柴田励司の人事の目

Indigo Blue メールマガジン

Vol.481 その場しのぎの構造とツケ

"やるべきことを後回しにして、その場しのぎを続けていると大きなツケを払うことになる。"

"その場しのぎ"とは、後先のことを考えずにこの瞬間を乗り切るための言動、態度のこと。

意識してこれをやっているヒトはそんなにいません。"その場をしのげればいい"という
気持ちで対応していると、"その場"をしのげません。そんな軽い姿勢だとすぐに露見します。
むしろ逆効果。事態を複雑化、悪化させます。

(これは"その場しのぎだ・・・")と思いながらも、どうしようもないので、その場を
乗り切るために、とにかく全力を尽くす。全力で説明する。全力でお詫びする・・・
これはよくあると思います。

ただ、"しのいだ"後の対応が問題です。目の前で火を噴いていることへの対処が終わると
一安心。その出火原因への対処を怠り、むしろ、次の課題に意識を向けてしまいがちです。

こうなると、本質的な課題解決には至っていないので、次に火がつくときには大火事に
なります。これが結果として、その全力行動を"その場しのぎ"にしてしまう構造です。

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」とはよく言ったものです。

"忙しい"のは確かに直接的な原因ですが、その忙しさをつくっているのは自分自身
なので、それを理由にはできません。どんなに忙しかろうが、そこは優先順位の問題。
何が大切なのかを見失っているのです。または、根本原因に触ることから逃げているのです。

根本原因に立ち向かうのは覚悟が必要です。自分を含めた周囲も痛い想いをするはずです。
但し、それが出火原因であれば徹底的に対処しておかねば未来がありません。

今の日本の現状は"その場しのぎ"のオンパレードのように見えます。直近の民主党政権
マニュフェストはわかりやすい例ですが、その前の自民党時代の政権運営も大半が
そうだったと思います。業績不振、不祥事を起こす企業・団体についても同じことが
言えると思います。

体験型ケーススタディ(Organization theater)には、"その場しのぎ"の怖さを知ってもらう
要素も含まれています。目の前で怒る関係者を鎮めるための"その場しのぎ"の対応をするが、
根本的な課題の解決になっていない場合には、後々、"大爆発"を起こし、更に苦境に陥る
ことを体験してもらいます。

こうした時にベンチャー企業や破たんした企業などで"その場しのぎ"の怖さを身に染みて
知っている方々の動きは違います。様々な行動を"その場しのぎ"にしないようにフォロー
する動きを採ります。一方で、安定した大企業からの参加者ほど、"その場しのぎ"に
しがちです。大企業が苦境に陥るとリカバリーが難しい原因はここにあると思います。


やることがたくさんある、そういう中で、諸々のことを"その場しのぎ"にしないためには、
何かを断念することを意識した方がいいでしょう。

自分が"こうありたい"という全てを実現しようとすると何かが落ちてしまいます。
"こうありたい"の程度によりますが、関係者がたくさんいて、夢が大きい人ほど、
全てを追い求めようとすると、どこかにしわ寄せがきます。

しわ寄せは"その場しのぎ"の結実です。

しわ寄せの対象になりやすいのが「自分の健康」です。無理をして倒れる。これはやっては
いけないことです。私も若い時代に仕事のし過ぎで倒れたことが何度かあります。但し、
代役が効かない立場になってくると、つまり、自分一人の身体ではなくなってくると、
"倒れる"のは大変な迷惑が家族、友人、社員、お客様等、各方面に及びます。
責任ある立場の人は倒れてはいけません。

次にしわ寄せの対象になりやすいのが「自分の家族」です。これは家族に対する甘えです。
身近であるが故に"わかって欲しい"が高じて、"わかるべきだ"に転じがちです。家族に
我慢を強いることになる。これを続けているから「居場所のないお父さん」になるのです。

"やるべきことを後回しにして、その場しのぎを続けていると大きなツケを払うことになる。"

私を含め、大いなるツケを抱えているみなさんへ。 頑張ってツケを払っていきましょう!


