柴田励司の人事の目

Indigo Blue メールマガジン

Vol.664 信頼しても依存しないチーム

“みなさんは外野を5人で守っている”

 

某大企業の改革に関わったときの私の発言です。

考えられないようなミスが発生した後の話です。

 

野球に例えて言えば、この5人はボールに対する勘、走力、肩の力、いずれも優れています。

しかし、平凡なセンターフライを三塁打にしてしまいました。お互いに“あいつがとるだろう”

と油断。初動が遅くなったからです。これが信じられないようなミスを引き起こしました。

 

こんなこともありました。重大な品質問題が発生し、お客様向けの説明文書を発信しなければ

なりせん。作成者はお客様相談室の誰か。室長、担当部長、担当役員がチェックしたことに

なっていましたが、いざリリース直前に重大な表記ミスがあることがわかりました。

チェックしたといいながら、実はほとんど素通りだったのです。“**がつくったのだから

(見たのだから)問題ないだろう”という思い込がそこにありました。

 

心のどこかにある相互依存。これが初動の遅れた原因です。

 

各人の実力を認め、信頼しているからこそのことなのですが、必要以上の人数で関わっていると、

そこに油断が生まれます。外野なら3人。さきほどの文書のケースでは作成者とチェック者

1名でいいでしょう。自分がやらなかったら誰がやる? という状況をつくっておかないと

“誰かへの依存心”が生まれ、それがミスを引き起こします。

 

人数よりも問題なのは「階層」です。屋上屋を重ねるような組織構造はいけません。

本部長、副本部長、部長、副部長、次長、課長・・・これだと階層が多過ぎ。

“誰かが見てくれる”という依存心を生む温床となります。

 

かつて日本の多くの企業で組織のフラット化を推進しました。そこから10年ほど経過して、

いつのまにか増えしまっていませんか。年齢別人員構成のゆがみから“管理職相当”の

人が大量に発生し、結果として“多階層”に戻っていませんか。

 

社会経済環境がVUCA(Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、

Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)と言われる昨今。戦略と組織体制に

求められるのは「機動性」です。これがないと沈没します。相互依存が起こりうるような

配置や人事制度は見直す時期に来ています。

 

それと、忘れてはならないのは、“自分がやらないと誰がやる”という意識づけです。

プライドをもって仕事に臨む人を増やすこと。恥ずかしいと思うような仕事はしない。

そういう思いの人を増やしましょう。

 

“柴田らしくない” 社会に出て間もないころに上司に諭された言葉を今でも覚えています。

前向きに自分を見直せる言葉でした。

 

一人ひとりが自分の仕事にプライドをもち、相互に信頼するが依存はしない。

こういう集団づくりを目指したいですね。

 

 

おまけー1:“この仕事は自分がやり遂げる”という強い意思があるが、能力が伴わない人に

やらせているとえらいことになります。明らかに算数と聞き取りが弱い人がオーダーを

とっているカフェがありました。

 

お客:“カフェオレとコーヒー”  店員:“かき氷ですか?” 

店長:すみません!

 

店員:“367円です。500円お預かりしましたので、お釣りは633円です。”  

店長:す、すみません!

 

この人の配置を変えないと店長が持ちません。

 

おまけー2:関西弁の「知らんけど」を英語に訳すとどうなるか。なかなか難問です。

 

おススメコーナー:NHKのコント「LIFE」が好きです。観れたり観れなかったりだったので、

DVDボックスを購入。これ本当におもしろい。こういう作家になりたい。

 

http://www.nhk.or.jp/life/

 

 

 

Vol.663 発達障害”との向き合い方

“障害はその社会のスタンダートに合っていないことである”

 

発達障害者の社会復帰を支援する事業を行っている

株式会社キズキ代表の安田祐輔さんの言葉です。

 

“米国におけるADHD(注意欠陥、多動性障害)者の割合は日本と比べると低い。米国では

職場等で動き回る人が比較的多いので、動き回ることをそれほど気にしない。日本は

そうではないので気にする人が多い。この差が数字に出ている。“

 

受け入れる土壌の違い。考えさせられる話です。

 

ADHDASD自閉症スペクトラムアスペルガー症候群)、LD(学習障害)といった

発達障害者について語られるようになったのはここ数年です。この“障害者”と、

どのように向き合っていくか、どう受け入れていくか。

間違いなく今後の組織マネジメント上の課題だと思います。

 

