柴田励司の人事の目

Indigo Blue メールマガジン

Vol.643 仕事を人質にするヒト対策

仕事を“人質”にする人がいます。「その人の代わりがいない」「その人しかわからない

仕事がある」、これらのことをいいことに、尊大な態度をとる人のことです。多くの人、

特にその人の上位職にあたる人たちは苦々しく思っています。いつか切ってやろうと

思っています。

 

昔は違ったはずです。その人の仕事に対する情熱、専門性、経験を高く買っていたはずです。

しかし、この人が尊大化するにつれて、その評価が変わってしまいました。今ではいつか

切ってやろうとまで思っています。

 

リーダーがこうしたことにエネルギーを割かざるを得ない状況は健全ではありません。

顧客価値を高めること、訴求すること、生産性を上げること、収益性を高めること、

本来これらに注ぐべきパワーが別のことに割かれている状態です。組織のパフォーマンス

は上がりません。仮に上がっていたとしても、本来ならもっと上がっていてよいはずです。

 

仕事を人質にする尊大な人問題に悩むリーダーへ。放置はいけません。手を打ちましょう。

 

ただ、その前にやることがあります。自問です。

 

その人の尊大さを問題視しているのは自分だけ、ということはないか?

 

上位職としての自分の自尊心をないがしろにされたという感情だけなら、「その感情」を

呑み込みましょう。自分が我慢すればよい話です。(これは自分の修行と思いましょう。)

そもそも、その人が尊大化した理由を考えてみましょう。自分に対してのみ変わったのなら、

自分の言動が原因の可能性大です。

 

過去において、その人の貢献を評価しない発言をしてしまったのかもしれません。その人の

“梯子を外して”しまったのかもしれません。それなら因果応報。自分からその人との

関係性を改善すべく働きかけましょう。彼の尊大さの責任は自分にある、ので。

 

そうではない場合。複数の意見として、その人の尊大さが問題視されるような場合。

具体的には次のような行動が見られる場合には、その人を“切る”ための計画を立てましょう。

 

‐上位職を含む複数の人間の会議に頻繁に遅刻してくるが悪びれない

‐関係者で確認したスケジュールを自分の都合で欠席するが表面的な詫びしかしない

‐他者に対して協力的でなく、時に意地悪な対応をする

‐会議等の公の場で排他的で上位職を含む他者を批判する

‐自ら挨拶をしない

 

こういう状態の人は“思い上がって”います。いかに仕事がデキたとしても、このような

言動を繰り返す人は組織に置いておいてはいけません。“切り”ましょう。思い上がって

いるときには他者の声に耳を傾ける冷静さを持ち合わせていません。フィードバックでは

解決に至らないことが多いです。(むしろ悪化します。)

 

感情的に対応してはいけません。その人の代わりが務まる実力をもった人間を発掘・採用し、

準備します。その人の近くに置きますと、間違いなく潰されますので、その人とは距離を

置いたところに置きます。その上で、タイミングを見てスパーンと配置転換を図ります。

 

その際にはっきりと告げた方がいいでしょう。

 

“実力は認めるが、一緒に働く仲間としては認められない”と。

 

この場合、“引き継ぎ”は行われないもの、と考えた方がよいでしょう。十分な“引き継ぎ”が

ないための混乱は致し方ないと思っておきましょう。

 

しかし、このような対処に至ってしまう根本の原因はリーダーにあることを忘れてはいけません。

尊大化させた原因が自分である可能性は高いですし、仮にそうでなかったとしても、尊大化する

可能性のある人を重用した任命責任があります。ヒトを見る目がなかったということになります。

 

一方で“切られた”ことで尊大化している人の頭が冷やされます。元来、力のある人のはずなので

、その経験は必ず活きてくるものです。先日、某企業で昇進のトップを走っている2名から

聞きました。

 

「干された期間があったから今の自分がある」

 

 

おまけー1:先日、風邪で具合が悪いーという人を交えて長時間の打ち合わせをしました。

その翌日、その人から“すみません。インフルエンザA型でしたー”という衝撃のメールが。

数日経過していますが、今のところ発症しておりません。(潜伏期間何日でしたっけ?)

 

 

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まだの新人教育担当の方へ。お急ぎください。(^_^)/

 

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