Blue メールマガジン

Vol.570 新規事業立ち上げの鍵

生態系の違い。これが大企業で新規事業が生まれにくい理由です。大企業は時間をかけて

築き上げたプロセスやルールで動いています。そこには機能別に役割が定義され、

階層があります。就業規則、人事制度、オフィスのレイアウトもこの生態系をサポート

することをベースにつくられています。当然、組織風土もこの影響を受けたものになります。

 

この中で新規事業を立ち上げようとしてもうまくいくわけがありません。生きるための

生態系が違います。

 

“なにがなんでもこの事業を立ち上げる!”という熱意。“これを推進するのは自分だ!”

という強烈な当事者意識。これらを持った人たちがいること。これが絶対条件になります。

新規事業は誰かの指示命令下でやるものではありません。

 

大企業で新規事業を本気で立ち上げるのであれば、自分たちとは異なる生態系をつくり、

それを自分たちの基準による管理の外に置くこと。この覚悟が必要です。

 

昔は社内にそれなりの影響力を持つ担当者のキャラや、力をもった役員の後押しがあれば、

強引にやれたと思いますが、上場企業ともなると、内部統制や、社内情報ネットワークの

進化により、そのやり方だと看過できないノイズが出てしまいます。

「外」でやった方がいいです。

 

まずは別会社をつくり、就業規則、人事制度を別ものにします。オフィスも別にします。

そこで働く人たちは転籍にします。出身元の大企業のことを気にしながらやらなくても

いいようにします。仮に失敗した場合でも、その人たちが自社にとって必要な人材なら、

中途採用”すればよいのです。なお、その担当者たちが、ここで躊躇する場合には

新規事業の立ち上げには向きません。

 

ちなみに規則はできるだけ少なくします。人事制度も制度と言えるようなものはなくても

構いません。評価としては、新規事業が立ち上がるかどうか、お互いにこの人が必要だと

思えるリーダーシップ、フォロワーシップ、パートナーシップがあるかどうか、

これらだけでいいでしょう。

 

別の生態系、言うならば江戸時代の「出島」のようなものなのですが、これを完全放置せよ、

ということではありません。親会社たる大企業の担当役員にも重要な役割があります。

 

立ち上がるかどうか、そのモメンタム(勢い)を知るために定期的にこのチームとの

ディスカッションの場を設けましょう。

 

頻度も2か月に一回1.5時間~2時間程度でよいでしょう。

予実管理などの計画値の議論ではありません。“どんな感じか”を聞くのです。

 

・モメンタムが停滞している

・チームがチームとして機能していない

・議論ばかりで具体的なアクションに結びつかない

 

こうした印象を持った場合にはリーダーに懸念を伝え、リーダーの考える原因と

対策を聞きます。

 

その上で改善が見られない、あるいは悪化する場合には人事権を行使して、

リーダーを変えます。

 

親会社たる大企業側がすることは計画値の管理ではなくヒトの管理です。

 

新規事業は時として大企業の屋台骨を支える事業を破壊する要素が入っていることがあります。

特に、既存事業の顧客基盤を活用する場合にはそうなりがちです。既存事業のビジネスを支える

技術力やサービス力を置き換える話になると、既存事業への影響が心配され、

意思決定が遅れます。

 

最終的に判断するのは顧客になります。そう割り切って、既存事業に影響を与えそうな

ことであっても「出島」でどんどん進めます。この覚悟が親会社側に必要です。

 

新規事業を立ち上げるキーワード。それは「覚悟」です。

 

 

おまけー1:覚悟をもって雑誌「DRESS」のリニューアルをします!

 

8月31日(月)~9月6日(月)の7日間、駅貼りポスター(六本木/恵比寿//赤坂/赤坂見附/虎ノ門/

溜池山王/青山一丁目/外苑前/神谷町/広尾/乃木坂/麻布十番/六本木一丁目/白金高輪)ほか、

いろいろキャンペーンをやります。ぜひ、応援してください!

 

 

おまけー2:「鳥人間コンテスト」ってご存知ですか。学生時代の友人がこれに何度も

チャレンジしていました。夢のある企画ですね。今年は9月2日に放映のようです。

 

http://www.ytv.co.jp/birdman/

 

 

おまけー3:NHKの「LIFE!」のキャラクターのイカ大王の歌が頭から離れません・・・

 

https://www.youtube.com/watch?v=GLJbJoeGwK8