おまけ-1:三谷幸喜さんの作品の底辺にあるのは"その場しのぎ"です。「ラジオの時間」
という作品は特にそれがフューチャーされています。但し、この映画では"その場しのぎ"が
ハッピーエンドを呼んでいますから安心して見れますよ。

おまけ‐2:記憶にある人生最初の"その場しのぎ"は、小学2年生のときにトイレの個室を
間違って開けてしまい、そこで同じクラスの女子と目が合ったときの対応です。
(当時は男女のトイレがまだ共同でした。) 

「!!」という表情の彼女(確か江川恵美子さんという名前だった)
「出席確認・・・」

 

Vol.480 ラブレターとBAC

寒くなってきましたね。コートを出しましょう。


11月15日から音楽座ミュージカル/Rカンパニーの新作「ラブレター」の公演が始まります。

音楽座ミュージカル/Rカンパニーは、私が大好きなミュージカル・カンパニーで、
3年前からは「体験型ケーススタディ:Organization theater」を一緒に創ってもらっている
ビジネスパートナーでもあります。

今回は久しぶりの新作。先日、町田の稽古場に陣中見舞いに行ってきました。

いつもながらのカンパニーメンバーの真剣な様子に息をのみます。一緒に行ったIndigo Blue
取締役のTさんも(彼はミュージカルに関しては門外漢ですが)、"大人があんなに一生懸命
やっている姿は感動する"と漏らしてました。

今回の演目の「ラブレター」は浅田次郎さんの小説「鉄道員(ぽっぽや)」の中に収録されている
短編が原作。音楽座ミュージカル/Rカンパニーとしては「地下鉄(メトロ)に乗って」以来、
浅田作品のミュージカル化2作目になります。

・・・主人公の吾郎のもとへ1通の「死亡通知書」が届く。死んだのは妻・高野白蘭。1年前に
偽装結婚した、顔さえ知らない中国人売春婦だった。戸籍を売った暴力団の幹部の佐竹から、
"白蘭の残した手紙"を差し出される。吾郎は、佐竹の部下・サトシとともに、未だ見ぬ妻の
遺体を引き取りに房総・千倉を目指す。そこで垣間見たのは・・・

浅田次郎さんらしいテイストの原作に音楽座ミュージカル/Rカンパニーのテイストが加わって、
どのような作品に仕上がっていくか、楽しみです。

音楽座ミュージカル/Rカンパニーの何がいいかと言いますと、そこに"人が創りだす感動"が
あることです。出演者全員の気持ちがシンクロして大きな熱とパワーを感じます。この熱と
パワーが観客席に伝導すると大きな感動が生まれます。この瞬間がたまらなくいいです。

他の劇団やプロデュース作品も見ていますが、この感覚を味あわせてくれる舞台はそうありません。
今回は新宿文化センターの土曜日と町田の大千秋楽に出掛ける予定です。(同じ舞台を時期を
変えて2回観るのが「通」です。(^_-) )

音楽座ミュージカル/Rカンパニーの舞台を体験したことが無い方へ。
ぜひ、一度劇場に足をお運びください。本当にお薦めです。

さて、11月1日に「研修芸能人」なるジャンルを開拓すべくBiz Actors Company(通称:BAC(バック))
を設立しました。「体験型ケーススタディ」を本格展開するためのプロの役者、ケースライター、
キーファシリテイタ―の登録、発掘、育成をしていきます。

「体験型ケーススタディ」ですが、開発して3年。今や3つのカテゴリーに進化してきています。

1.Organization theater(OT):プレッシャーがかかる有事の状況下で、自らの総合力を
発揮して課題解決にあたる、これまでにない"リーダー研修" 。大いなる気づきの場としても有効。
(リーダーの資質、育成ポイントの見極めに活用されることが多いです)

2.Business tryout(BT):ビジネスシーンの疑似体験を通じて"実際どうなのか"を判断する、
これまでにない"適性審査" (テストや面接では見極めきれない行動特性、強み・弱みが表出する
ので最終選考の判断に極めて有効)

3.Job theater(JTR):「ドラマ仕立てのストーリー」と「ロールプレイ」を通じて、その企業の
「仕事の本質」を分かってもらう、これまでにない"説明会" (その企業の仕事の本質、行動規範を
体感する機会になるので、ミスマッチ応募を減らし、学生の意識を高める場として有効)

※1月18日に東京ビッグサイトでやります! 申込み募集中です。(by Discoさん)

