柴田励司の人事の目

Indigo Blue メールマガジン

Vol.604 トランプ現象

トランプ現象を見て思います。アメリカはエリート受難の時代に入ったと。

 

誰かにとっての合理は誰かにとっての不合理です。利害関係者各々が自分の「理」を主張し、

一切の妥協をしないと、落としどころのない泥沼の争いに陥ります。だからこそ、

建設的な妥協案を共に探すべき。それが民度の高い知識人に求められる態度である。

エリートはそう教えられます。

 

自分の利ばかりを主張するのは民度が低い。そうではなく、関係者全員が共に泣き、

共に何かを得て、最終的には異なる利害を有する間であっても共存を目指す。

競争ではなく共創。エリートはこれを実現すべく知恵を絞り、汗をかこうとします。

(ちなみに、この考え方をParadox thinkingと言います。)

 

しかし、トランプを支持するアメリカの大衆は違います。他人のことなんか構って

いられない。理不尽、民度が低いと言われようが関係ない。そんなことを気にしている

余裕はない。とにかく自分の「理」を主張したい。

 

一方的に主張をする人たちの前にして、全ての利害関係者を意識するやり方は

通用しません。泣く子を前にして、やることはとにかく泣く子をあやすこと。

それだけです。そこにカッコよさは要りません。とにかく泣き止ませたら「○」です。

そうでなければ、いかに素晴らしい言葉やアプローチでも「×」。

 

こうなってしまうと、エリートが四方八方治まるような良い提案をしても聞く耳を持ちません。

自分のことしか関心がありませんから。そうなるとエリート的アプローチでは太刀打ちできません。

 

「この紋所が目に入らぬか。ここにおわす御方を、どなたと心得る。こちらにおわすは、

先の副将軍、水戸光圀公であらせられるぞ・・・」。水戸黄門の放送終了5分前の決めの

シーンです。ところが、相手が(紋所?副将軍ってなんだよ)という民度だと、決めの

ポーズをとっている3人をめった切りにしておしまいになるはずです。

トランプの攻撃的な主張に賛同する大衆を見ているとこんな感じなのかな、と思います。

 

日本はここまで「不満・不安」が蓄積されてはいないと思いますが、今後は予断を許さない

状況だと思います。歴史を紐解くと、どの時代でも不平不満が高まると「民衆の暴動」が

起きています。少し前までは暴動というと「暴力的行為を伴うデモ」でしたが、

今はそれだけではありません。暴動の手段も多様化しました。そう考えるとSEALDsの活動や、

「保育園落ちた。日本死ね。「(それを言っているのは)私だ」という動き、はたまた

SNS上で繰り広げられる有名人、芸能人叩き・・・。

 

もしかすると、政権与党のみなさんは昔の暴動のイメージがあるので、“まだ大丈夫”だと

思っているかもしれませんが、すでに「民衆による暴動」は起きていると考えた方がよいと

思います。かなり危うい状態だと思います。

 

不満のホットスポットは「ママさん社員とその周辺」「非正規雇用者」「偏差値の低い大学の

就活生」「引退後のアスリート」などなど。そろそろ待ったなしだと思います。

 

ちなみに、私が会長を務めるマードゥレクス社ではワーキングマザー先輩社員が

「ワーキングマザーとして働くときの心構え」について伝授する「ママさん会」なるものを

やっています。これは素晴らしい試みなので、Project Dressで取材してもらうことにしました。

記事になりましたらお知らせしますね。

 

 

おまけー1:“焼きそば”って本当は“炒めそば”じゃないのか、と真剣に議論する中国人たちと

遭遇。聞き耳をたてていたら、“ぺヤング”は何そばか、が正しいのかに議論が発展。

あれは何そばなんだろう?

