柴田励司の人事の目

Indigo Blue メールマガジン

Vol.283 "編成"の主権が移行しつつある

本格的な夏になりました。熱中症と冷房病にはくれぐれもお気をつけください。

夏と言っても蝉がまだ鳴きませんね。昨日、恵比寿でアゲハチョウを見ました。
なんだか久しぶりだったので、思わず足を止めてアゲハチョウを
目で追ってしまいました。

そう考えると、自分が小学生だった頃の夏の気配とは違います。
夏休みが始まる頃の夏といえば、蝉時雨と昆虫! これが記憶にある夏です。

いつから変わったのかはわかりません。
気がついたら変わっていたように思います。
世の中の変化というものは、こんな感じなのでしょう。
明確にバシッと変わるのではなく、徐々に、そしてさりげなく変わっていく・・・

事業者として怖いのは、この変化に気がつかないことです。
特にマーケットでのポジションが良いほど要注意です。
自らの好調さにおごれて、変化の兆しを見逃しがちかもしれません。
そういう中で最近、"編成機能の主権が移行している"と感じています。

編成とは、あまたの情報の中から生活者に伝えるべき情報を選択して
加工する機能です。わかりやすいのが新聞とかTVです。
新聞社、TV局がやっていることは、まさに編成機能です。
生活者は新聞社やTV局が編成した記事や番組を読んだり、
見たりして情報を得るわけです。

ところが、最近では、新聞を読まないし、TVを見ないというヒトが増えてきました。
それで困っているかというと困っていません。
情報は得ていないのかというとそうでもありません。

自分が欲しい情報だけをピックアップしているので困らないのです。
新聞やTVからの情報についても、そのまま鵜呑みするのではなく、
自分用のフィルターをかけているように思います。
ピックアップやフィルターという行為を通じて、自分用に編成しているのです。
つまり、編成の主権がメディアから生活者に移行しつつあるのです。

これを可能にしたのは、言うまでもなくインターネットです。
今後、2011年7月を目指して全国の家庭のTVにインターネットがつながります。
(そうならないと政府は困るので、とんでもない施策を展開したとしても)
全ての家庭がインターネットでつながっている、社会がすぐそこに来ています。

そうなると、居間にあるTVは、もはやTVではなく、
自分用の情報ボックスになるはずです。
ここで、自分が好きなこと、関心があることを設定しておくと、
あまたの番組や情報の海の中から、自分用に編集されたものだけが
表示されるようになります。

情報が偏っておかしなことにならないか、という心配は無用です。
おかしなことになって困るのは当人です。
ですから、知らなかった!ということであれば、
次からはその情報を取りにいくでしょう。
そうして、自分の編集能力を磨いていけばいいのです。

そうなると、この影響を最も受けるのが、これまでの「広告」です。
広告とは、提供側の論理で提供されるものです。
提供者が自分の商品やサービスを知ってもらいたい、買ってもらいたいので、
高額の広告費を払って、電波や新聞のスペースを買うわけです。
ネットの広告も同じことが言えます。

しかし、編成の主権が生活者にあるようになると、この意味が問われます。
提供側が編成の主権を持っていると信じて、特定の情報をプッシュしても、
真の主権を持っている生活者には届かなくなります。
となると、従来型の広告モデルは気がつくと激減していた
ということになるのではないでしょうか。

そうなったときに、どうやって生活者に情報を提供するか。
それを、生活者が自ら編成項目として認識してもらうか。
これがマーケティング上、問われるようになります。

私は"自分のことを良く知っている"、"信頼できる仲間"からの提案を
自分で体験して納得、というプロセスがあれば、比較的簡単に
編成対象の項目に入るのではないかと思います。

そういう仲間を通じた情報提供の場を、
私はアフィニティ・メディアと名づけています。(柴田の造語ですが。)

これから、アフィニティ・メディアのことをちょくちょく書くかもしれません。



おまけー1:金曜日の夜から郡山に来ています。用意してもらった部屋が超広め。
10畳の部屋が2つ、9Fなのに、露天風呂がついています。

当然のように露天風呂に入ろうとしたところ、超熱く、
"まっぱ"の状態でビリージーン! 
飛び出たところ、警備用のライトが反応してピカリ!


おまけー2:TSUTAYAで「100選100円」というキャンペーンをやっています。
これ、TSUTAYAとして観てほしい名画を並べたものです。
それを100円でお届けしようという企画です。本当にいい作品が揃っています。
(CMもいいでしょ。)
店舗視察のはずがコーナーの前で足を止めてしまいます。
名画と一緒に昔の記憶も蘇りますよ。


おまけー3:先日、旧知の女性2名と会食。全く何の役にもたたないガールズトーク
に参加しました。実にくだらんのですが、おもしろいです。
そのうちの一人のブログです。脱力したい方へオススメ。
http://ameblo.jp/fruitecake2006