柴田励司の人事の目

Indigo Blue メールマガジン

Vol.613 やりたい仕事に手を挙げる仕組みを

“自ら考えて仕事をせよ!” 

 

よく言われる言葉です。しかしこれ、普通の社員からすると、なかなか難しいかも

しれません。なにしろ人事権は会社にあります。仕事を選べません。自己申告制度

なるものはあったとしても、それは“聞いとくよ”というもので、希望を出しても

なかなか採用されるものでもありません。そもそもが、与えられた仕事をすると

いう環境下なのです。そういう中で“自ら考えよ”と言われても・・、

むしろ指示くれれば全力でやります!・・・これが多くの社員の本音だと思います。

 

大企業であればあるほど、仕組みが整備され、役割分担がはっきりしていますので、

一人ひとりが考えなくても物事が進んでいきます。また、超効率的に仕事をしても

メリットがなく、むしろヒマだと思われて仕事が増えたりするので、自分の生産性を

高めようというインセンティブが働きません。

 

就活時点で大企業に採用される若者と採用されない若者には実力差があります。

大企業に採用される若者の方が“優秀”でしょう。しかし、大企業に採用されなかった

(落ちた)若者がベンチャー、中小、外資系に行き、七転八倒しながら仕事をして

7~8年過ごすと大きく成長します。大企業の恵まれた環境の中で同じ年月を過ごした

人間を大いに圧倒する仕事力を身に着けます。20代で自ら考え、結果を出す型が

できています。大企業人材の20代はせいぜい優秀なスタッフです。明らかに差が出ます。

 

大企業という器には“優秀な若者”をスポイルする要素があります。この要素をいかに

取り除くか。これが大企業の人事の課題だと思います。スポイルされた集団は固定化します。

反射神経に難が生まれ、不測事態に弱くなります。

 

これをなんとかするために、わたしがおススメするのは「全社ガラガラポン」です。

全社ガラガラポンとは社内の全ての一般ポジションを社内公募する、というものです。

社員が行きたい部署に手を挙げるものです。

 

やり方はこうです。

 

まず組織の枠組み(本部、部、課)を明らかにします。その後、課単位でその役割責任と

定員と求める人材像を本部長または部長から発表します。全社員はこれを聞き、どこの

部署に行きたいかを考え、第三希望までその理由を欠いて応募します。

 

人事は全員の応募状況、定員を勘案し、部長たちと相談し、全員が第三希望までの

なにがしかの役割になるよう調整します。

 

私が会長を務める「エクスボーテ」ブランドの化粧品を企画販売しているマードゥレクス社

ではこれをやりました。(というかやっている最中です。現在は全社員からの応募を

調整しているところです。)かつて、CCC時代にも千人単位でこれをやりました。

 

狙いは組織の活性化に他なりません。仕事は与えられるものではなく自分で考えて

選ぶものであることを社員に再認識してもらうこと。その際に、自分の職業人生を

どうしたいのかを考えてもらいたいこと(こういう臨場感のない中でキャリアプラン講座

とかやっても意味なし)、好きな仕事をするには部長から選ばれないといけないことを

実感してもらうこと・・など等です。

 

どんな会社でもヒトと組織が全てです。仕事に前向きな集団と与えられた仕事をやる

意識の集団では最初から勝負がついています。「ガラガラポン」は組織に熱をもたらします。

 

全社でやるのは現実的ではないという超巨大組織の場合には本部内ガラガラポンでも

いいでしょう。ガラガラポンの副次的な効能は管理職の人望のありなしがハッキリする

ということです。人気投票ではないのですが、自分を高めてくれる、活かしてくれる、

一緒にはたらきたいと思わせる管理職のところにヒトは集まります。

 

中小企業のように社内異動がなかなかないというところこそ、これをやった方が

いいです。社内が活性化しますよ。(やってみたい経営者の方はご相談ください。

進め方、留意点、応募受付用のアプリケーション等、ご教示いたします。

 

おまけー1:人生の大先輩。“これから2週間バリ。その後は札幌に3週間。

秋は那覇にいる”。いいなあ。目指す姿です。

 

おまけー2:コンビニでフライデーをそっと立ち読みする中学生とおぼしき男子あり。

その隣でそれを覗き見する中年男子あり。(情けない。その子に買ってやるくらいの度量が欲しい。)