 

 

おまけー2:いま発売中の雑誌THE 21で「原点の1冊、これからの1冊」のコーナーで

おススメの書籍を紹介しています。107Pです。

 

 

おまけー3:6月3日(金)の夜に社会人2年目限定のキャリアトークを特別開催します。

社会人2年目の方々同士の悩み共有と私のキャリアトークの場です。

お近くの2年目の方にお声がけください。

 

https://indigoblue.co.jp/career_talk/

 

 

Vol.603 「同一労働同一賃金」の本質

同一労働同一賃金」。この考え方に反対するヒトはいないでしょうが、どのように

“料理”していくのか・・・。興味ありますね。しかし、このテーマだけに着目して

対策を検討してしまうと、おかしな展開になります。

 

そもそも「同一賃金同一労働」が叫ばれているのは「“非正規”社員の報酬が低過ぎる」

ためです。これを放置しておくと、好ましくないことが起きます。(あえて“非正規”

という表現を使っています。)

 

例えば:

 

‐“非正規”社員として働いている人たち(世帯)の生活保護・教育問題が拡大し、

  社会保障費がさらに膨張する

 

‐“非正規”社員として働いている人たちの“不幸せ”感情・不満がさらに蔓延し、

  世情が荒れる、

 

‐ 隙間の時間を活用して働こうというインセンティブが働かないので、主婦層による経済活動が

  なされない(人口減少下の日本としては”人的資源“の有効活用がなされないのでGDP

  上がらない)

 

これは良くない。だからなんとかしよう、という文脈から出てきたのが「同一労働同一賃金

だと思います。

 

となると、議論の深堀りの対象は「“非正規”社員をめぐる構造的な問題」のはずです。

ここを取り違えると「そもそも同一労働とは?」といった解のない議論に落ちていきます。

(もう既に落ちているのが気になります。)

 

国の経済は、ヒトの力(労働力、知力、ネットワーク力等)のシグマ(総和)で決まります。

日本は人口が減少しているので、全員が生き生きと活動していかないと将来が危ういです。

衰退してしまいます。だからこそ、生活しやすい、成長しやすい、働きやすい、そういう

国づくりを国民全員で目指しましょう、という動きがあるわけです。

 

これが「1億総活躍社会構想」だと思います。このスローガンに大賛成です。

 

しかし、進め方に課題があります。1億総活躍社会にするための”詰将棋“が見えないのです。

見えるのは詰将棋の一つ一つの要素の話ばかり。「同一労働同一賃金」はまさにその一例です。

全体の詰将棋の指揮がないと、各々の要素の議論になり、要素間の対立・衝突が起き、

前に進まなくなります。

 

これは企業においても同じです。全体戦略とその指揮がないと、それぞれの現場がその場しのぎ

の戦術でなんとかしようとします。一時的にはなんとかなりますが、あくまでも“その場しのぎ”。

全体観がないので成長していきません。戦術間の矛盾が表面化し、思いがけない方向に展開します。

さらに、“しのぎ”の連続で組織は疲弊します。

 

しかし、現場は現場で見えていることを一生懸命やっています。ここを批判しても仕方ありません。

全体の方向性、他のバランス、スピード感、これらを調整しながら詰将棋を進めていく動きを

誰かが担わないといけません。企業の場合、それを司るのがトップマネジメントの役割です。

 

まずは全体の詰将棋を整理すること。詰将棋とは戦略目標(ゴール)を実現するための道筋です。

 

部門長と一緒に整理するのが理想的です。しかし、構造改革が急務の場合にはその限りでは

ありません。現場を指揮する部門長たちが従来の進め方の意識のプールに留まっているとしたら、

トップダウンでやり方を変えないと改革できません。

 

目先の現象に気を取られ過ぎると全体を見誤ります。全体観です。全体を司れるのはトップだけ。

見るに見かねて特定の詰将棋の要素を自らドライブし過ぎてしまうとバランスが崩れます。

ここは要注意。

 

さて、「同一労働同一賃金」問題。これは「“非正規”社員をめぐる構造問題」です。そもそも

“非正規”という呼称が良くないと思いませんか。ここでは便宜上“非正規”としていますが、

正規ではない、という表現を使う意識がおかしい。

 

 

この問題は深い問題です。そのうち持論を書きます。

 

「この国には何でもある。だが、希望だけがない。」(「希望の国エクソダス 村上龍」。

この強烈なフレーズを思い出します。

 

 

おまけー1:岡部に向かう電車を待って東京駅フォームで立っていたところ、“Excuse me?” と

2回連続してアジア系の外人(しかもいずれも女性一人!)に声をかけられました。逆ナンではなく

、どの列車に乗ったらいいかという質問。アジア系の外人にしてみると話しかけやすいようです。

 

(そういえば、香港やシンガポールで日本人に英語で道を聞かれます。何人に見えるんだろう。)

 

 