これらの3つの企画を展開していく母体がBACになります。

BACでは、この他にも「研修や社内イベント時のアイスブレーク」「接客1000本ノック」
「ビジネスフラッシュモブ:現場にパフォーマンス!」等を推進します。

人の力を使って盛り上げていきたい、組織を活性化するきっかけが欲しいと言う方、
ぜひ、ご連絡ください。(とりあえず、info@indigoblue.co.jp へ)

BACの活動を通じて、一方通行型の講義から「体験・体感」型の教育・トレーニングスタイルを
一般化させたい!と思っています。同時に役者の道を選んだ方々を"食える"ようにしたい!と
思っています。

応援お願いします! (使ってやってください。<(_ _)> )


おまけー1:11月8日の「体験型ケーススタディ@神楽坂HCS」に多数の方にご参加いただきました。
ケースの最中に、私が"大盤解説"する試みをやりましたが、なかなか好評!年明けにまたやります。

おまけー2:米国の組織行動変革コンサルティング会社のCLG http://www.clg.com/ と
提携してやっていくことになりました。来年から同社から派遣してもらう2名の米国人専門家と一緒に、
日本企業の組織行動をグローバル企業のそれに変えていく本格的なコンサルティングを始めます。
(マジ)

おまけー3:人間ドッグ終了。予防医学のため、健診結果はいつも"オマエはもう死んでいる"的な
厳しめの結果になります。改善のための方策は「脱プチでぶ」「コーヒー1日2杯まで」「禁酒」
そして「運動」・・・。 (血圧計も買わないと)

 

Vol.479 仕事なんだからしょうがない!?

ここのところ、身近なエピソードからハッとする「気づき」があります。
いい歳して、今さら系のことばかりなのですが、個人的にはとても大事な気づきだと
思っているので、Facebookを備忘録代わりに、数日前から「今日の気づき」を書いています。

・不幸であることをいくら嘆いても幸せにはならない。幸せは自分でつくるもの

・わかってない人を「わかってない」と批判する前にわかってもらう努力をしたかを省みよ

・何かに立ち向かうとき、「保険」をかけているヒトは「保険」をかけていないヒトに勝てない

・『善意』には良くなって欲しいという期待がこめられているはず。
 何も期待していない善意は自己満足にすぎない。

こんな感じです。

この中で昨日の気づきの「善意」。これには結構深い気づきがありました。

仕事で忙しい人、特に経営者、リーダーという立場の人は多くの人達を背負っています。
そうなると自分のペースで動けないこともあります。誰かの穴埋めや突発対応も多々あります。
元より仕事が好きなこともありますが、24時間に占める仕事の割合がどうしても多くなり、
家族のための時間は少なくなってしまいます。

家族のことを軽視しているわけではありません。むしろ家族を大事にしたいという想いは
強いはずです。しかし、現実問題として家族のために避ける時間が少ない。なんとかしたいものの、
これ以上は無理だと思っています。

家族から「仕事ばかりしている」とクレームを受けると、"自分は忙しい中、デキる限りの
ことはしている。これ以上何をしろというのだ!"と逆切れしがちです。"仕事なんだから、
しょうがないじゃないか、わかってくれ"と。

一方で専業主婦は夫や子供のこと、そして家そのものが円滑に回ることを考えて動いています。
常に自分以外のために時間を使っているわけです。ところが、その行為、時間に対する評価
(感謝)がありません。ある意味で"当たり前"という感じになっています。

しかも、専業主婦には「Vacation」がありません。給与もボーナスも制度としてはありません。
こんな割の合わない役割はありません。

自戒の念を込めて書きます。われわれ男性陣、特にリーダー連は反省しないといけません。
家族の、特に配偶者の「善意」に甘え過ぎていないかと。

自戒の念を込めて書きます。「善意」は見返りを求めるものではない。特に家族に対する「
善意」については無償のはずという想いがあるかもしれません。但し、家族は空気ではありません。
感情がある人間です。家族の「善意」にあぐらをかいていないかと。