 

おまけー3:コールドプレスの「サンシャインジュース」のセールです。

今ならお得です!ぜひ、お試しください。

 

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Vol.612 虎の威を借る部課長対策のススメ

最初に断っておきます。私は日本の大企業を応援しています。日本の大企業が世界中から

「エクセレント・カンパニー」と認知され、世界中から優れた人材が集まってくるように

なったら素晴らしいと思っています。Organization Theater(体験型ケーススタディ)を

開発したのも、PHAZE(学歴<人間力の発掘・育成企画)を発起したのも、現在CEOを

務めるパス株式会社で大企業からの出向を受け入れているのも、大企業の人材の

質的強化のためです。

 

だからこその苦言です。“虎の威を借る”部課長をなんとかした方がいいです。

 

自分の実力と会社のネームバリューを混同して、外部に対して上から目線で接したり、

相手を卑下するようなことを言ったり、無理難題をふっかけたり・・・。実に不遜。

問題なのは、意識して不遜な行動をとっているわけではないことです。自分がやって

いることが悪いと思っていない。自覚がないのです。ちなみに不遜とは「へりくだる

気持ちがないこと。思いあがっていること」。これ特に著名企業に多い。残念です。

 

こういう人たちは経営幹部にはなりません。(というか、なれません。)

10年ほど前には同様の立ち振る舞いをする役員クラスを見かけましたが、さすがに

最近はこういうお方をお見かけしなくなりました。明らかに経営者への登用基準が

変わったからです。最近は業績だけでなく、「人間としての器」を問うていますからね。

しかも外部の客観的な視点も加味して。これは良いトレンドだと思います。

 

一方で(小粒なのですが)不遜な部課長が目立つようになってきました。

 

この不遜さは組織の上に対しては出しません。忠実な“部下”として振る舞いますので、

上にはバレていません。しかし、部下たちはわかっています。取引先や自分たちへの

態度が良くないからです。

 

経営者のみなさんが注意すべきなのは、みなさんがいかに公正かつ誠実に仕事を

していたとしても、日常的に外部に接しているのは現場の部課長クラスです。

彼ら彼女らの態度が会社のイメージ、評判を決めます。

 

このあり様を放置しておきますと、若者に伝染します。無垢な若者がその不遜な

仕草を標準形として真似するようになります。不遜さが増殖します。

有意な若者は呆れて会社を去ります。困ったものです。

 

この手の人たちの悪影響がピークに達するのは、その人たちが役職定年などで

一線を退いたときです。社外に対して「虎の威」が使えなくなるので、不機嫌、

しかも(実務能力がないので)不稼働人材になります。そうなると、この人たちを

受け入れた組織の長の最大の仕事が社内の人間関係問題への対処になります。

みなが“あの人をなんとかしてくれ”と不満をいだいて仕事をすることになります。

業績を高めるどころではなくなります。

 

大企業であればあるほど、注目され、かつ社会的な責任も問われます。その企業に

ふさわしいヒトであるかどうかを定期的に問う仕組があった方がいいと思います。

入社の際にはこの審査をしていると思うのですが、入ってからも継続的に個々の

立ち振る舞いを見直す機会を設けた方がいいと思うのです。

むしろ、そっちの方が重要ではないでしょうか。

 

最もわかりやすいやり方は「多面フィードバック」です。「多面評価」というと

仰々しい感じがします。そうではなく、フィードバックです社内外の人たちから

“どう見えているか”を教えてもらう機会を設けるのです。結果はあくまでも

自分の身の振り方へのヒント。昇給や昇進・昇格とは無関係にします。

 

これを継続していくと、最初は腹立たしく感じたとしても、次第に自分について

フィードバックしてくれることに感謝するようになります。その気持ちが当人を

謙虚にします。

 

自分の立ち振る舞いがどう映っているか。これを部課長に考えてもらう機会を

創りましょう。それだけで8割方の方を修正できると思いますよ。

 

 

おまけー1:選挙に行きましょう!先日の港区長選挙の投票率がなんと24.25%でした。

投票率が33%を下回っていたら、無効にした方がいいと思います。意味がないです。

やり直し選挙となると費用がかかりますが、なんらかの方法で選挙に行かなかった

人から徴収することにすれば選挙に行く人が増えると思います。

 

参院選選挙、面倒くさがらずに投票を!