以下はネットにあるASDの特徴例の一部です。

 

・丁寧に接しているつもりでも、無礼だとか失礼だとか言われてしまう。

・会話をするときに相手の目を見て話すことができない。

・違うことを試すよりも、同じやり方を何度も繰り返す。

・悪気はないのに事実を言ってしまい、相手との関係性が悪くなったりしたことがある。

・日々のルーティンが何らかの理由で出来なかったり、予定していたスケジュールが

  キャンセルされると、動揺して頭が真っ白になる。

 

・・・身近な人たちの顔が浮かびませんか。

 

問題だと思っている彼ら彼女らの行動ですが、これは“発達障害”によるものなのかも

しれません。そうなると、“発達障害”というものの特徴をよく理解せずに、自分の物差しで

対応しようとしても事態は改善されません。(むしろ悪化するかもしれません。)

 

よく調べてみると、“発達障害”は非常に身近な問題だということがわかります。

2012年の文部科学省の調査によると、全国の公立小中学校で約5万人を対象にした調査で

、”発達障害の可能性がある”とされた児童生徒の割合は6.5%にのぼるそうです。

100人いると数名はいるということになります。

 

子供だけの問題ではありません、大人もそうです。驚くことに自分にも当てはまることが

あったりします。私は居酒屋などの騒がしい場所だと目の前の人の話は集中しないと

聞きづらいのです。大勢の人の話し声が同じボリュームで聞こえてしまうからです。

私が会食の場で個室や比較的静かな場所を選ぶのはこのためです。

また、集中を必要とする仕事のときに耳栓をするのはこのためです。

 

しかし、これは「聴覚過敏」という発達障害だと指摘されました。

 

Youtube上に「聴覚過敏~居酒屋」という投稿がありました。

まさに私が騒がしい場所で聞こえている状況そのものでした。(ご興味ある方は上記で検索を)

 

(一方でこの“障害”があるために、多人数での会議で、参加者のちょっとした発言を

聞き漏らすことなく、ファシリテーションができるのだと思います。)

 

こうした“発達障害”傾向のある人がいることはもはや前提です。その上でどう対処

していくか。これはピープルマネジメント上の課題として顕在化するはずです。

最終的には排除せずに、いかに受け入れ、活躍してもらえる土壌をつくるか、

ここがゴールになると思いますが、まずはマネジメント層が知識として

発達障害”のことを知ること。ここからだと思います。

 

また、“発達障害”であるが故に特定分野で著しい成果を上げている人もいます。

朝9時に会社には来れないが特定テーマについては余人をもって代えがたい仕事を

する人をどう活用するか。これもテーマの一つになりますね、

 

 

おまけー1:前回のメルマガで「Mr. 火に油を注ぐ人」へ、メールしてくるように

と書きましたところ、14名の方からご連絡をいただきました。違います。

みなさんは大丈夫です。私が意図したのは大阪にいる某さんです。

 

おまけー2:某企業訪問のときのこと。先に行っているYさんに電話。

“そろそろ着くけど、どうしたらいい?”

 

期待した答えは、“迎えに行きます。” 

実際には、“知らんぷりして、さっと、できるだけ早く受付前を通過してください。”

 

おススメコーナー:暗闇の中でのコミュニケーションを体験できるダイアログ・イン・

ザ・ダーク。移転された浅草橋の「Tokyo Diversity Lab.」を訪問しました。

相変わらずいいですね。企業研修の受付だけのようですが、チームビルディング、

マネジメント職の気づきに、強くおススメします。

 

http://www.dialoginthedark.com/news/details.html?no=2194

 

 

 

Vol.662 火に油を注ぐ

今日のテーマは「火に油を注ぐ」です。

 

ここのところ、毎日のようにOT(体験型ケーススタディ)のファシリテーション

担当しているのですが、この状況によく出くわします。

 

ネットで調べますと「勢いよく燃えている火に油を注ぐと、ますます火勢が強くなること

から。騒ぎをいっそう大きくしてしまうなど、その結果を望ましくないものとして使う。」

とあります。

 

この展開、いろいろなところで目にしますよね。特にクレーム対応の場面。ご立腹されて

いるお客様に対応している人間が、この「火に油を注ぐ」発言をしてしまう・・・。

これは相手が何について立腹しているのかを理解せずに、その場を抑えるための発言や

その場しのぎの発言をしてしまうので「火に油を注ぐ」結果になるのです。

 

