柴田励司の人事の目

Indigo Blue メールマガジン

Vol.656 任命責任の果たし方

任命責任

 

役職者がその任に堪えないと判断されるときに、任命者の人選責任を問う。

閣僚が問題を起こしたときに総理が追求されるやつです。最近もありましたよね。

 

会社の中でも同じことがあると思います。特に抜擢したがうまくいかなかったときに、

抜擢した人間の責任をどう問うか。

 

抜擢する側はできると思って抜擢するわけです。そこには期待もあります。頑張って

「上の仕事を」こなしてほしいと思っているはずです。その人も全力でその期待に

応えようとするはずです。しかし、思ったように進まない、業績もあがらない、

組織運営上の課題も浮上。

 

・・・人事任用上、よくあることです。こんな場合にどうするか。

 

見るべきは業績ではなく、組織運営上の課題です。業績の良し悪しは外的要因の影響も

ありますし、そんなに短期的に改善するものではありません。それよりも業績を上げる

ためのエンジンたる組織感情に影響が出ていたら、そこを注視しないといけません。

 

組織感情が荒れてしまうと時間をかけても業績が良くなることはありません。それが

そのリーダーの言動やリーダーシップによるものであれば、抜擢した人間がその状況の

改善を図らねばなりません。それこそ更迭の可能性も検討しないといけません。

 

その人が全力でやっていた場合には、×はつけられません。全力でやってはいるが、

その人の力量が足りないための結果なのですから。だとすると“できると思った”が、

“まだその状態にない”ということなので、任命者がその人の不足分を補うべく

立ち回らないといけません。

 

その人もうまくやれていないことは自覚しているはずです。まずはその人と対話し、

どうすれば事態が好転するかを一緒に考えます。その際に“できていないこと”、

“顕在化した問題”について怒ってはいけません。

 

任命者が怒っていることを認知すると、抜擢された人は委縮します。委縮して

相談しなくなるか、評価を取り戻そうとして事態を更に悪化させる行動をとりがちです。

こうなってしまうと、その人間が「再起不能」になってしまう可能性があります。

これは優秀な人材を潰すことになります。

 

ここで抜擢した人間がすべきことは、その人間のコーチとして事態の改善を一緒に考えることです。

 

一緒に考えた結果、交代した方が良いということになれば、組織にとって最も軋轢が少ない

交代を演出します。併せて、その人がその“失敗”から学んでもらうべく導きます。

失敗から学んでもらえばいいのです。それがあると次につながります。

 

 

私は「抜擢」が好きです。意欲があり、ポテンシャルがある人には早い段階から大きな

役割責任を担ってもらった方がその人の成長につながる上に、勢いがある人がリーダーになれば、

その組織自体も活性化するからです。但し、過去に自分が抜擢した人事を考えてみると

十分に抜擢した後のサポートができたかというと反省しきりです。

 

自分に足りなかったことは、日常的なサポートです。抜擢した人物との対話の時間を

自分の基準で設定していましたが、その人からすると、もう少し頻繁かつ近いところで

サポートしてもらいたかったのだろうと思います。抜擢の場合には未知数なので、

最初はいつでも不足分を補えるところにいた方がいいに決まっています。

 

私が忙しいことはわかっていたのですから、自分以外の誰かをその抜擢者のスポンサー

(コーチ)としては配置しておくべきだったのです。この手を採ったこともありますが、

途中からの配置は逆効果になることを学びました。抜擢者の心象風景を慮ればその通り

なのですが、事態が悪化してからの配置は「お目付け役がついた」という印象が

ぬぐえませんでした。

 

抜擢した以上、しっかりサポートする。これが任命責任の果たし方だと思います。

それが十分ではなく、うまくいかなかったときには抜擢者は深く反省し、周囲が納得する

処し方を採る。それが任命責任の取り方だと思います。

 

 

過去に抜擢した人が全力で仕事をしていなかったことがありました。これは明らかな人選ミス。

自分が関わっている組織では心のどこかで“いざとなったら自分が出て行ってやればいい”と

思っていたのかもしれません。明らかに人選の目が曇っていました。これは大きな学び

として残りました。まだまだです。

 

 

 

おまけー1:九州を縦断する「ハウステンボス号」のグリーン車にはなんともいえない気配が

漂っています。

 

なぜか、全てのカーテンが閉じており、不思議な音楽が。二人席はなぜか席を倒して寝ている

ひとばかり。寝ているのですが、車内に誰かが入ってくると、薄目を開けています。

 

この空気の中で飲むものは「愛のスコール」だろうと思いました。

(だから駅の自販機で売っているのだ。きっと。)

 

 

おまけー2:博多で「イカ刺し」をいただきました。運ばれてきたときにはイカが

まだ動いていました。一切れ食べたところ、イカの目がぎょろり。うわー。

 

 

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