 

 

おまけー2:パスの子会社のパストラベルがもうすぐ企画旅行を販売できるようになります!

 

他にはない企画を考えたいと思っています。いま構想中(思いつき中)なのは

「5 hours in Tokyo」。18時に都内の某所に集合。その後、5時間都内のあちこちを

体験してもらいながらチームビルディングしてもらうような企画です。詳細はまた。

 

 

おまけー3:エクスボーテの15周年記念のプレミアム クッションファンデーション発売!

とっても評判がいいです。(韓国製ではなく純日本製です。)

女性の方へ。ぜひ一度お試しくださいませ。 (^_-) 

 

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Vol.611 リーダーの覚悟について知る

6月29日はパスの株主総会でした。新体制になって2度目の株主総会です。昨年度決算は

残念ながらまだ赤字。売上高は6.2億から22億に伸びましたが、全体としては、まだ

発展途上です。ご出席いただいた株主様から、“失望している。しっかりやりなさい。

”というご意見をいただきました。お言葉、正面から受け止めます。

来年の株主総会では胸を張れるように頑張ります。

 

最近「覚悟」という言葉について考える機会がありました。

 

ネットの辞書を見ると「悪い事態(に多大の努力がいるの)を予測して心の準備をすること。」

とあります。

 

“リーダーとしての覚悟”とした場合、待ち構えているのは必ずしも「悪い事態」では

ありません。むしろ良い事態にするのがリーダーの仕事ですので、最初から悪い事態を

予測して・・・というのはやや違和感があります。

 

私はこう思います。結果の良し悪しに関わらず、リーダーとしての仕事をすると、

その過程や、創った後に様々な事柄が発生します。それらに正対していると自分の感情を

殺さざるを得ないことがたくさん出てきます。その「心の準備」をすること。

つまり、自分の感情を殺すことへの準備。それがリーダーとしての覚悟だと思います。

 

組織の長になるということは、多くの人の人生に影響を与える存在になるということです。

自分の言動、意思決定が社員やその家族、取引先企業の社員とその家族の生き方、

生活環境に影響を与えます。顧客の人生にも何らかの影響を与えるかもしれません。

上場企業の場合には株主の資産に影響を与えます。こうした様々な利害関係者たちの

「期待」「希望」「不安」「怒り」を背負うことになるのです。

 

企業規模が大きくなればなるほど、大半の方々の個別の状況を知る由がありません。

直接語りかけることもできません。計画したことが実行されないことも多々あります。

更には自分の意に反した事柄が、あたかも自分の意思のごとく語られてしまうことも

あります。しかし、全ての責任はリーダーにあります。実行責任を果たせないときには、

厳しい言葉を浴びせられることもあります。

 

あっちをとればこっちがとれない状況、言い訳ができない状況、自分の正当性を

説明できない状況、こうした状況に身を置くことになります。何とも言えない感情が

湧き出てきますが、それは出せません。

 

また、決めるのがリーダーの仕事なので、何かを決めるということはそれに反することを

やらないということを決めることになります。一生懸命努力している事業やプロジェクトを

経営判断で止めるという決断はまさにこれです。当然ながら当事者たちからは

「怒り」「憎しみ」「恨み」が飛んできます。これらを受け止めなければなりません。

 

また、パフォーマンスに問題がある社員がいた場合に改善を要求し、それが見られない場

合には、大幅な減給、または会社の外に出てもらうことを伝えなければなりません。

ここでも「怒り」「悲しみ」「懇願」といった反応があるはずですが、それに

ほだされるわけにはいきません。共感しつつも決めた事は遂行しなければなりません。

 

事業の停止、雇用解除を伝えること。これもその一例です。それを言われて嬉しい

当事者はいません。それをわかっていても、伝えるときには伝えないといけません。

嫌な役回りです。それを担う覚悟です。

 

優れたリーダーは「周囲に良い影響を与えて組織を動かし結果を出す人」です。

それができるのは周囲の人たちがそのリーダーと一緒に働きたいと思っているからです

。しかしながら、みなに好かれたい、“いい人”だと思われないと思っていると

「覚悟」が不足します。覚悟の足りないリーダーは一緒に働きたいとは思われません。

その場しのぎで日和る(ひよる)からです。

 

