柴田励司の人事の目

Indigo Blue メールマガジン

Vol.602 距離感づくりの達人たち

「柴田さん、今日は東京にいらっしゃいますか?」

 

水曜日の朝、1本のメールが入りました。マーサー時代に人材紹介でお世話になった

Mさんからのメールです。

 

この日はパスの取締役を含め、合計11の予定あり。空きは12時~12時30分のみでしたが、

久しぶりにお会いしたかったので、この昼飯どきに来てもらいました。

 

Facebookで彼の近況について見ていましたが、直接話すのは数年ぶり。しかし、顔を

合わせるや否や、すぐに時間の壁はなくなりました。秘書の佐々木さんに用意して

もらったお寿司を食べながら近況を話し、あっと言う間の30分でした。

 

数年ぶりに“いきなりやって来て時間の壁を無くす”。この感じがいいですね。

 

精神的な距離感。これがヒトとヒトとの関係性を決めます。この距離感の取り方が

抜群にうまい人たちがいます。Mさんもその一人。

 

「胸襟を開く」「腹を割って話す」。英語でもHeart-to-heartと言いますよね。

まずは、自分の“見栄”や“格好づけ”を無くす。これで相手も同じことをしやすくなり、

打算や下心なしに、まさに心と心がつながるわけです。

 

しかしこれ、タイミングが重要です。相手がその気になっていないときに、自分だけ

“腹を割って”も相手は馴れ馴れしいと思います。近すぎるのです。また、この逆もダメ。

いつまでたってもよそよそしいと思われます。遠すぎるのです。

 

相手に対してへりくだるのもダメ。仮にそれで相手が気持ち良くなったとしても、

優越感を維持しようとして“格好づけ”をするので相手が疲れます。この関係性は長続きしません。

 

近すぎず遠すぎず。優越劣位なし。この距離感です。

 

先日、“土のデザート”を出してくれるお店に連れて行ってくれたIさんも距離感の

取り方が抜群にうまいおひとりです。Iさんは日本を代表する誰でも知っている企業の

常務なのですが、“偉い人”オーラを出されません。初めてお会いしたのは2年ほど前ですが、

あっと言う間に絶妙な距離感を創ってくださいました。

 

15年来の友人のTさん。この人はすごい。相手が誰であっても、良好な関係性をつくる

天賦の才があります。駐日アメリカ大使とも気軽に距離感を構築されているので、

さすがに驚きます。このTさんが友人・知人を招いてのホームパーティや勉強会ができる

邸宅を埼玉県に建設しました。彼の長年の夢の実現です。

 

何度がお誘いいただいていたのですが、日程が合わず。このGW中にようやくお伺いすることに

なりました。(せっかくなので、邸宅訪問を季刊誌「DRESS」で取材させてもらうことにしました。)

 

距離感の達人。彼らの特徴は私利私欲がないことです。自分の売り込みや頼みごとは一切なし。

単純にその人との関係性を楽しんでいます。この自然体があっと言う間に絶妙な距離感をつくる

秘訣だと思います。彼らと比較すると私はまだまだ生臭い。見習わなければ。

 

ところで、冒頭のM氏の要件はなんだったんだろう?

 

 

おまけー1:地下鉄内で耳にしたとある家族の会話。

 

母親:来月、嵐がくるんだって!

娘:ほんと!? 学校休んで行こう!

祖父:ん? 植木、大丈夫かな・・・

 

おまけー2:「シビル・ウォー」(アベンジャーズシリーズ)にアントマン出るみたいです。

それどころか、スパイダーマンも出るみたいです。これはエライことです。見に行かねば。

 

http://ciatr.jp/topics/39609

 

 

おまけー3:DRESSのWEB版。読者激増中です。ぜひ、ご覧下さい。

 

https://p-dress.jp/

 

 

Vol.601 不正行為の組織的隠ぺい

今日のテーマは「不正行為の組織的隠ぺい」です。

 

三菱自動車で「燃焼偽装」の報道がありました。

またしても「不正行為の組織的な隠ぺい」です。この手の問題はなくなりません。

記憶に新しいところでは「化血研」、「東芝」でも同様の問題がありました。

 

「組織的隠ぺい」、これは大組織に潜む爆弾です。トップからすると非常に怖い話です。

なにしろ、その爆弾が見えません。それでいて爆発すると自分の首が飛びます。

大きな志も夢もおしまいです。

 

