柴田励司の人事の目

Indigo Blue メールマガジン

Vol.682  なんでもトップのせい、ではない

”トップが、トップが、“と、なんでもかんでもトップのリーダーシップのせいにする

コンサルタントや大学の先生がいますが、トップをやってきたものの目線として、

わかってないなぁと思います。

 

何をすべきか、どう振る舞うべきか。考えていないトップはいません。トップともなれば、

常にこれらのことを気にかけています。そのレベルの問題はあるかもしれません。

しかし、ひとたびトップという役割についたなら、相応に考えているのがふつうです。

 

トップは社内外からいろいろと言われるものです。何か問題が発生した場合にはすぐに

批判されます。これは仕方ありません。そういう役回りですから。しかし、改革を

支援するという専門家から「トップが、トップが」という主張をされると白けます。

そういうことではないのです。そんなに単純なことではないのです。

 

全社的な問題で何かを変えることにしたとします。この場合、トップの後押しなしに

全社的な課題に取り組むのは確かに難しいです。トップ以外の誰かが強くドライブ

しようとしても、トップがそのテーマについて沈黙を保っていると、多くの社員たちが

トップの顔色を気にするからです。それはどんな会社でも同じです。

 

ただし、トップがその件について「やるべし」と公けに発言したのなら、あとは

トップのリーダーシップの問題というよりも、組織一人ひとりの問題ではないか、と

思うのです。こういう話をしましたら、あるコンサル(ちなみに英国人)から、

“日本の会社員はどう動いたらいいのかわからないのだろう。”と言われました。

そうかもしれません。が、それをトップのリーダーシップによって解決すべし、

というのはいかがなものか、思うのです。(もっと言うなら、そういう社員ばっかりの

組織もどうかと思うのです。)この問題は、現場の最小単位、多くの場合チームや

課ですね、そのリーダーのリーダーシップが問われていると思うのです。

 

大きな組織になりますと、自分の出番をつくるために画策したり、意図的に動かない

輩がでます。また、トップを言い訳にして政治的に動く“茶坊主”も出ます。

これらもトップとしてみると、気持ちいいものではありません。

 

業績・成果を上げながら、こうした複雑な組織問題をどう改善するか、

それがトップの悩みです。ちなみに、ここで言うトップとは社長やCEOという、

まさにトップから事業部門や機能部門のトップも含みます。

 

この一番の処方箋は自分の周囲を「一枚岩」にすること。これだと思います。

政治的な意図を持っている人も含めて「一枚岩」を目指すのです。さらに、そこに

参加した人たちにもその人たちの周囲を「一枚岩」にしてもらうのです。そのためには

周囲の人たちと、一緒に何かをすること、一緒に笑うこと、一緒に感動すること、

そして徹底的に議論すること。こうした場の企画運営が得意な人はどんどんやりましょう。

 

そうでない人は、このためのノウハウと経験値がある専門家(IndigoblueにはEmotional

 Integration というチームがあります)に支援を依頼しましょう。

 

組織課題は複雑です。トップ一人が力んだところでどうにもなりません。

トップだけの問題ではありません。チームで対応する。急がば回れ、です。

 

 

おまけー1:2月9日に大阪YMCAで講演しました。宿泊したホテルから歩いていくことに

したのですが、電話しながら歩いていたら、生来の方向音痴も災いして、気づいたら

まったく違う場所へ。過去の学習から徒歩10分です、という距離を30分前に出たので

なんとか定刻前に着きましたが。

 

おまけー2:新幹線の中で席から頭一つ出ている人がいました。えらく座高が高いなあ、

と思って、トイレに行くふりをして見に行きましたら、70代とおぼしき爺様が座席の上に

立ってました。なにしてんだろう。

 

おまけー3:先日、雅叙園東京で講演しました。改めて思いましたけど、

ここの施設はすごい。一見の価値あり。

 

http://www.hotelgajoen-tokyo.com/