リーダーになったなら、自分の気持ちはさておき、という覚悟が必要です。

リーダーである以上、自分の感情を殺すことは仕事のうち。リーダーを目指す人たちに

ぜひ知っておいてほしいことです。ただし、パッション(熱情)は失ってはいけません。

こういう難しい役回りなのです。

 

 

おまけー1:季刊誌DRESSの第二号が発売されました。今回のテーマはWAGAYAサードプレイス。

知人のSさんにご自宅をご紹介いただきました。(巻頭に発行人としてコラムも書いています。)

       

https://p-dress.jp/articles/2002

 

 

おまけー2:その昔、秋葉原の駅前にあった韓国料理店の「特別スンドゥブ」の味が

忘れられません。それを超えるものに出会っておりません。ただ辛いだけのは最悪。

魚介の味がベースにないといけません。誰かスンドゥブの美味いお店を知りませんか?

 

 

 

 

Vol.610 人材の壁

日経産業新聞(6月23日)に掲載された「VB経営AtoZ」(「人材の壁」必ずぶつかる)

からです。このコーナーには2010年から毎月1回掲載いただいていますが、今回は

複数の方から、メルマガでも紹介してほしい”との要請がありました。以下、

補足を書き入れた特別編です。

 

「人材の壁」。ベンチャー企業は成長すると、この壁に必ずぶつかる。

 

人材には3つのタイプがある。0から1を生み出すタイプ。1を1.1にするタイプ。

1をN倍にするタイプ。ベンチャー企業で活躍するタイプは「0から1」のタイプだ。

 

このタイプは寝食を忘れて仕事をするのが苦にならない。リスクを取ることも恐れない。

指示を待たない。自分の仕事の進め方に自信がある。誰かに育成されるとは思っていない。

評価を意識していない。興味があること、必要なことは自分で勉強する。世の中のルールや

過去の規範には関心は低い。創業期には概ねこういうタイプが多い。

 

成長につれて利害関係者が増え、会社の体を成すことが求められるようになってくると、

1を1.1にするタイプが必要となる。世の中は「決められた仕組み」で回っているので、

それを着実に実行できる人材が必要になるからだ。1を1.1にするタイプは社内ルールを

きちんと定め、情報を共有し、記録を残す。業務の標準化を進める。経営計画を整備し、

数字を伴った中期事業計画を作れるようになる。彼らの働きがあるので利害関係者への

説明責任も果たせるようになる。

 

一方で1を1.1にするタイプが大半になってくると創業期とだいぶ様相が変わってくる。

社内に育成への期待が生まれ、指示を待つ人間が増えてくる。社内の評価のあり方に

ついて議論が活発になる。ワークライフバランスが重視されるようになる。

中には1を1以下にする人間も出てくる。特に新卒採用は1を0.5以下しかできない

社員の存在を一時的にであれ容認することを意味している。

 

このころ創業期からいた幹部たちは不満を抱き危機感を覚えるようになる。

ベンチャースピリットがなくなってきた、不満は言うが実行しない、仕事ができないの

だから残業は当たり前だ・・・。一方で多くの社員たちは幹部の指示に不満をいだく。

 

古参の幹部はいわば「たたき上げ」だ。経営管理についての勉強をしてきたわけではない。

基本的なビジネススキルや知識も偏っていることが多い。外部から入ってきた1を1.1にする

人材は違う。それなりの知識とスキルを備えている。この外部人材がやり方に不満を抱く。

やり方が非効率、指示も合理的ではない。あの人の下ではやれない・・・。不満が重なり、

組織感情がギスギスしてくる。私の経験上、社員数が100名に近くなってくると

この状態が顕著になる。

 

残念ながら、これは防げない。“麻疹”のようなものだ。全てのベンチャー企業が経験するが、

時間の経過と共に解消する。多くの場合、古参の社員が会社から離れてしまい結果的に

この問題がなくなる。しかし、このプロセスをうまく乗り越えないと会社の将来に暗雲

が立ち込めることになる。創業メンバーが抜けていくことで、会社の経営は健全化する

かもしれないが、一方で会社の勢いは減退する。

 

ベンチャーではなく普通の中小企業になってしまう。その時点で、自社の商品・サービスが

マーケットで認知され、それなりのシェアを維持できていれば大きな問題にはならないが、

そうでない場合には成長カーブが急速に横ばいか下降路線をたどることになる。この場合、

会社のテーマが「リストラ」になる。成長ではなく維持・生存がテーマになってしまう。

 

