読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

柴田励司の人事の目

Indigo Blue メールマガジン

Vol.343 忖度(そんたく)の連鎖

「忖度(そんたく)」という言葉をご存じですか?

辞書には「他人の心を推し量ること」とあります。

"あの人はこう言っているが、その真意はこういうことだろう。"
と考えて行動することです。

必要な処世術の一つでもあります。他人の心を推し量ることが全くできないと、
"あいつは配慮がない。空気を読まない。"という評価になります。
備えておくべき態度の一つでしょう。

これが問題になるのは、組織の中で忖度が過度に連鎖し、
いつのまにかそれが強制力を持つようになったときです。


かつてパロマ事件の報告書をまとめる中で、こう総括しました。

「社員が常にトップの目を意識し、その意向を忖度しながら行動するという
今の企業文化を改めなければ、経営改革は実を結ばない。長らく意思決定が
1人の経営トップに集中し、その決定基準が明示的でなかったことが、
組織をして、顧客ではなく"トップがどのように考えるかが最大の関心事"
というパロマ社の企業文化を醸成したものと思われる」

これは特定の企業の話ではありません。いろいろなところで同様のケースに遭遇します。

例えば、「社員にとって誇りに思えるような会社にしたい」とトップが宣言したとします。

ひとたび会社に入りますと、相当の時間を会社に費やすことになります。
家族よりも会社の仲間との時間の方が多くなります。だからこそ、
給与とか賞与とかという「お金」の問題だけではなく、
「誇り」というココロの報酬を考え、実現したいという崇高な発言です。
こういう経営者を私は応援したいと思っています。

ところが、現場のリーダーたちが"要らぬ忖度"をし始めます。
「社長はああ言っているが、本当のところは利益だ」と。

その時点で、せっかくの社長の宣言が"棚上げ"になります。

更には「社長がああ仰ってくれているが、それ以前の問題として
利益が出ていないと話にならない。社長の想いを実現するためにも、
今は耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍んでくれ」と、
それらしく社長の想いを人質にとる輩も出て来ます。

企業である以上、利益を目標にするのは当たり前です。
しかし、それだけではヒトの集団としては寂し過ぎます。
そこに事業や会社に対する共感というココロがなければ、持続性も生まれません。
心ある経営者はそんなことは百も承知です。

当然、利益もヒトのココロも目標にします。

そこを了見の狭い中間管理職が「真意は別にある」と忖度して会社をおかしく
するのです。これを何とかしないとせっかくのトップの想いも伝わりません。
むしろ、あの人は口ばかりだ、となって社長の信頼・権威が失墜します。

中間管理職が必要以上の忖度をしてしまう原因は明らかです。
まずは個人的な野心。古今東西、上に取り行って昇進する輩は後を絶ちません。
しかし、これは見ているヒトにはわかりますし、定着しているものでもありません。
組織的には"点"の影響です。困るのは、それが"面"化(組織風土化)している場合です。

忖度する風土になっているのは、間違いなく過去の影響です。その社長の過去の態度や、
歴代社長が社員に対して黙示的に忖度を強いてきたことが原因です。
そういう組織のトップに就任した場合には、心して組織に向かいませんと
エライことになります。言っても言っても、歪曲して話が伝わります。

こうなりますと、ちょっと厄介です。長い時間をかけて沈殿してきたものは、
長い時間をかけないと抜け切りません。この浄化のために時間をかける等、
ある程度のコストは覚悟する必要があります。組織を動かそうと思うなら、
強い意思をもって、この部分をスッキリさせたいものです。

思い切って、過去に囚われないキャスティングに変えるというのも効果的です。
もっとも、現職の幹部社員の前でそう宣言するだけでも、十分に効果が期待できるでしょう。
変な忖度をするな、自分の言葉をそのまま受け止めよ。
これが出来ない場合には"替える"。そう話しましょう。


先日、知人のYさんと、うつ病から現役復帰した人たち(いわゆる"うあがり")の
人たちが直面する現実について話しました。
そこでも、会社側に過度に忖度する姿勢があると、それこそ"腫れものに触るような扱い"
となり、十分な仕事が与えられず、結果として降格や減給ということ・・・。
その不条理さに再発しそうになる、という悪循環があります。こ
れもなんとかしたいですね。

私的には、"うあがり"だけでなく何らかの事情(出産、育児、介護を含む)で
暫く仕事の現役を離れていた人たちが"自信をもって社会復帰できるための場"を
つくりたいと思っています。「柴田塾」の一つのバリエーションになりますかね。

さて、本チャンの「柴田塾」(3月3、4、5日)ですが、現在、30代、60代の方の
お申し込みをお待ちしています。企業からの派遣ももちろん承ります。ぜひ!

http://www.indigoblue.co.jp/shibata-juku/index.html



======================================

おまけー1:2月3日のランチミーティング。2月3日と言えば「恵方巻」。
しかし、「恵方巻」を食べるときには一言もしゃべってはいけないとあります。
うむむ・・・。これはミーティング向きではないなあ。



おまけー2:あるところで、伊達直人の次は、ライオン丸ではないか、と
話していたところ、伊達直人の背景を理解していない!とひどく叱られました。



おまけー3:なにやら「講演」が増えてきました。1週間に2回くらいやっている感じです。噺家か。