不正行為の組織的隠ぺいが発覚するとトップの責任問題が問われます。最終責任者ですから、

これは当然です。但し、残念ながらトップを代えたところでどうにかなるものではありません。

しばらくして、また隠ぺいが発覚します。これはそんなに簡単な問題ではないと思います。

複雑です。ヒトの心の弱さに起因しますので。

 

一般的に、隠ぺい行為が起きるのは次の構造です。

 

主人公は“何かが明らかになると困る”誰かです。その“何か”が明らかになると、

自分の立場、地位、報酬、評価が崩れてしまう。それを恐れて、その“何か”を

隠ぺいするわけです。その不安、恐怖心から、物事の是非が見えなくなり、

隠すという行為に至るのです。

 

この行為に至る根源的原因は、自分に対する「実力以上の期待感へのプレッシャー」です。

 

たまたま、その期待に応えることができた。しかし、それが続くとは限らない。想定以上の

処遇(地位や報酬)を得てしまった。そこから転落するのが怖い。そうならないためには

何でもする・・・。この心象風景です。家庭でその処遇を当たり前とするプレッシャーがあると、

この行為に拍車がかかります。

 

もう一つあります。それは「対人的ストレス耐性の弱さ」です。仕事上のストレスには

「対人」と「対課題」があります。「対人ストレス」に弱い人は、感情的に怒られることを

極端に嫌います。そうならないためなら、嘘もつきます。嘘に嘘の上塗りもします。

“できないこと”であっても、怒られたくないので“できる”と言ってしまいます。

 

(ちなみに「対課題ストレス」に弱い人はその逆です。課題の量的負担が大きくなると

“できること”であっても“できない”と思えてしまいます。)

 

これらのマインドセットにある中間管理職がその心の弱さから「不正行為の隠ぺい」の

主人公になりがちです。

 

日本人はルールを守らない。外資系企業の外国人エクゼグティブによく言われます。

確かに、やってはいけないという通達があっても、ついやってしまう。そういう日本人が

散見されます。その逆もあります。やるべきことなのにやらない。日本人ほど上司の

指示命令を無視する国民はいないと言われます。

 

無知でルールを守らないのではありません。守るべきルールだとわかっています。

ところが実践しないときがある。しかも、それに対する罪悪感が希薄です。注意されると、

その場では深く反省します。しかし、同じことを繰り返しがちです。このメンタリティは謎です。

たばこのポイ捨て、自転車の信号無視はその身近な代表例です。

 

特定の宗教観をもつ日本人が少ないことも原因かもしれません。常に特定の神を意識していると、

神様が見ているという意識から変なことはできません。それがないから、やってしまうの

かもしれません。

 

“やってはいけない”というルーツが多すぎるのかもしれません。あれもダメ、これもダメ、

となりますとさすがに全部守っているわけにはいかない、となるのかもしれません。

罰則が緩いという説もあります。

 

理由はともかく、ルールを守らない部下がいて、それを改善しようと努力に努力を重ねても

一向に改善しない。そうなると先の転落への恐怖や、社内で糾弾されるのを恐れて

隠ぺいするという行為が起きてもおかしくはありません。

 

この状態にならないようにするためには、トップマネジメントチームが組織の感情に

敏感になること。そのための働きかけをすること。追い詰められている中間管理職が

いないかどうかを調べること。これらの活動を組織内に埋め込むこと。これしかありません。

これも組織開発という文脈の話です。組織開発への働きかけなしに不正の組織的隠ぺいを

減らすことはできません。

 

 

おまけー1:私も同じ過ちを繰り返すことがあり、身近な方々には迷惑をかけています。

ごめんなさい。しかも、悪気なくやっているので、ミスタービーンのようだ、と怒られます。

こればかりは自分を見つめる自分を意識し続けるしかないですね。

 

おまけー2:「アベンジャーズ」にアントマンが出ていると主張し続けている人がいます。

auさんの桃太郎シリーズのCMにこっそり一寸法師は出ていたようですが、アントマンいたかなー。

 

http://by-s.me/article/207304751259143499

 

 