会社の事業が1から1.1またはN倍を目指す安定成長ステージになったら、0から1を

創りだすメンバーを集めて、新たな0から1の立ち上げに注力してもらうのがよい。

会社全体としては安定基盤の確立と新たな成長という2つを目指すことになる。

 

異なる体制、運営ルールを適用することで、安定成長と新たな創業の2つを求めることができる。

この目線とわりきり。ベンチャー企業経営者が成長戦略を考える上で重要だ。

 

 

ちなみにこの3つの人材タイプのうち最も希少なのは「1をN倍にできる」人材です。

N倍人材は事業の種(優れた思いつき)を仕組化して収益化します。ベンチャーにも

大企業にも必要な人材です。人材のタイプとしては、「0から1」人材に似ており、

決まったことをやらせていると、そのポテンシャルが開花しにくくなります。

その見極め、配置、要注意です。

 

おまけー1:昔の仲間が現在、上野の東京国立博物館にて、熊本城復興支援を目的とする

『VR熊本城』特別上演イベントを開催しています。

 

http://www.toppan-vr.jp/mt/special/index.shtml

 

 

江戸時代の力強い熊本城の姿をシアターで体感いただき、今後の復旧・復興を皆で

応援する気運を高めようという企画だそうです。

(鑑賞料は全額熊本城復旧支援金に寄付とのことです。)

 

おまけー2:ストラス解消グッズを企画中です。ぬいぐるみが必要なのですが、

開発者によると「UFOキャッチャーに通ったんですが、なかなかとれないんです。」

(買った方が早い・・・)(グッズは8月初旬にお披露目できるかなー)

 

おまけー3:イギリスのEU離脱で思います。国の将来を民意に問うで一発で決めてしまう

のは危険。事態が複雑化すればするほど、人は自分の身の回りの問題に置き換えて感情的

に判断します。「第一回国民投票」→「指導者たちによる解説・討論」→

「第二回国民投票で最終決定」というプロセスがあった方がいいと思います。

 

 

 

Vol.609 「ちっぽけな優越感がする悪さ」

つい見てしまうCMです。

 

「セトモノとセトモノとぶつかりっこするとすぐこわれちゃう。

どっちかやわらかければだいじょうぶ  やわらかいこころをもちましょう」

 

相田みつをさんの詩を引用したACジャパンの全国キャンペーンです。

 

この詩は「そういうわたしはいつもセトモノ」と終えています。

 

そうなのです。誰もがちょっとしたことでセトモノになりがちです。

特にそれなりの地位にある人は要注意。“自分はこれだけ頑張っているのだから「特別対応」

してもらって当然だ・・・というおごりが生まれがちです。名の知れた企業の幹部、

役人、オーナー企業の社長、政治家、芸能人でこの手の失敗で世をにぎわした例は

たくさんあります。

 

セトモノの矛先になりがちなのが、レストランのマネージャー、タクシーの乗務員、

駅員、コールセンターのスタッフ。ちっぽけな優越感を充たすために。自分の心が

する悪さです。自省/自制しませんと。

 

職場の中にもこうしたぶつかり合いがあります。どの職場にもあるでしょう。職場だと

すぐさま“ガチャン!”とはなりませんが、角が立つやりとりを繰り広げたり、去り際に

毒のある言葉を吐いたり、さらには無視したり・・・。(全ての対応をメールにするのは

“無視”と同義です。)これらは、すべて自分の心がしてしまう悪さです。

 

部下同士がこういう状態になると、心ある上司はたいへんです。なんとか改善したい

ので仲裁しようとします。まずは、双方それぞれの話をじっくり聞きます。食事や

飲みの時間を使うこともあるでしょう。

 

客観的に聞けば聞くほど、双方それなりの主張も理解できますし、なぜ、好戦的な

態度なのかもわかります。しかし、多くの場合、上から見るとどっちもどっちなのです。

そういうと、双方から“それでも向こうの方が問題だ!”となります。これは治まり

ません。やれやれ。

 