出張でとある著名ホテルチェーンに宿泊したときのことです。遅い時間のチェックイン

だったので、外で食事をとるのをやめてルームサービスでオーダーしました。

今では(胆石発作予防から)禁断の「ステーキピラフ」と生ビール。とても美味しそうな

シズル感満載の写真。ピラフの脇にモンキーバナナサイズのステーキ片が6枚。

“おお、なかなかいい感じじゃん”と思いオーダーしました。

 

20分後、届けられた現物を見てびっくり。モンキーバナナどころか、お刺身サイズの

ステーキが4枚。笑ってしまうくらい違うのでさすがにルームサービスに電話しました。

 

“あの、メニューの写真と全然違うんですが・・・”

 

20分後、マネージャーという男性がやってきました。

 

“申し訳ありません。メニューの写真とお料理が違うと聞きまして、あの・・写真は

イメージ写真でして・・・”と言いながら、現物を見てあんぐり。

“すみません、すぐに作り直します。”

 

更に20分後、くだんのマネージャーが新たにつくった「ステーキピラフ」と

瓶ビールをもってやってきました。

 

“作り直してきました。・・あの、これ飲んでください。ほんの気持ちです・・・”

 

ニュー「ステーキピラフ」はウエハスくらいのサイズのステーキ片が6枚。

しかし、写真ほどではありません。

 

“ありがとう。でもまだ写真とは違いますね”

“・・・前の伝票ありますか。ピラフのお代は結構ですので・・・、

このビールも飲んでください。”

“そういうことではないので、代金は払います。ビールはもう飲めないのでいりません”

“いやいや、前の伝票ください。そうおっしゃらずに飲んでください。気持ちなので”

 

このやりとりは全くかみ合っていません。私はホテル業界に9年いたので

この著名チェーンのブランドを心配しました。「誇大広告」まがいのことをして

ゲストをガッカリさせるのは良くない。この思いから連絡したまでで、

代金を払いたくないとか無料のビールが欲しかったわけではありません。

メニューの写真が「誇大」であることを実感していただき、

今後どう改善させるかを考えて欲しかっただけです。

 

この後、「料金いりません。飲んでください。」攻撃が続き、

ついていない火がつき、油が注がれる結果となりました・・・(やれやれ)

 

エラそうなことを書いていますが、人の振り見て我が振り直せ。自分も同じようなことを

してしまうことがあります。私の場合には相手の怒りや不満を理解せずに、

その場しのぎ的なことを言ってしまい「適当である」として火に油を注ぐ傾向があります。

常に反省。まだまだです。

 

 

おまけー1:このメルマガの読者で「Mr. 火に油を注ぐ」という人がいます。

自分だと思う人はメールしてくるように。

 

 

おまけー2:月1回の「NHKおはよう日本」の「おはビズ(サラリーマンの掟)」ですが、

次回の放映は9月19日(火)の朝6時10分頃の予定です。

 

タイトルは「上司のやる気が業績低迷の原因?」

 

おススメコーナー:ライフネット生命さんが良いフォーラムを立ち上げましたのでご案内します。

 

「がんと就労」がテーマです。がんにかかった仲間に対して企業としてどのような支援をすべきか、

がん就労者に対する周囲のリテラシーをどのように高めていくか等についてのフォーラムです。

 

詳しくは以下をご覧ください。(第一回が10月6日です。)

http://www.lifenet-seimei.co.jp/shared/pdf/gan-ally-bu_20171006.pdf

 

 

 

 

Vol.661 50代管理職へのエール

今日のメルマガは50代の管理職の方々へのエールです。

 

50代の管理職にとっては、まさに受難の時代。グローバル化、多様化、リーダーの若年化、

働き方改革の要請、AIの活用などなど仕事環境はどんどん変わっていきます。しかも50代

ともなると役職定年がカウントダウン。昇進するかステップアウトか。その中で充実した

仕事人生を続けるとしたら・・・。これが今日のテーマです。

 

部下たちと机を並べて、朝礼に始まり、部下たちの仕事ぶりを監督し、部下たちの質問に

答え、アウトプットをレビューする。これが従来型の管理職の姿でした。多くの場合、

管理職は部下よりも年長で経験も豊富。仕事の大半がルーティンでかつ過去に経験の

あること。自分でやったことがなくとも社内の誰かがやったことがある内容。

部下たちの仕事内容についてわかっているので応えられる。これが管理職のモデルでした。

 