善意でいろいろやってくれる人達は、そこに「(何かが)良くなって欲しいという期待」は
あるはずなのです。そこを汲み取らないのは(自戒を込めて)傲慢だと思いました。

"仕事が忙しい"のは言い訳になりません。今以上のアウトプットを、投入時間を減らして
出せばいいのです。そうすれば時間ができます。或いは何かを止める。要は自分の生産性を
上げればいいのです。小さな子供を持つ母親社員はみなそうしています。

"仕事のやり方は変えません。上の立場になったのでより忙しいです。だから家族のための
時間が増えません・・・"、これではダメだと思ったのです。

例えば、私の11月のスケジュールを見るとヒドイものです。何も予定がない日は土日祝日を
入れても3日しかありません。しかも、ほぼ毎日、8時スタートです。月末までの日中のスケジュールで
空いている時間は通算しても2.5時間しかありません。先月も同じような感じでした。
こんなスケジュールを組んでいること自体ダメなのです。

仕事のやり方を変えましょう。"仕事なんだから、しょうがないだろう"をなしにしたい!

外国人の友人が言っていました。「日本人は時間を守らない。」

始業の話ではありません。終業の時間です。出勤時刻には超ウルサイが、退勤時刻については
超ルーズだ、と言われました。なるほどです。

もっともっと生産性、効率を挙げて、「仕事上のパフォーマンス」と「家庭上のパフォーマンス」を
両立させたいですね。これぞ、ワークライフバランス

私の11月のスケジュールをキャンセルしたりはしません。12月のスケジュールから仕事の仕方、
時間の割り振り方を変えます。40歳のときに「求心力型マネジメントスタイル」から
「遠心力マネジメントスタイル」に変えたときと同じくらいのチャレンジですが、頑張って変えます。

"思い当たる節"のある人は私と同じチャレンジをしましょう! 


おまけー1:12月5日~7日の「柴田塾」にとある企業様からのキャンセルで3枠あきました。
ご関心のある方、企業の人材育成担当の方へ、ぜひ! 

http://ibms.indigoblue.co.jp/course/program2.html


おまけー2:12月15日に予定されているコーポレート駅伝参加がピンチ!です。医者から
ランニング禁止令が・・・。しかし、このままだとキャプテンが敵前逃亡したも同じ・・・うむむ・・
と思っていたところ、同じチームのO嬢から「あたしが第一走で、途中棄権して、タスキが渡らないって
いうのはどうですかね」と。 うむむ・・・


おまけー3:セブンイレブンの100円ポテトが意外においしいです。

 

Vol.478 十を知るのに百を聞いてはいけない

OakキャピタルのCEOの竹井さんがFacebookの中で「知的直観力」について述べています。

「人により仕事力や知恵に差があり、期待通りの結果を出せない人がいる。その違いは
能力の差ではない。それは、知的直観力を生み出す「思考の器」の大きさの違いである。
問題解決や推理する器の小さな人には問題意識も生まれてこない。」

https://www.facebook.com/oakcapital.jp

確かに同じ事象を見ているのに、重要なことに「気づく人」と「気づかない人」がいます。
また、短時間のうちに物事の「本質を見抜き対応できる人」と、いつまでたっても
「本質に行きつかない人」がいます。その差は「知的直観力」にあるというのが竹井さんの見解です。

慧眼だと思います。

この「知的直観力の有り無し、竹井さんが言うところの「思考の器」の大きさですが、私は
「目の前のことを極めようとする姿勢」と「好奇心」の有り無しがそれを決めていると思います。

何かを極めるつもりで精進していくと「自分の型」ができるものです。「自分の型」ができると
強いです。何が出てきても、その「型」にあてはめて処理できるようになりますから。

例えば、パン屋の経営を極めるとラーメン屋の経営もできます。経営についての「自分の型」さえ
あれば、内容が変わっても"できる"ということです。

パン屋に求められる専門性とラーメン屋の専門性はもちろん違います。それぞれの専門家の方に
してみると、"パン屋ができたならラーメン屋もできる"は暴言だと思います。環境与件も違います。
しかし、経営という「型」から見ると、この専門性、環境与件の違いは"変数"なのです。

その道で良い仕事ができるヒトを見抜き、役割を設定し、そのヒトたちが思う存分仕事ができる
環境をつくる。必要な"武器"を与え、動機づけする。これです。専門性の違い、環境与件の違いは
決まったフォーミュラ(構造式)の中の変数なのです。