こうした問題を抱えていない組織はないと思います。この手のことは組織の上の階層

になればなるほど“頑固な問題”として顕在化し、継続します。継続すれはするほど良

いことがありません。組織の連携ミス、キーパーソンの離脱、内部告発・・・、

顧客のことよりも社内政治が優先となり、業績は低迷します。まさに敵は内部にあり、

という状態になります。

 

心ある上司であればあるほど自分の時間のかなりの割合を使って、この手の問題を

解決しようとします。しかし、これはあくまでも当事者の心の問題なので、上司が

できることには限界があります。上司の顔を立てて、その場はとりつくろったとしても、

当事者の心のもちようが変わらない限り、変わりません。

 

心のもちようを変えるには本人が自分の内面を見つめる機会が必要です。周囲は

そのための機会を設けるしかできない。そんな思いから開発したのが人間関係を

改善し、組織のパフォーマンスを最大化させる自分の小さな箱から脱出する

「箱のセミナー」です。

 

http://www.indigoblue.co.jp/program/chemistry_change.html

 

これは一つの会社の中でやるよりも、誰も知らない中でやった方がいいですね。

特に執行役員以上の方であればなおさらです。社内だとそれなりの姿(威厳)を

保とうとして邪心が入りますので。

 

“セトモノ”状態になっている人に“このセミナーにいきなさい”というのは逆効果です。

“なんで自分が?(向こうじゃないの?)”という反応になること間違いなしです。

なので、部長以上全員とか、課長以上全員を対象として、5~6社で共同開催するような

カタチを採ることをおススメします。

 

思うに、私はコンサルティング会社の部門長時代に“セトモノ”行動をたくさんとって

いました。当時の社長にはたいへんご迷惑をおかけしたと反省しきりです。

最近、因果応報か・・・と思います。やれやれ(みんな、うまくやってほしい。)

 

 

おまけー1:「HEROES REBORN/ヒーローズ・リボーン」を観ています。

HEROES」シリーズは大好きだったので、Seaon4までのDVDは全部持っています。

しかし、REBORNは“つじつま”を無理やり合わせてる感が満載。うーん。 

アメリカのドラマは“聞いてはいけない”点が多いですね。(ターミネーター

新起動(ジェニシス)の初代ターミネーターを送ったのは誰とか、X-menのプロフェッサーが

娘時代のジーンに会いに行ったときに立っているのはなぜか? とか)

 

 

おまけー2:とある宿の大浴場。脱衣所に服がないのに湯船に入っている人あり。うむむ、

これで自分が脱いだら、自分の服が消えるかも・・・と悩んだ末に入浴。そのヒトよりも

先に出ればいいと思ったところ、自分が入った直後にそのヒトが出てしまいました。ピンチ! 

脱衣所から“あ!”という声がしたので、慌てて湯からあがってみると、

私のスリッパが消えていました。(服は無事でした。どうやって出ていったのだろう?)

 

 

Vol.608 入社1年目の仕事の流儀

先週金曜日に入社2年目の若者たち16名に会いました。大和書房さん主催のイベントです。

場所はスルガ銀行さんが六本木のミッドタウンに展開する「d-labo」。ここはDRESSの部活

でも活用させていただいている素敵な“大人の隠れ家”的イベントスペースです。

テーマは「入社1年目で困ったこと」。社会人になって何に困ったか。率直な意見交換の

場でした。詳細はこちらに。

 

http://www.indigoblue.co.jp/career-talk.html

 

6月の声を聞き、大企業では新卒採用の仕上げにかかっています。この「新卒採用

(学生からすると就活)」には学生たちも企業も相当のエネルギーと時間を割いています。

 

しかし、大事なことは入社することではなく、入社した後にいかに社会人として自らを

成長させ、結果としてその会社に、そして、世の中にどれだけ貢献できるかです。

さらには自分の人生をいかに充実させるか、ではないでしょうか。

 

現実離れした“新卒採用”イベントに踊らされたまま社会人1年目を迎え、

“聞いてた話と違う”と戸惑いながらも、毎日誰かの指示をこなすことを繰り返し、

気づけば30代“。なにしてんだ。自分?”という若者、“わかってもらえていない”

として、せっかく入社した会社を簡単に辞めてしまう若者。

さらには自分のキャパシティをはるかに超える仕事に溺れて倒れる若者。

 