おまけー3:知人の石橋真さんがいい本を出しました。

「困難を乗りこえる強い自分のつくり方」(アスカ出版)さらっと読めて心に刺さります。

 

http://www.amazon.co.jp/%E5%9B%B0%E9%9B%A3%E3%82%92%E4%B9%97%E3%82%8A%E3%81%93%E3%81%88%E3%82%8B-%E5%BC%B7%E3%81%84%E8%87%AA%E5%88%86%E3%81%AE%E3%81%A4%E3%81%8F%E3%82%8A%E6%96%B9-%E3%82%A2%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9-%E7%9F%B3%E6%A9%8B-%E7%9C%9F/dp/4756918301/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1461416267&sr=8-1&keywords=%E7%9F%B3%E6%A9%8B%E7%9C%9F

 

 

Vol.600 投資されるヒトになってください

4月に入社した新人が現場に配属され始める頃ですね。私が会長を務めるマードゥレクス

社でも3名の新人を迎えました。先日お会いしましたが、まさにフレッシュ。

そういう新人に会うとこちらも身が引き締まります。

 

ということで、先週に続き新人へのメッセージです。(パクり、転送、シェア歓迎します。)

 

“投資される人になってください。”

 

上の人があなたに投資したいと思う。そんなヒトになってください。

 

企業の業績はどの業種・業態であっても次の要素で決まります。

 

「売りもの(商品・サービス・企画)」の良し悪し

「売り方(戦略・戦術)」の独自性

「実行体制(組織とヒト)」の確かさ

 

ここに「追い風・無風・逆風」という、統制できない「環境要素」が加わります。

 

「売りもの」は悩ましいです。力を抜くと勝てませんが、力を入れたとしても同じモノで

勝ち続けるのは困難です。一時的に市場を席巻したとしても、あっという間に模倣品や

改善品が出てくるものです。法的対応でなんとかなるものばかりではありません。

ここは既存の商品・サービス・企画のブラッシュアップと新たな試みへのチャレンジ

という不断の努力しかないのです。

 

その不断の努力をするのは「ヒト」です。

 

「売り方」で差別化を図るのはさらに困難です。誰もが思いつかないような神業戦略を

思いつく確率は(ないとは言いませんが)低いでしょう。それでも自社の優位性が

効果的に訴求できるようにギリギリと知恵を絞るしかありません。

 

この、ギリギリと知恵を絞るのは「ヒト」です。

 

優れた売りものや作戦があっても、実行できないと意味がありません。最終的には体制

(組織とヒト)で決まります。ここも「ヒト」、「ヒト、ヒト、ヒト」なのです。

 

経営資源は「ヒト、モノ、カネ」といいますが、実際には「ヒト、ヒト、ヒト」です。

ヒトが最大の資産であり、資源なのです。優れた集団にすることが業績向上への

最強の手段になります。だから各社とも「人材育成」に力を入れているのです。

 

この「育成」ですが、全員に対して等しく行うのは「新人研修」とその仕事をするために

必要不可欠なスキルや知識をインプットするものだけです。ヒトとしての器を大きく

するための育成は「見込みがありそうなヒト」だけが対象になります。

ここが「学校」とは違います。

 

どのような仕事をさせるか、誰の近くに置くか、自分の成長領域にいかに気づかせるか、

これが成長支援の最大の要素です。研修ではありません。経験です。成長させるための

経験をいかに積ませるか。これはそのヒトへの投資に他なりません。

投資ですから、最もリターンが大きそうなヒトに集中的に行うのは当たり前です。

 

上の人たちに“あいつをどう育てるか”と思ってもらわれませんと、永遠に自分への

投資機会は訪れません。

 

但し、自分を認めてもらおうという動きはダメです。それは見透かされます。

先週も書きましたが、そういうことではないのです。自分ために働くのではなく、

周囲のために一生懸命働くこと。そうすれば必ず“あいつをなんとかしてやろう”と

思われます。頑張ってください。

 

 

おまけー1:メルマガも気づけば600号。よく続いていると思います。

(1,000号に到達したらお祝いの特別企画を誰かが考えてくれるに違いない・・・)

 

 

おまけー2:Natural Lawsonで売っている久保田の「ミルク」アイスキャンディーは

美味しいです。たまに買占めたりしています。

 

おまけー3:アラフォー女性のための部活がすごいことになってきています。

メルマガを読んでいただいている女性の方へ。ぜひ、お友達を誘って遊びにきてください。

 

https://p-dress.jp/cate_bukatsucalendar

 

(まずは無料会員登録からお願いします。 (^^)/ )

 

 

 

Vol.599 新入社員へのアドバイス

お近くに「期待の新入社員」がいましたら、このメルマガを転送してあげてください。

社会人として31年先輩で、うち16年「社長的な仕事」をしている“おじさん”からの

アドバイスです。

 