これが変わっていきます。というか、もう変わっています。過去に経験したことを

やるのではなく、むしろ経験したことがないことについて、組織としてどう対応していくか、

このマネジメントが求められているのです。

 

この場合のマネジメントの意味するところは、従来型の管理職がマネジメントしていた

こととは異なります。従来型の管理職がマネジメントしていたことは「決められたことを

きちんと実行すること」でした。そのために、メンバーの能力アップやモチベーション

向上策を考え実行する。これも重要な仕事でした。

 

今、管理職に求められていることは「組織がおかれている状況や環境を把握し、多様な

関係者の衆知を集め、チームメンバーをその気にさせて組織として結果を出すこと」です。

 

まず、環境が変わるので「役割責任や求められる成果」が変わります。

当然に「成果を出すためのプロセス」も変わります。一緒に働くメンバーは、自分よりも

“劣る”メンバーではなく、専門性や技術・テクニック面で自分よりも優れている

メンバーが含まれます。雇用形態も様々なメンバーでしょうし、年齢も性別も国籍も

様々になるでしょう。物理的に近くにいないメンバーもいるでしょう。

 

そうなると、管理職は、指示し監督するのではなく、このメンバーが“同じ船に乗り”、

モチベーション高く仕事をするための働きかけをすることが重要な仕事となるはずです。

 

これをやっていくとしたら、最重要スキルは「ファシリテーション」です。

 

このスキルを持ち合わせていない管理職は苦しくなります。逆に言えば、このスキルを

持ち合わせていれば活躍し続けることができます。まずは日本語で、次に英語で。

これができるようになりますと仕事の幅が広がります。

 

従来は管理職になると自ら手を動かさなくなります。むしろ、部下にその機会を

与えるべし、というのが管理職の掟でしたが、これからは違います。

多様なメンバーの意見を聴取し、とりまとめ、確認する。

ここで、主体的に手を動かしましょう。

 

これを実践してもらうためのトレーニングプログラム「BAW」を開発しました。

BAWのBは「場づくり」、Aは「Agendaの設定のためのAsking effective questions」

、WはとりまとめのWrap up.です。

 

スキルなので反復練習を通じて型を身に着け、その後自己流に発展させてもらう。

そういう狙いがあります。近く、世の中の40~50代管理職対象のプログラムとして、

このコンテンツを提案していきたいと思っています。ここ半年くらいは、柴田自ら

講師を務めますが、その後はいろいろな方にやっていただきたいと思っています。

(そのうち、IndigoblueのWEBサイトにプログラム紹介を載せますね。)

 

頑張れ!50代の管理職!

 

 

おまけー1:久しぶりに通勤ラッシュの時間帯の地下鉄に乗りました。リュックサックを

背負い、イヤホンをした小太りの若いサラリーマンがどかんとぶつかってきて、挨拶もなく

そのまま去っていきました。つい瞬間湯沸かし器の血が蘇り、PC入りのカバンでどつき倒す

イメージができましたが、グッとこらえて深呼吸。

 

危ない危ない。(こういうことで道を踏み外す人が多いので要注意と自分を戒めました。

しかし、あいつけしからん!)

 

おまけー2:三ツ星キッチンの「Victory」 ~OLたちの忠臣蔵(新宿村LIVE 9月10日まで)

を観てきました。オリジナルミュージカルの集団で前作から観ています。

仕事でくさくさしている人にはおススメの作品です。

(10日の日曜日は12時と16時半開演があるようです。)

 

おススメコーナー:心の滋養は「よい食べ物(ビーガン)」「自浄作用(エステ)」、

そして「よい書籍」から。これを実現している場所が青山にありました。美容室が入口なので、

やや入りにくいですが、とても気持ちいい空間です。早速3冊本を購入しました。

ぜひ、お立ち寄りください。

 

http://brisa-plus.com/libreriaaoyama

 

 

 

Vol.660 大塚家具に思う

今日のテーマは「大塚家具」です。「大塚家具」さんについてはマスコミを通じてしか

知りません。ただ、オーナー企業の改革という文脈から関心をもって、過去のお家騒動

以降この会社の動静を見ていました。

 