こういう若者たちの役に立ちたい。社会人になってからの3年間をどう過ごすかで、

その後の社会人人生が決まります。たまたま良い3年を過ごした人がいる一方で、

それを知る機会に遭遇せず空回りしてしまう人がいます。空回りの人の方が

圧倒的に多いのが現実です。

 

知っておくといい「流儀」があります。それを伝えたい。

 

大和書房のHさんが私のこの想いに火をつけてくれました。

 

今年は本の出版をしないつもりでした。ここ数年、毎年1冊のペースで出版を続けて

きており、今年もいくつかの出版社さんからご依頼いただいていたのですが、

全て“業務多忙”を理由にお断りしておりました。が、社会人4年目のHさんの

熱意に負けました。10月に「入社1年目の仕事の流儀」という本を出版することになりました。

 

以下、「はじめに」からの抜粋です。

 

社会人になって最初の3年をどう過ごすか。とりわけ最初の1年をどう過ごすか。

これがその後の40年に大きな影響を与えます。学生時代にどんなに活躍していたとしても、

その延長線上に社会人としての成功があるわけではありません。社会人として活躍するため

の流儀を知らないと、“どこに入社しても、こんなはずじゃなかった。この会社は自分の

ことをわかっていない!”として転職を繰り返すことになります。逆に、どんなに地味な

学生時代だったとしても問題ありません。社会人として成長する流儀をおさえておけば、

社会人人生がこれまでとは異なる展開になります。

 

私は社会人1年目をホテルの現場で過ごしました。主としてやっていたのは宴会場の

ウエイター業務です。休みは不規則。毎日出勤時間が異なり、残業も当たり前。月平均

70時間程度残業していました。朝5時出勤が命じられたときには、前日から泊まり込みに

なります。土日は昼、夜と食事時に結婚披露宴を担当していたので、一日中、食事を

とることなく働いていました。労働環境的にはかなり厳しい状況でした。

 

しかし、この1年の経験がその後の社会人人生に大いに活きています。ホテルという

非日常的な空間で過ごす時間に高いおカネを払っていらっしゃるゲストへの接し方、

ほんのちょっとした気の緩みがクレームにつながる緊張感、はたまた学歴、年齢、

雇用形態が様々な集団の中での動き方。毎日が刺激的でした。特に、宴会場を短い時間で

模様替えして次の宴会に備えることが頻発していたので、段取りの大切さを心底学びました。

仕事は段取りで決まるもの、と実感しました。これがその後の糧となりました。

 

その後、社会人2年目の11ヶ月目から縁あってオランダの日本大使館で働くことになります。

これが人生初のデスクワークでした。ここで私が作成した資料、文章に当時の駐オランダ

公使に徹底的に赤ペンをいれてもらったのが今につながっています。

 

どのような経験をしたか。誰と働いたか。この2つの要素がヒトの成長を左右します。

しかし、どんな経験ができるか、誰と働けるか、いずれも自分の思う通りにはなりません。

周囲の先輩、上司が“こいつにやらせよう”と思ってくれないと始まりません。

私はそういう意味で大変ラッキーでした。やり方が目茶目茶な方もいらっしゃいましたが、

ホテルや大使館で多くの先輩・上司たちは、私にいろいろな経験をさせてくれました。

 

要は経験です。入社1年目の仕事の流儀として目指すべきことは「こいつを育てたい!」

と思わせる存在になることです。それに尽きます。“こいつを育てたい!”と

思うといろいろな機会に遭遇することになります。それが、あなたを成長させるのです。

 

では、どうすれば“こいつを育てたい!”と思われるようになるか・・・。

 

続きは本文の中で。発売日が確定しましたら、お知らせしますね。

 

 

 

おまけー1:イベントに参加したある男性。「困ったことは何か?」に対して、

先輩が「元ヤンキーだった」。

それを知った経緯を聞きたかったです。

 

おまけー2:家の近くのお花屋さんのご主人に似ているなー、と常々思っていた

Mさんとの会食。自宅近くのレストランを予約・「***にあるお花屋さんを覗いてごらん。

何か発見があるかも。」とメッセージを入れたところ、何が仕掛けられているのかと

戦々恐々で足を踏み入れ、ご主人と名刺交換してきたとのこと。

 

似た顔の二人が顔を合わせたらどんな気分になるかを知りたかっただけなのですが。

 