 

将来、大きな仕事をしたい、影響力のある役職に就きたい、思う存分仕事をしたい・・・。

そう思っているなら、次のことを実践してみてください。

 

「上司、先輩、同僚、取引先。相手が誰であっても、その人が“どう思うか”

を考えて行動する。」

 

“相手にどう思われるか”ではありません。相手がどう思うか、です。

 

相手がありがたいと思う、助かったと思う、不快に感じない。これらを意識して

動いてみましょう。

 

例えば、

 

・荷物をたくさん持っている人がいたら手伝う

・時間に追われている人がいたら、自分で役に立つことがないか尋ねる

・相手を待たせない。(遅刻は絶対にダメ)

・気分を害している相手に自分の言い訳をしない

 

あくまでも相手基軸。褒めてもらおうという下心は透けて見えます。

そういうことではありません。自分を捨てて、相手のために動く。これを実践してみてください。

 

自分に課せられた仕事は120%やる。これは大前提です。その上で、周りの人たちのために

動くのです。他人のことばかりやって、自分の仕事はおろそか。これだと周りの人は

“ありがたい”とは思いません。

 

自分がやるべきことは大至急マスターしてしまいましょう。反復練習、朝練、闇練をして、

超短期間でマスターするのです。1週間でマスターせよ、と言われたら3日で。3日でと

言われたら1日でマスターするつもりで動きます。

 

そのときに周囲に迷惑をかけてはいけません。あくまでも自分の時間の配分と集中力で

なんとかするのです。その仕事がどんなに単純な作業であっても経験者にはかないません。

馬鹿にしてはいけません。必死にやらないとその人のレベルにはなりません。

 

短期間でマスターするための秘訣があります。“真似る”のです。テキパキと仕事を

片付ける身近な先輩を見つけて、そのしゃべり方、歩き方、仕事の仕方、すべて真似ます。

形を真似ているうちに身についてくるものです。

 

仮に自分が思い描いていた仕事と全く違う仕事を与えられていたとしても同じです。

四の五の言わずに、必死に短期間でマスターする。すべてはここからです。

 

これをやっていると必ずや次のステップにつながります。仮にその会社が“ブラック”で

使い倒されそうになったとしても大丈夫。必死にやったことは別の場所で必ず開花します。

 

 

最後に、なんらかの基準で選抜されて入社した人へ。幹部候補として採用された人へ。

 

あなたの優秀さを他人のために使ってください。その“優秀さ”は天賦の才とご自分の努力に

よるものでしょうが、“優秀さが花開いているのは周囲の理解とサポートがあったからこそ、

のはずです。

 

”優秀さ“を鼻にかけて、周囲を軽んじてはいけません。周囲から”あの人と一緒に働きたい

“と思われるような存在になってください。

 

フランスの詩人ポール・フォールの「輪踊り」(堀口大學 訳)を贈ります。

 

世界中の娘さんたちがみんな

手をつなぎ合う気にさえなったら

海をめぐって輪踊りを

踊る事さへ出来ように。

 

世界中の若者たちがみんな

船乗りになる気にさえなったら

海に綺麗な舟橋を

かけることさえ出来ように。

 

世界中の人たちがみんな

手を握り合う気にさえなったら

地球をめぐって輪踊りを

踊る事さへ出来ように。

 

“みんなをその気に”させて、チームを一枚岩にする。

そのためにあなたの“優秀さ”を使ってください。

 

 

おまけー1:「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」、観たいなーと言ったら、

「仲良くすればいいのに」とYさんがぼそり。(確かに)

 

 

おまけー2:若い嫁をもらったAさんとSJさんの会話。

 

SJ:嫁さんはAさんのどこに惚れたんですかね

A:禿げてるところだって。だから禿をやめられないんですよー。(禿ってやめられるのか)

 

 

おまけー3:季刊誌に生まれ変わった「DRESS」。発売しました。

“人生最高のサードプレイスの見つけ方”これがメインテーマです。表紙モデルには

原田知世さんに登場いただきました。私もコラム書いています。

 

https://p-dress.jp/articles/1618

 

 

 

Vol.598 心地いいと思わせる人の秘訣

“あ、心地いいな”と思わせる人がいます。

 

そう思わせているのは話の内容ではありません。波長です。間合いが合う、話していて

ストレスがない、話が弾む。または黙っていても心地いい。波長が合うとこうなります。

 

この波長。人それぞれに違います。当然ながら合う人もいれば、合わない人もいます。

 

ところが、どんな波長の人に対しても“心地よさ”を感じさせる人がいます。

そういう人が職場にいると組織内の感情が安定します。その人が人と人をつなぐ

触媒役になるからです。

 

人と人をつなぐ。つまり、人と人の波長を合わせる、この秘訣は何か?

