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柴田励司の人事の目

Indigo Blue メールマガジン

Vol.412 ヒト次第

「その話、誰が言っているの?」 私たちは物事を判断するときに、
諸々の経済合理的な説明よりも、"誰が言っているか"という「ヒト」の影響を強く受けますね。
このヒトが言うなら・・・、あいつならきっとやってくれる・・・と。判断の拠り所は"ヒト次第"です。

もちろんその判断は「説明可能」でなければなりません。
さもないと「そのヒト」と直接接していない関係者を納得させることができませんので。
但し、いかに資料を積み上げたとしても、それは決定的な要素にはなりません。

判断にあたって、自分ごとで判断していない場合には資料だけでも判断できるかもしれません。
しかし、そこに自分ごとという意識、もっと言うなら、
自分で勝負しているという意識があるとそうはいきません。
その案件を提案している人、やろうとしている人に自ら会った上で決めたいと思うのが自然です。

かつて、マーサーの社長時代に一定クラス以下の採用については現場の責任者に任せる
という判断をしたことがあります。
トップが全てにクチを出すのはよくないという極めて理性的な判断でした。
しかしこれ、後になって(社長を4年ほどやってから)、間違いだと思い、
全ての採用に関わるようにしました。


最初は世の中にある「社長はこうあるべし」というカッコいい理論に従って立ち振る舞おうという
意識が強かったのだと思います。しかし、社長なるものの本当の意味がわかってくるにつれて、
「ん・・・違うな」と思ったのです。おそらく、最初のうちは「自分で勝負をしている」という
意識が弱かったのだろうと思います。(外資系企業の社長はそうなりがちです。)
その後、日系企業やオーナー企業の社長と仕事したことから意識が変わったのだと思います。

さて、全ての採用に関わることにしたものの、仕組みを全部変えるつもりはありませんでした。
一定以下の採用権限は現場の責任者のままとしました。従って採用プロセスとは別に
「応募者と会う」ようにしました。これは最終面接ではないので最初に会うこともありました。
(応募者はいきなり社長が出たりしたので戸惑っていたようですが。)
そこで「違和感」があれば、それを現場の責任者に伝えることにしたのです。

但し、現場の責任者がそれでもその応募者を採用したいというのであれば、
それは現場の責任者の目を信じて了解してきました。
私の目では「合わない」としても、彼のチームの中では「合う」ということならGO! 
ここは、あの現場責任者が言うなら・・という判断です。

コンサルティング会社で採用は最重要課題の一つ。
会社経営を自分ごとで考えていればいるほど全部自分で決めたいもの。
しかし、自分が信頼している部門長がGOと言っているなら、それはGO。

一緒に働いているヒトを信じられる。こういう関係性の中で仕事をしたいですね。
そうでないと、自分ごとで勝負している場合に足かせになります。このときはまさに
信頼できる部門長たちと仕事ができていたと思います。とてもラッキーでした。

実際には、多くの経営者が自分に直接レポートする部下(役員や部門長)のことで
頭を悩ませているのではないでしょうか。経営者と話すとそういう相談が多いです。
しかし、これ社長と部下の両方に課題があるものです。
どっちかだけが悪いということはありません。

そういう組織では、周囲が「社長が言うなら・・・」、「あの社長のために・・・」と思っていません。
これは、過去の社長の"ありえん"言動が積み重なった結果です。
しかし、この"ありえん"言動も社長が未熟なこともあるでしょうが、
真意は社長の危機感がそうさせたものです。
個人的な中傷や悪意はそこにないはずです。

だとしたら、社長として自分の言動を振り返り、反省し、修正する。
その自己改革宣言もする。意図的に時間を共有する場をつくる。
経営合宿をやるのはおススメです。それでも、頭を悩ませる状況が変わらないなら、
メンバーを代えるべきです。その上で信頼できるベストチームをつくる。
変えるリスクはありますが、ここは自分ごとでしっかりと社内外から人選すればいいのです。

もっとも、社長の宣言が"その場しのぎ"で"、社長のありえん"言動が続いた場合、
その程度の会社と判断しましょう。
腕に覚えのあるヒトは他の場所で"自分ごと"で仕事をした方がいいですね。
これも社長をにらんだ、"ヒト次第"の結論です。



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おまけー1:ダッシュで逃げる男を「おまえ、待てー!」と叫びながら追いかける店主。
TVドラマみたいな絵を神田商店街で目撃。昔のことを思いだしました。

学生時代、錦糸町の吉野家で、うっかりおカネを払うのを忘れて「ごちそうさま」。店を出て、
てくてく歩いていったところ、後ろから店長らしきヒトが「お客さんー」。

すると、なぜか私の前を歩いていた男性がいきなりダッシュ! これに店長が「待てー!」。
すると、その男性は更に猛ダッシュ。
吉野家の店長がすごい勢いで私の横を通り過ぎていきました。


おまけー2:神田商店街を舞台にした「体感型研修」をエイムソウルの稲垣社長らと
企画しています。
おまけー1の話は、その打ち合わせに行くときの出来事でした。以下、そのお知らせです。

http://aimsoul.com/company/press/20120607.html


おまけー3:ちなみに、Indigo Blueの「体感型研修」。英語版が6月29日、
日本語版が7月14日です。自分ごとで仕事をするための総合力を鍛える場です。
詳細はこちら。

http://www.indigoblue.co.jp/seminars/b03-OT/about.html