自分で執行もやろうとすると、この変数も自分がやることになりますから、それは大変です。
(無理です。)あくまでも「経営」という立場の話です。

「何かを極めるようとする姿勢」だけでは「思考の器」は大きくなりません。「好奇心」が必要です。
「好奇心」がない中で一つのことに精進していきますと、「好きなことをやるだけ」になります。
そうなると、自分が好きなこと以外の情報が目に入らなくなります。「思考の器」は広がりません。

世の中には数多の情報があり、数多のサインがあります。しかし、好きなことだけやっていると、
自分の好きなこと以外のサインに気づかないものです。いろいろなことに関心をもち、それぞれ
極めようとする。この取り組み姿勢が「思考の器」を広げることになります。

気をつけないといけないのは、"学歴的に優秀な人"たちです。

この人達は、極めるつもりまで精進しなくとも脳のメモリー(一時的な保存)の容量が多いので、
"一夜漬け"でそれなりの結果をだせてきています。いわばCut & Paste(ちょっと勉強して対応する)
でやれてきています。

これだと「思考の器」が広がらないので、「自分の型」ができていきません。その中で複雑な事象
への対応や経験したことのない事柄への対応を求められると一を聞いて十を知るのではなく、
十を知るために百を聞く人になります。そういう人が上にいると、下は完全に疲弊します。

先週、某講演後の懇親会で20代の若者から質問責めに遭いましたが、そこで申し上げたのは
"目の前のことに全力で取り組むこと"。"全力"で取り組んで極める、それがスタートです。
まずは四の五の言わずに何かを極める。それからですね。



おまけ:休みなしに稼働してきたらさすがに疲れました。身体から「イエローライト」のサイン
が出ました。この日曜、月曜はお休みします。(みなさまも疲れたら休みましょう。大事になる前に。)

 
 

Vol.477 成功体験と失敗体験がその気にさせる

10月17日~18日に"瞬間風速的に"、「遊んでいても結果を出す人、真面目にやって
も結果の出ない人」(成美堂出版)がAmazonのビジネス書の「仕事術・整理法」と
経営学・キャリア・MBA」の両方で1位になりました!(最上位のときは全書籍の中でも43位!)

先週、講演会、研修で多くの方にお会いしたことに加え、ITmediaさんの記事が
効いたようです。

http://mag.executive.itmedia.co.jp/executive/articles/1310/17/news028.html

一瞬とはいえ嬉しいものです。 \(^o^)/ 

こういう「瞬間」を体験すると"落ちないように頑張ろう!"とか、"次もやったろう!"
と思います。

某出版社の方から「柴田さん、次の本の打ち合わせを・・・」と言われているにも関わらず、
多忙を理由に先延ばしになってしまっている自身に反省。新刊を出すことへのモチベーション
が一気に高まりました。(単純・・・、しかし、それが人間の性。)

人材育成を考えるなら、「育てる」のではなく「育つ」ための環境づくりをすべし。

これが私の持論です。本人が"その気"になりませんと、どんなプログラムを用意した
ところで、そのためのおカネと時間が無駄になります。

人材育成責任者が検討すべきは「個別プログラム」ではなく、"その気"を覚醒させる
機会をいかに設定するか。ここです。

"できなかった・・・" 自分はまだまだだ・・・。次はこんなことにならないようにしたい
"できた!"・・・ この感覚を継続したい。自分も捨てたものではない。

これらの想いが本人の"その気"に火をつけます。前者が「失敗体験」、後者が「成功体験」です。
これらの"体験"を仕掛けましょう。

組織の中には以下の3タイプの人材がいます。

「スター:将来を嘱望されている方々」
「レッド:できれば退出いただきたいと思われている方々」
「ストーン:どちらともいえない方々」

人材マネジメント上、「スター」にはスポットライトが当たっています。配置にせよ、研修にせよ、
この人達については、そのポテンシャルを開花させようとマネジメントの意図が働きます。
Indigo Blueが企画する"他流試合の研修"に派遣されている方々はこのタイプが多いです。