私は「リアクションの仕方」、「表情」、「語気」がその秘訣だと考えています。

 

まず、相手の話をきちんと聞く。ここが第一歩です。適度なアイコンタクト、

あいづち、リフレーズ。

 

リフレーズとは、相手が話している内容の一部を繰り返すことです。

 

“昨日、コンビニでさー”という発言に対して、“コンビニで?”というような反応を

します。これがリフレーズです。

 

また、自然な会話の中で相手の文章が完結していないことがよくあります。それを

あいづち代わりに完結させる。これも波長を合わせるリアクションの手法になります。

こんな感じです。

 

“コンビニでさ、キャッシャーがすっごく混んでて・・” という発言に対して、

“・・・待ったんだ”、と応えます。

 

こうしたリアクションですが、そのやりとりだけでは波長は合いません。そのときの

「表情」が決め手になります。

 

相手の表情を受け止め、表情で返します。心地良さを感じさせる人は、話している相手の

表情を表情で受け止めています。明るい表情には明るい表情で、悲しい表情には悲しい

表情で。表情のミラーリングをしています。

 

表情が乏しい相手に対しても、表情でリアクションをしていきます。それにより、話し手の

表情が少しずつミラーリングしてきます。表情が出てくると気持ちも“アガって”きます。

それが話し手の気持ちを高揚させ、波長を合いやすくさせるのです。

 

更に決定的な要素があります。「語気」です。「語気」がソフトであること。

「語気」が強いのは完全にNGです。

 

「語気」の強さには、“いいから黙って話を聞け”というメッセージが出ます。

これは明らかな「拒絶」です。「拒絶」している相手と関係性を築こうと思うのは

よほどの場合です。相手側にその“よほどの理由”がない限り、「語気」のせいで

相手の気持ちが萎えます。

 

語気が強くなるのには理由があります。意見されると困るとき、何かを隠したいとき、

相手を黙らせたいとき・・・。いずれにしても波長を合わせるのとは逆のモチベーションが

働くときです。表情もそういう表情になってしまっているはずです。それは相手にも伝わります。

そうなると誰とも波長が合わなくなります。

 

中には自分の「語気の強さ」に気づいていない人がいます。こういう人にどうやって

気づいてもらうかですが、

「直接、指摘する」。このやり方はおススメできません。火に油を注ぐことになりかねません。

 

そもそも語気の強さは“攻められないための防御”ですから、直接の指摘を“攻撃”と

捉えて激しく反応します。

 

むしろ、語気が強い人に対しては、意識的に語気をソフトにして対応する。相手を

受け入れることを強く意識して包容力をもって接するのが一番です。心の中で“あなたの敵

ではない”“あなたを受け入れたい”、そう思いながら接するのです。それが相手の

語気を収めます。

 

これらの秘訣を組織のリーダーが実践できると心地よい組織が生まれます。

リーダーに求められる大事な要素の一つだと思います。

 

 

 

おまけー1:経営者、人事の方へのご案内です。体験型ケーススタディ(Organization Theater:OT)

を異業種間で体験できるイベントを4月22日(金)と5月30日(月)に開催します。

 

https://indigoblue.co.jp/ot_entry/index20160422.html

 

 

まだOTを体験したことがない企業のみなさんへ。ぜひ、お試しください!

 

おまけー2:家の近くの銭湯に出かけてみました。手ぶらOKとあったので、前から気になっていたのです。

都内の銭湯ですが、昔ながらの番台のおばさん、白鳥と富士山の絵。ケロヨンの桶。

それよりも銭湯に来ている人たちがみな“訳あり”そうなヒトばかりで不思議な空間でした。

ちなみに460円でした。

 

おまけー3:ロボット:ソフィアの映像です。未来が透けて見えます。

 

http://roboteer-tokyo.com/archives/3499/2

 

 

 