おまけー3:港区長選挙。現職者は3期12年もやっている方。さすがにこれ以上は

やりすぎだと思います。他の2人の候補者の公約は“うけ狙い”中心。どうしたものか。

アメリカ大統領選もどっちに入れたものかと悩む人が多いでしょう。

キャプテンアメリカ役の俳優が立候補したら当選するような気がします。

 

 

 

Vol.607  ”お代官”管理職対策のススメ

静かに賢く老いるということは満ちてくつろいだ願わしい境地だ(尾崎喜八『春愁』より)。

 

本当にそう思います。最近、30代前半の新進気鋭の経営者にお会いすることが多いのですが、

彼らが若さゆえに見えていないことを話すときにそう感じます。昔の自分は違いました。

こうした若者たちに“嫉妬”して、競り合うような発言をしていたと思います。今は違います。

この若者が首尾よく育つために、役に立ちそうなアドバイスをしたい、自分がこの若者の

ために何ができるか、そう考えられるようになりました。

 

こう書きますとなんだか枯れているみたいですが、そんなことはありません。自分史上、

最高の熱量を感じながら毎日過ごしています。しかし、自分と誰かを比較して熱くなったり、

優越感を感じたりということがなくなりました。とても熱いが静か。こういう心境です。

 

一方で、私と同世代以上で良くない“老い方”をしている人が結構いますね。特に誰もが

知っているような大企業で見かけます。

 

‐自分の存在を強くアピールする

‐それでいて実務はできない

‐手も動かない

‐若い人間や業者の時間を使う

 

これは“老害”です。

 

この中で特に“手が動かない”は深刻です。“手が動かない”とは自分で文章を書いたり、

資料をまとめることができないという意味です。こうなってしまうと「使い道」がありません。

会社側もその処遇に困りますが、本人も本当は辛いはずです。

 

自分のプライドを守りたいので何かと口だけは挟む。自分が真剣に考えていることを

認めてもらいたいが故に、会議の場で流れに反する発言をする。ちゃぶ台をひっくり返す。

忙しい若者や業者を“拘束”する・・・。

 

かつてアメリカ企業にいたときには、上になればなるほど、質的に高い仕事をたくさん

していました。だから報酬が高いというロジックでした。昔の日本企業は上になればなるほど、

仕事をしない。お代官みたいな管理職が多かったです。これが日本の大企業が失速した

主要因だと思います。

 

お代官管理職とは「提案を持ってこい。チェックしてやる。」という存在です。

ダメだしはしますが、創発的なアドバイスや育成支援はしません。

もちろん、“手が動きません”。

 

2016年の今でも一部の日本企業の50代の上級管理職に“お代官”が散見されることに驚きます。

歴史が長く、仕組みで儲かっている会社だとお代官管理職でも十分に生きていけます。

だからです。しかし、これを看過していると会社としてもちません。

 

今後大いなる変化が間違いなく起きます。グローバリゼーションはこれまでとは次元が

違う状況になるはずです。また、多くの方が指摘しているようにAIの発達はそれこそ、

従来の仕事のあり方を変えます。しかも、これは10年以内にそうなると思います。

 

お代官中高年を大量に抱えていては身動きがとれなくなります。以下の「ポータブルスキル」

(どの会社であっても、どの仕事であっても有用なスキル)を徹底的に鍛えることを

おススメします。

 

・議論をまとめ、納得させるファシリテーションスキル

・情報を整理し構造化するスキル

・聞き手を惹き込むプレゼンテーション

・わかりやすい文章・資料をつくるスキル

・相手の表情を読み、表情で語るスキル

 

この中で「わかりやすい文章・資料をつくる」は基本中の基本です。しかし、PCスキルが

お粗末でできないというレベルの人もいます。これはかなり重症。万が一、そんな人が

まだいるようであれば、大至急なんとかしないと大変な重荷になりますよ。

 

 

おまけー1:紫田シリーズその2です。

 

“紫田じゃなくて、柴田だよ”

“アメリカが長いので・・・” (この切り返し、使える)

 

 

おまけー2:「尾崎喜八」の冒頭の詩ですが、男性合唱経験者であればすぐにピンときますね。

 

https://www.youtube.com/watch?v=uBg9ApqDDFo

 

 

おまけー3:ここ数日「かつら」という言葉をよく目にします。造園「かつら」、

桂さん、とんかつ「かつら」・・・

 

これは何かのメッセージか?