このタイプには"失敗体験"が効きます。

先週書きましたが、特に若くして選抜された逸材系はどこかで凹む体験をしていませんと
人の痛みがわからず、伸びません。早期に"失敗体験"で凹ませましょう。「スター」として
昇進し続け、既に高いポジションに就いている人も、"失敗体験"をすることで、身が締まります。

「Organization theater:体験型ケーススタディ」は修羅場の疑似経験です。選抜された
「スター」人材に気づきを与え、"その気"になってもらうにはとても効果的です。

次に「レッド」人材。違う意味のスポットライトが当たりがちです。

レッド人材は、自分がそういう処遇にあるのはわかっていますので、毎日が"厭戦気分"で、
"その気"の"そ"の字もありません。むしろ、何かあったら会社側に噛みついてやろうという、
異なる"その気"にスイッチが入りそうになっています。

「ストーン」はいわば"普通の人達"です。日々、それなりの仕事をしています。組織の
ボリュームゾーンでもあります。しかしながら、この"その他大勢"のみなさんにスポットライトが
当たることはなく、忘れられた存在でもあります。自分を高めていこう、という"その気"も強く
ありません。実際のところ、この方々が動くかどうかが組織全体の動きを決めます。


「レッド」「ストーン」の方々の"その気"に火をつける企画をしましょう。鍵は「成功体験」です。

「レッド」「ストーン」の方々は、ボールが飛んでくると自分以外の誰かが取ると思っています。
(確かに、組織の中にはそういうボールをファインプレーで取りにくる「スター」がいます。)

仮に、自分の目の前に飛んできたとしても、手をひっこめがちです。そこでミスして怒られる
くらいなら、取らない方がいいさえと思っています。

これらの方々が、ボールが飛んできたら、"自分がとる!"と主体的に動けるようにしたいですね。
そのために企画すべきは、注意警告ではなく、「達成感づくり」と「表彰」(称賛)」を通じた
成功体験です。

本人がそれなりに取り組んで(頑張って)結果、何らかのカタチで報われた、この企画をしましょう。
本人の良いところや、過去の成果を誉めたところで、そこには"汗をかいた結果の誉め言葉では
ないので"、成功体験にはつながりません。

現在、経済産業省主催の「人活プログラム」の10月期が開講しています。この方々は「レッド」
「ストーン」の代表格です。この方々を20日間のプログラムを通じて、「スター候補」に鍛え直す
という試みをしています。プログラム運営上、最も気を付けているが、自分自身についての気づきと、
「成功体験」です。この週末で第2クールが終わります。あと10日。今回もどうみなさんが変化するか
が楽しみです。

 

 

おまけ:

組織感情の推移を気楽に知るためのツール「ゾンビ・レスキュー」を開発しました。(世界初!)
このご紹介イベントをやります。

意識調査や組織診断というツールは世の中にたくさんあります。Indigo Blueにもあります。

が、日常的に社員がどんな気分で仕事をしているのか、誰が弱ってきているのか、助けが必要か、
こうしたことを気楽に共有できるツールを開発したいと思い、私が発案したものを、
独立系のSI会社のアルバス株式会社(代表取締役社長:吉住文吉)さんが開発してくれました。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20131010/510287/

シフト勤務、客先常駐、外勤が多いなどの理由で社員間、上司部下とのコミュニケーション時間が
不足しがちな企業・組織におススメです。

ご興味のある方、販売代理店を希望される方は以下のご紹介イベントにぜひご参加ください。

日時:10月29日(火)第1部10時半~ 第2部13時半~ (各2時間程度を予定)
場所:アルバスバス株式会社 (JR市ヶ谷駅より徒歩10分)

お申込みは以下にて。

「ご連絡をいただく内容」
・宛先 adv.zmbres@albus.co.jp
・御社名
・ご担当者名
・電話番号
・参加ご希望の会について(第1部 or 第2部)

Vol.476 若い"逸材"を凹ます

秋晴れでもこう暑いと紅葉狩り気分になりませんね。

さて、今回は凹み議論です。

素材が良ければ社会人3年目くらいまでは"イケます"。但し、それだけだと伸び悩みます。

地頭の良さ、情報処理能力、PCスキル、英語力・・・、これらが秀でていると、
周囲からは「あいつはスゴイ。将来が楽しみだ。」と高く評価されます。
但し、そういう"逸材"が30歳を超えた頃から思ったほど伸びなかったりします。