Vol.597 やはり学歴<人間力

3月12日・13日・14日と「PHAZE」第1期オーディションのファイナルイベントがありました。

「PHAZE」は以前にもご紹介しましたが、学歴不問で人間力のありそうな若者を全国から

発掘して鍛える場です。第一期では東京と京都で開催。説明会、予選、準々決勝、準決勝を

経て選抜された5人のFinalistが会場の幕張に集いました。

 

Finalistは20歳の大学生2名、高卒後、既に働いている22歳1名、22歳の外国人留学生1名、

すでに内定を得ている4年生1名という多様な顔ぶれです。

 

私はこの試みの発起人なのですが、本来業務の関係で日常的にこの試みに参加することが

叶いませんでした。ここまで、ずっと社団法人PHAZEのメンバーに運営をお任せして

きましたが、決勝戦の体験型ケーススタディ(OT)は日曜開催ということもあり、

幸いにも参加できました。

 

やって良かったです。

 

現在の就活では偏差値の高い大学に通う大学生が有利です。こうした“優秀な”若者は

“大はずれ”ということはありません。決められた枠組みの中で、優れたアウトプットを

出すのが得意な連中です。しかしながら集団で荒野を開墾していくような試みや、

利害関係や能力が異なる人間集団の中で影響力を行使するのは得意ではありません。

 

これは受験勉強で問われてきていないということ、

若いうちに“挫折”や“修羅場”の経験をしていないこと、

 

これらが影響していると私は見ています。

 

“学歴”というフィルターを外してみると、“挫折”“修羅場”経験をしてきた若者が

います。その経験がゆえに豊かな人間力の素地があります。他人の痛みがわかるのは

自分も痛みを経験しているからという所以です。しかし、その“学歴”のために、

普通の就活の中ではスポットライトが当たりません。書類選考で落ちてしまうのです。

 

経済的事情で進学できなかった。受験勉強以外のことに情熱を注いできた。だから

偏差値の高い大学には行っていない。しかし、今後、自分を高めて、影響力のある

仕事をしたいという成長意欲のある若者がいたら、彼ら彼女らが活躍していくための

架け橋をつくりたい。これがPHAZEです。

 

今回、Finalistたちに体験してもらったOTのテーマは「不測事態に直面した際、

立ち消えになりそうな大きな商談をプロジェクトチームとして成立させられるか」です。

 

これまで日本を代表するいくつかの企業でこのOTをやってきました。対象は選抜された

優秀な内定者やインターン、または中堅社員です。しかし、ほとんど毎回失敗します。

 

彼ら“優秀な”若者たちの多くは、目の前に展開される困難な出来事に呑まれてしまい、

主体性をもって課題解決ができなくなってしまうからです。また、頭ではわかっていても、

火中の栗を拾うことになると身体が動かないからです。更には人の感情を受け止める

ことができないからです。

 

この5名は違いました。思考のプロセス、深さにはまだまだ課題がありました。

しかし、課題解決に向けて熱を発しながら、動けました。

無駄な動きも多々ありますが、動けました。

 

最終的に「商談成立!」。私の記憶では初めての成功です。(素晴らしい!)

 

OT後の最終振り返りには次の予定があったために、参加できなかったのですが、

OT終了後の彼ら彼女らの表情を見ていると、この決勝の3日間を通じて気づいたことを

受け止めていることがわかりました。この5名の今後が非常に楽しみです。

 

第二期の活動を行うためにご寄附いただける企業・団体の方、お力添えいただける方を

募集しています。ぜひ、よろしくお願いします。

 

http://phaze.jp/news/

https://www.facebook.com/phazefun/

 

 

おまけー1:就活に詳しいNさんから聞きました。今の体育会系の学生は昔と大違いだと。

 

体育会系の学生と言うと“四の五の言わずに取り組む元気いっぱいの大酒呑みの若者たち”

というイメージですが、これが違うそうです。今は科学的なトレーニングをしているので、

何に役立つかを理解しないと動かないそうです。また、練習していないときは自宅で一人で

ゲームをやっていることが多いそうです。

 

確かに。昔は「練習中に水飲むな!」でしたが、今は違いますもんね。

 

おまけー2:一方で、某商社系の方々から聞きました。今でもこの会社では社長が

カラオケを歌うと何故か服を脱ぐ連中が多いと。おまけに“ホタル”なる芸

(ご想像にお任せします)も出ると。

 

“これ、新人がびっくりして辞めませんか?”(私)

 

“だから、あいつ辞めたのかー” (この会社の大阪本部の部長)

 

 