その「大塚家具」について、以下の興味深い記事を目にしました。

 

「富裕層に見放された大塚家具のたどる末路」(President Online 2017.8.25)

http://president.jp/articles/-/22906

(せっかくなのでプレジデントオンラインの登録を)

 

まずは、上記サイトの記事をご覧ください。ここで書かれている「戦略のミス」系の話は

(よく分析されていると思いますが)それが正しいのかどうかは、わかりません。

が、柴田の目線で追記したいことがあります。それは「人材が育っていない」のだろう

ということです。そのために今は業績が立ち上がっていない。ここが我慢のしどころ。

私はそう見ます。

 

オーナー系の企業やドライブ力が強いリーダーが君臨するとその直下の層はフォロー集団に

なりがちです。上の意向を確認し、その実現のために腐心する。それが行動様式に沁みついて

います。このため、その環境が変わったときにすぐには対応しきれません。

 

社員に新しいことをやろうという意思がないわけではありません。ヒアリングをすると

新しい環境で頑張るという力強いコメントを耳にしたはずです。ただし、身体が動かない

のです。やってきていませんから。

 

これは想像です。久美子社長も社員たちとの対話を通じて、“意欲を感じ、やれる”と

判断したのでしょう。しかし、思ったように社員が動けなかった・・・のではないでしょうか。

大塚家具の場合には創業社長の下に古参の社員が参集したと報道されています。となりますと

、経験値が浅く、同じやり方しか知らない比較的若い集団と自分から行動を起こすよりも

“待つ”年齢の高い集団。それが今の大塚家具の主たる社員像ではないかと。そうなると、

どんな戦略を講じたところで実現しません。ここで業績があがっていないことから、

必要以上に現場を叱責すると気ばかり焦り、更に状況が悪化します。

 

しかし、このどん底から這い上がった時は非常に強い集団に生まれ変わっているはずです。

上から降ってくる戦略を鵜呑みにして、その実行に右往左往していた集団が、その戦略を

“換骨奪胎”して自分で考え、自分で調整しながら進める集団に変わってきます。

そうなると強い。“生まれ変わり”完了です。

 

ただし、生まれ変わりの直前は我慢のしどころです。辛い時期が続きますが、そこで

短気的な施策に走ってしまうと“生まれ変わる”ことができません。一時的に業績は

浮上するかもしれませんが続きません。

 

劇場版「風の谷のナウシカ」に象徴的なシーンがあります。誕生して身体が固まりきって

いない巨神兵が、無理に動かされたために下半身が溶けて絶命してしまいます。

まさにこんな状態になってしまいます。

 

繰り返しになりますが、「大塚家具」の内実はわかりません。が、おそらくそんなことでは

ないかと。だから、今は暖かく見守る時期だと思います。ぶれずにやっていれば、

3年後くらいには復活するだろうと思います。

 

頑張れ! 大塚家具!

 

 

おまけー1:先週、個人タクシーさんについてネガティブなことを書きましたところ、

「こんなに頑張っている運転手さんもいるよ」というご連絡や記事を送っていただきました。

そうなんですよねー。そういう方がいることも事実。そうでない方々が評判を形成してしまうのが

怖いところです。

 

おまけー2:おもしろい話を聞きました。某アーティストのコンサートのアンコールで

 

「今日はありがとう。一緒に歌ってください。新曲の・・・です。」

 

(誰も歌えなかったそうです。)

 

おススメコーナー:ヘッドハンティング会社のプロフェッショナル・バンクのWEBで

インタビューを受けました。よろしければご覧ください。

 

「柴田 励司氏-企業が求める次世代リーダーの育成と課題、そして対策」

http://www.pro-bank.co.jp/saiyo-meister/professional-interview/fostering-next-generation-leaders

 

 

 

Vol.659 過去の人が生まれる温床を撲滅しましょう

私は個人タクシーが好きではありません。仕事上、タクシーはよく使います。

ただ、個人タクシーは避けています。態度が横柄、車が古い・臭い、運転が荒い。

あくまでも私の個人的な体験からですが、個人タクシーには、こういう運転手さんが

多いように思えます。タクシーをよく利用する人にこの話をしますと、

たいてい“そうそう”と同感されます。

 