あれ?と思っているうちに、下の人間やかつては"それほどでもなかった"人間に
抜かされていきます。しかし本人の自意識は高止まり。心の中では"こんなはずじゃない。
上がアホだから自分の良さがわからないのだ・・・"と。

その数年後には"あいつはメンドクサイ"という使いにくい人材という評価になります。
残念。せっかくの素材が腐っています。

両親に理解があり、"一流大学"を軽くクリアしてきた人材にこの傾向があります。
彼らは基本的にそれまで人生の中で凹んだ経験がありません。学歴、人間関係形成力、
いずれをとってもA級の素材。"僕だって凹んだことくらいあります"と言いますが、
同世代が感じたような凹み方とは違います。(たいした凹み経験ではありません。)

"何とかしたいが、どうしたいいのかわからない"とフリーズ、そのダメさ加減を
徹底的に指摘されるが動けない。当然結果もダメ。自分はなんてデキない人間だ・・・と
痛感し、自己嫌悪する。これが本当の凹みです。この経験があるからこそ、
次の凸につながります。

若い"逸材"は自分の想像を超える"不条理"さや"感情のプレッシャー"に弱い。
ところが世の中は不条理で満ち溢れています。いろいろ人がいろいろな想いを持って
生きています。当然に感情の波があります。

このため、若い"逸材"が多くの利害関係者と仕事をするようになると、そこで"不条理さ"と
"感情のプレッシャー"に否応なしに遭遇し、これまでのような(自分が思うような)
パフォーマンスが発揮できなくなります。これが足踏みです。この状態から抜け出すには、
まず凹み体験が必要です。

そこでは、処理能力が高い有能さなど関係ありません。問われるのは人間性に他なりません。
人間性は人の痛みがどれだけわかるかで決まります。表面的な好感度だけではありません。
人の痛みがわかるには自分自身が痛い想いをしてきているからこそ、です。凹み経験が
少ないのが効いてしまうのです。

先週、某企業で「OT:Organization theater(体験型ケーススタディ)」を使って
選抜人材のアセスメントをするという試みがありました。参加者は20代後半の選りすぐりの
人材です。確かに優秀。背景や情報整理が匠。

しかし、OT特有のConflict(葛藤状態)+量的プレッシャーが襲ってくるとパフォーマンス
レベルががくんと落ちました。OT終了後の振り返りで"自分がこんなにデキないとは
思わなかった"というコメントあり。良かったと思います。疑似体験ですが、
"凹み"を初めて実感したようです。次につながります。

更に、この凹み経験が少ない"逸材"たちは感情的に怒られるのに慣れていません。
上記企業とは別の企業ですが、OTの前半で"怒鳴られ、後々までそれがトラウマになって、
"それを避けるが第一優先になり判断軸がズレていきました。

私からの個別のフィードバックの際も、素材は極上、しかし、このままだと足踏みする
感のある人には丁寧に、かつハッキリと"こういう点を意識しない、さもないと・・・"
とやります。優秀な素材は希少な存在です。それを伸ばさない手はありません。

若いうちにいろいろなところで"自分は何てデキないんだ・・・"と痛感しまくりだった
人間が30歳くらいからスルスル伸びるのはこのためです。
(もちろん、デキないで終わらずに、そこから猛烈にキャッチアップするから伸びるのですが)

おまけ-1:若い逸材の男子のもう一つの弱点。年上の女性からの「説教」+「頭ナデナデ」攻撃に
めちゃめちゃ弱いです。

おまけー2:ここ数日、「凹み」モードです。まあ、キツイですが、51歳になっても「凹める」のは
ありがたいことです。(凹ませてくれる人の存在に感謝)

おまけー2:このOTの見学会(私が解説します!)を以下にて行います。ご希望の方は以下まで「
見学希望」としてお申込みください。(ご参加希望者は締め切りました!)