Vol.596 世代交代

なでしこジャパンリオ五輪敗退。残念でしたね。敗因は「世代交代の遅れ」と

分析する専門家が多いようですが、確かにそんな感じがしました。敗因を“チームと

佐々木監督との溝”とする報道がありましたが、何を言うかと思います。

佐々木監督はすごい実績を残した名将です。今回の結果はともかく、高く評価される

べき存在と思います。(退任会見もさわやかでした。)

 

実績を残したチームであればあるほど、世代交代は難しいものです。当然ながら、

周囲は「常勝」を期待します。その中で「世代交代」をも実現するのは難題です。

かつて(かなり、古いですが)ミュンヘン五輪で金メダルの男子バレーもそう、

V9後の巨人軍も、ヴェルディ川崎もそうでしたよね。

 

会社組織においても同じことが言えます。会社を大きく成長させたトップマネジメント

チームの世代交代は難易度が高い課題です。特に、そのチームがほぼ同じ顔ぶれで

長く会社をけん引してきた場合には難易度が更に上がります。

 

強烈な個性の直下に強烈な個性をもった人間は共存しにくいものです。この強烈な

メンバーが考えることを実践できるメンバーが登用、重用されがちだからです。

そうなりますと、当事者意識が強く、個性が強い人間は別の場所、すなわち社外に

活躍の場を求めることになります。結果として、直下の世代に“次を担える人材”が

いなくなります。

 

トップマネジメントチームの「世代交代」は人事の重要課題です。次世代を担う

可能性があると目する人材を見極めたなら、現体制下で登用するのではなく、

現体制の影響が比較的少ない場所でリーダーとしての経験を思い切りさせておくのが

良いでしょう。そういう子会社があれば最適です。

 

いよいよ世代交代を実行する。このときに必要なことは、「タイミング」と

「“リスクをとる”という決断」です。

 

世の中的には現体制の神通力が衰えてきてからの交代事例が多いのですが、これは

理想的ではありません。現体制の補強と新体制の立ち上げは違います。前者への

対応が重く、新体制も立ち上がらず、悪化の度合いが深まってしまいます。

 

現体制が十分に機能しているときこそ、チャンスです。自分を含めた現体制を

“後見人”として活用できる状態で一気に新体制への世代交代を行う。

これがベストだと思います。

 

人選は自分がいないことを前提で進める。これが大原則です。そうでないと、

まずは自分がコントロールしやすい人間を挙げがちです。更には、自分と比較した

ダメだしをすることになります。

 

自分と同じ視界と行動力、影響力を持った人間などいません。その目線を捨てないと、

“自分が見てやらないと心配だ”感を払しょくできません。これが世代交代の

最大の妨げになります。

 

自分の存在を前提としない。これが肝要です。やれそうなヒトがいたらやらせて

みるのです。やらせてみて、ダメだったら陰で支え、それでもダメだったら、

“自分の再登板を除いた”他の手段を考える。

 

世代交代が一番大変なのはオーナー系の企業です。上記のような仕組みも

オーナーの解釈ひとつでいかようにも変わってしまいますから。そういう会社では、

まさにオーナー自身が自分で自分を律して、世代交代を断行しないと絶対に

実現しません。

 

自分の存在を消して考えることができるかどうか。この進め方がオーナー経営者の

退任後の評価が決まります。引き際は美しくありたいですね。

 

 

おまけー1:友人のAさんの結婚式話の続きです。

 

共通の知人としてTさんと「ゆりかもめ」でヒルトンお台場に向かう中、「お台場・・」

という文字が目につき、“Tさん、着いた!降りるぞ!”とがーっと改札を出たところ、

「台場」ではないことに気づきました。(「お台場海浜公園」・・・)

 

歩いていく選択肢もあったのですが、天下の方向音痴2名。リスクをとらずに

次のゆりかもめで向かいました。なんとかホテルに到着。チャペルに入ったところ、

誰もいません。

 

“おー、さすがサプライズだなー”と私。

 

ところが、暫くしても誰も来ません。

 

“柴田さん、ここ違うんじゃないすか?” とTさん。

 

(違うチャペルだ!)

 

 

おまけー2:パスの私の部屋から向かいのビルのオフィスが見えます。いろんな会社が

あるなーという感じです。とある会社で新人らしき社員が全員の机をふいている

(昭和ですね~)のですが、机によってかけている時間が大幅に違います。

社内の人間関係が見えます。 (^.^)