先日、博多で女性ドライバーの個人タクシーに乗りましたが、行先を告げてもうんとも

すんとも言わず。「博多エクセルホテル東急」と伝えたのに「東急ホテル?」に連れられ、

通常15分くらいで着くところが45分くらいかかりました。さすがに

「ごめんなさい。えへへ。」と言われましたが、料金を下げるというオファーも

ありませんでした。(文句は言いませんでした。逆ギレされそうだったので。)

 

個人タクシーの運転手ということは、それなりの経験を積んだベテランのはずなの

ですが、そのベテランが嫌われているという現実があります。自分の仕事に慣れて

しまって、よりよい仕事をしようというモチベーションがないのだろうと思いました。

さらには自分の仕事には意見を言わせないという気配すら漂わせていました。

 

私はこういうベテランを「過去の人」と称しています。これはタクシーの運転手さん

だけの話ではありません。どこにでもいます。社内を見渡してみてください。

自社に「過去の人」がいませんか?

 

「過去の人」が多い組織は学習しません。何か問題が起きると誰かのせいにします。

新しいことへの取り組みが進みません。当然ながら、「成長したいという若者」は

幻滅し、そこから逃げ出したい気持ちになります。

 

誰でも学びたい、成長したいという本能があるはずです。それにもかかわらず、

会社組織の中に「過去の人」が生まれてきてしまうわけです。この温床を撲滅しない限り、

「過去の人」は生まれ続けてしまいます。

 

温床になりうるのは「降格のない職能資格制度」と「変わらない仕事環境」です。

 

職能資格制度は役職(ポスト)に関わらず、「実力がある人と思われる人」を相応に

資格等級で処遇するというものです。多くの企業で管理職相当資格に昇格するまでは

卒業方式で運用されています。一定の評価を一定の年数得ることができたら昇格させる

というやり方です。このため、やっている仕事は同じでも、資格は上がっていきます。

仮に仕事の質が低下しても降格しません。上位資格で年齢が高い人には意見しにくい

ものです。そうなると自然に聞く耳が閉じていきます。

 

やっている仕事の範囲と内容が長らく変わらないと、その人の周囲に「温床」が

用意されていきます。

 

仕事は3年やれば“だいたいできる”ようになります。5年もやれば“わからないことが

ほぼない状態”になります。7年もやってしまうと“やり方を変えるのが怖く”なります。

「過去の人」誕生です。

 

同じ仕事を5年以上やっている人がどのくらいいるのか、一度調べてみてください。

(ちなみに、例えば同じ経理職であっても、担当領域が広くなっていれば「同じ仕事」

とはみなしません。)同じ仕事をやっている人が25%以上いた場合には要注意です。

会社として「過去の人」を造ってしまっています。

 

先日来、某企業で全執行役員、部長クラスを対象に「ファシリテーションスキルを

高めるためのトレーニング」をやっています。とても印象に残っている回がありました。

トレーニング開始前の参加者の表情と終了後の表情が明らかに変わりました。

「過去の人」になりかかっていた人たちが、「学ぶ機会」に触れて本能的に

楽しかったのだと思います。

 

そうなのです。新たな刺激、学び。これらを与えていくことがシニア層を「過去の人」に

しない/温床から脱出させる方策になります。完全に「過去の人」になってしまうと、

そこからの復活はハードルが高いです。本人にとっても会社にとっても良くない

結末になりがちです。「過去の人」が大量発生する前に手を打ちましょう。

 

 

おまけー1:胆石発作後、意識して魚野菜中心の食生活にしていますが、

なんと体重が3か月で5キロも落ちました!

(やはり、夜中のチョコモナカジャンボはいけなかったようです。)

 

おまけー2:深夜に半裸姿で走る男性あり。昭和の人が見たら「間男の逃亡」に見えたと思います。

(革靴だったので本当に「間男」)だったかも。)

 

おススメコーナー:弟子の藤野さんが書いた「2020年人工知能時代 僕たちの幸せな働き方」

おススメです。ぜひ、電子版でお読みください。講演もやっているので声をかけてください。]

(それにしても弟子の成長は嬉しいものです。)

 

https://www.amazon.co.jp/dp/B071CLS46R/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1

 

 

 

Vol.658 働き方改革を本気でやるなら

もう18年も前の映画ですが、「マトリックス」の中のこのシーンを覚えていますか。

 

ヘリコプターを前にしてキアヌ・リーブスさん演ずる主役のネオが尋ねます。

 