■開催日程
11月8日(金)9:00~18:00 (一部時間帯の見学も可)

■会場:場所:株)ディスコ 神楽坂HCスタジオ
http://www.disc.co.jp/corporate/map-kagurazaka.htm
 

 

 

Vol.475 たとえ誰かに嫌われても

一気に気温が下がりましたね。
寒暖の差で体調を崩しませんように。

さて、『揚げひばり(英題:「The Lark Ascending」)』という曲をご存じでしょうか。
英国人レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ1920年に書いたヴァイオリンとオーケストラに
よるクラシック曲です。

http://www.youtube.com/watch?v=djWhLihkVU8 (やや音源が悪いですが)

"あちらをたてればこちらがたたず"。柵(しがらみ)の中で身動きがとれなくなっていく。
そんなときに、この曲はおススメです。解き放たれます。

何かを変えていこうとすると、この、"あちらをたてればこちらがたたず"という状態に
陥りがちですスッパリどちらかを選べばいいのですが、これがなかなか難しい。
たとえ誰かから嫌われたとしても、自分の信念に照らして進めるべきことは進める。
何かを変えるには、そのくらいの意志の強さが必要です。

但し、"いいヒトと思われたい"、この思いが(潜在的にでも)あると、これはなかなか
辛い要求になります。なにしろ"いいヒトと思われたい人"は、関係者全員から好かれたい
と思っています。なかなか、"誰かに嫌われたとしても・・・"、という行動がとれません。
みんなから好かれたい(嫌われたくない)と思っていると、対立を避け、"その場しのぎ"
の対応になりがちです。その結果、辻褄が合わなくなったり、相手によって言うことが
変わってしまい、信用をなくします。

わかってはいるものの、誰もがこの状態に陥る可能性があります。

そりゃそうです。嫌われてもいい!と割り切るのはなかなかできるものではありません。
特に関係者のことを思えば思うほど、割り切れなくなります。だからといって、いつまでも
この状態を継続していると、最終的には全てを失います。"その場しのぎ"はしょせん
"その場しのぎ"。長くは続きません。

"折り合いをつける"、"建設的な妥協"という大人の言葉があります。利害が対立する
中での落としどころはこれ以外にあり得ません。

しかし、"落としどころ"というものは、一番最初から探るものではないはずです。
まずは誰かが"大きく変える"動きを取り、その結果、影響を被る関係者たちが
自分の中で消化して、"折り合い"という代替案が出てくる・・・、このステップだと思います。

最初から"落としどころ"を探していきますと、そこから意思が見えなくなります。
どうしたいのか、ここがハッキリしないと前に進みません。

何かを変える役割の方、リーダーですね、リーダーはこういうときに、"どうしたいのか"
をはっきり示す。これが何かを変える第一歩になります。その際、明快に「振り切る」のが
いいでしょう。そこから、関係者間の"建設的な妥協"へ導いていくのが経営スタッフの
腕の見せ所になります。

リーダーは進むべき方向を明らかに主張する。経営スタッフはその実現のために
利害関係者の調整をする。役割が違います。

経営スタッフを経験したリーダーは、この先の「調整」が見えているので、ついつい悩みます。
割り切れなくなります。そんなときこそ、意識して割り切る。頑張って割り切る。
で、見失いがちになったときに「挙げひばり」を聴いてみてください。
(自分に言い聞かせる余裕が生まれますよ)

リーダーは、「明快」「さわやか」「説明可能」がいいじゃないですか。
そういう役割だと思って、それを演じ切りましょう。


おまけー1:お待たせしました。11月8日(金)に「Organization theater:体験型ケーススタディ
の無料体験会を開催します。(たぶん、今年最後になります。)

ご希望の方はお名前、所属と役職、年齢をお書きの上、以下まで、お申込みください。
申込者多数の場合には抽選とさせていただきます。

日時:2013年11月8日(金) 9時集合 18時解散予定 ※ケースの進捗により前後します
場所:ディスコ 神楽坂Human Capital Studio
http://www.disc.co.jp/corporate/map-kagurazaka.htm

お申込み先:info@indigoblue.co.jp

おまけー2:「半沢直樹」で「倍返し」よりも印象に残っているのは、大和田常務役の
香川照之さんの「やれるものなら、やって・み・な!」です。 (あの顔の動きスゴイ)

おまけー3:田舎者とは田舎に住んでいる人のことではなく、「どこへ行っても自分のやり方を
押し通す人」のことですね。つまり、ダイバーシティと気配りを欠く人のこと。
(その主要因は"井の中の蛙")