「操縦できるのか?」

 

キャリー=アン・モスさん演ずるトリニティが答えます。

 

「まだよ。オペレーター、ヘリコプター操縦のコードを送って。」

 

その後、トリニティの脳にヘリコプターの操縦の仕方がインプットされ、

ヘリコプターは飛び立ちます。

 

https://www.youtube.com/watch?v=6AOpomu9V6Q

(そのシーンの抜粋です)

 

こんな風にスキルの習得ができるようになったらいいなと鮮烈に思いました。

 

脳に直接インプットするのはともかく、

そこに数日いたら基本的なビジネススキルが習得できる、そんな施設をつくりたいと

思っています。自動車免許の合宿所みたいなものです。

 

 

「働き方改革」「生産性向上」、これらを本当に推進するとしたら、

「管理職の無意識下の偏見」への対処と「全員のビジネススキル」のレベルを上げる

こと。この二つを避けては通れません。

 

「管理職の無意識下の偏見」とは、例えばこんなことです。

 

時間ではなく成果で評価すると口では言っていながら、毎日遅くまで頑張っている

社員、休日出勤を厭わない社員を(よくやっている)と評価してしまう。

女性の活用と言いながら、難しい案件への配置の際に男性社員から考えてしまう・・・。

 

これについては別の機会に書きますが、こっちの対処は難易度が高いです

 

「全員のビジネススキル」のレベルを底上げすること。こちらはすぐにできるはずです。

ただ、対象とするビジネススキルは絞り込んだ方がいいです。

あれもこれも詰め込んではいけません。対象とすべきは「ポータブルスキル」、

どの会社だろうが、何の仕事だろうが、必要となるスキルです。

 

具体的には「話し・書き・対人スキル」です。この3つでいいと思います。

 

「話し」は自分の考えを短い時間で相手に伝えるスキルです。

「書き」は読み手に伝わるメモを書くスキルです。

「対人スキル」は「相手の関心事を察知する技術」と「相手に伝わるように話す技術の

掛け合わせ」です。

 

この3つを徹底的に「反復訓練」するのです。それこそ3日間集中的にやるイメージです。

 

この3つの全てに共通しているのが「伝える」「伝わる」です。なにしろ、社内外の

トラブルのほとんどの原因は「伝える」「伝わる」がうまくいっていないことによります

。逆に言えば、そのトラブルが減れば物事がスムーズに進むはずです。トラブルは組織に

ストレスを与えます。ストレスはパフォーマンス向上の妨げになります。

 

この改善なくして「働き方改革」「生産性向上」はありません。

 

こうした超基本的なことで、かつ組織のパフォーマンスを上げることに直結することには

時間とお金をかけて良いと思います。また、組織開発的な対話の促進の場づくりに

時間とお金をかけるのも良いと思います。

 

マーケティング理論や財務諸表の読み方などのMBA的なものはe-learningのメニューを

用意して、必要に迫られた人や向学心の強い人が自助努力としてやればいいのです。

集合研修を設定する必要はないと思います。

 

その分、選抜型の研修に十分な時間とお金をかけるべきです。

それが研修費用の戦略的な使い方だと思います。

 

いろいろなことを学ばせようとして、一つも一定水準に到達しないよりも、

全ての基礎となる「話し、書き、対人関係」を底上げした方がいいに決まっています。

 

 

「話し」「書き」「対人スキル」のコンテンツは既にありますので、これを組み合わせた

パッケージ・プラン「Trinity(トリニティ)」を近くご案内したいと思っています。

 

 

おまけー1:「田島さんですよね、メルマガ読んでます!」こう話しかけられて困りました。

(田島じゃないし。)「“入社1年目の仕事の流儀”も買いました。」(あれ、それ僕の本だ。)

「田島さんはどちらにお住まいなんですか?」(田島じゃないし。)

 

 

おまけー2:電車の中で聞いた“明らかに間違っている”彼氏の発言

 

女子:やばー、あたし、今日で30歳だ。

男子:ボルトと同じ年だね。

女子:・・・

 

(これが間違っていることがわからない人は要修行です。)

 

おススメコーナー:月1のNHKおはよう日本「おはビズ」(サラリーマンの掟)ですが、

次回は8月21日(月)の朝6時10分頃の予定です。今回は「メールのさばき方」がテーマです。