おまけー2:昨日もタクシーに乗った瞬間に米国人の友人から着電。バカ話をした後で

タクシーの運転手さんから「チャイニーズ?」

 

「・・・、サイアニーズ」 と言いたかったのを我慢しました。

 

 

Vol.602 距離感づくりの達人たち

「柴田さん、今日は東京にいらっしゃいますか?」

 

水曜日の朝、1本のメールが入りました。マーサー時代に人材紹介でお世話になった

Mさんからのメールです。

 

この日はパスの取締役を含め、合計11の予定あり。空きは12時~12時30分のみでしたが、

久しぶりにお会いしたかったので、この昼飯どきに来てもらいました。

 

Facebookで彼の近況について見ていましたが、直接話すのは数年ぶり。しかし、顔を

合わせるや否や、すぐに時間の壁はなくなりました。秘書の佐々木さんに用意して

もらったお寿司を食べながら近況を話し、あっと言う間の30分でした。

 

数年ぶりに“いきなりやって来て時間の壁を無くす”。この感じがいいですね。

 

精神的な距離感。これがヒトとヒトとの関係性を決めます。この距離感の取り方が

抜群にうまい人たちがいます。Mさんもその一人。

 

「胸襟を開く」「腹を割って話す」。英語でもHeart-to-heartと言いますよね。

まずは、自分の“見栄”や“格好づけ”を無くす。これで相手も同じことをしやすくなり、

打算や下心なしに、まさに心と心がつながるわけです。

 

しかしこれ、タイミングが重要です。相手がその気になっていないときに、自分だけ

“腹を割って”も相手は馴れ馴れしいと思います。近すぎるのです。また、この逆もダメ。

いつまでたってもよそよそしいと思われます。遠すぎるのです。

 

相手に対してへりくだるのもダメ。仮にそれで相手が気持ち良くなったとしても、

優越感を維持しようとして“格好づけ”をするので相手が疲れます。この関係性は長続きしません。

 

近すぎず遠すぎず。優越劣位なし。この距離感です。

 

先日、“土のデザート”を出してくれるお店に連れて行ってくれたIさんも距離感の

取り方が抜群にうまいおひとりです。Iさんは日本を代表する誰でも知っている企業の

常務なのですが、“偉い人”オーラを出されません。初めてお会いしたのは2年ほど前ですが、

あっと言う間に絶妙な距離感を創ってくださいました。

 

15年来の友人のTさん。この人はすごい。相手が誰であっても、良好な関係性をつくる

天賦の才があります。駐日アメリカ大使とも気軽に距離感を構築されているので、

さすがに驚きます。このTさんが友人・知人を招いてのホームパーティや勉強会ができる

邸宅を埼玉県に建設しました。彼の長年の夢の実現です。

 

何度がお誘いいただいていたのですが、日程が合わず。このGW中にようやくお伺いすることに

なりました。(せっかくなので、邸宅訪問を季刊誌「DRESS」で取材させてもらうことにしました。)

 

距離感の達人。彼らの特徴は私利私欲がないことです。自分の売り込みや頼みごとは一切なし。

単純にその人との関係性を楽しんでいます。この自然体があっと言う間に絶妙な距離感をつくる

秘訣だと思います。彼らと比較すると私はまだまだ生臭い。見習わなければ。

 

ところで、冒頭のM氏の要件はなんだったんだろう?

 

 

おまけー1:地下鉄内で耳にしたとある家族の会話。

 

母親:来月、嵐がくるんだって!

娘:ほんと!? 学校休んで行こう!

祖父:ん? 植木、大丈夫かな・・・

 

おまけー2:「シビル・ウォー」(アベンジャーズシリーズ)にアントマン出るみたいです。

それどころか、スパイダーマンも出るみたいです。これはエライことです。見に行かねば。

 

http://ciatr.jp/topics/39609

 

 

おまけー3:DRESSのWEB版。読者激増中です。ぜひ、ご覧下さい。

 

https://p-dress.jp/

 

 

Vol.601 不正行為の組織的隠ぺい

今日のテーマは「不正行為の組織的隠ぺい」です。

 

三菱自動車で「燃焼偽装」の報道がありました。

またしても「不正行為の組織的な隠ぺい」です。この手の問題はなくなりません。

記憶に新しいところでは「化血研」、「東芝」でも同様の問題がありました。

 

「組織的隠ぺい」、これは大組織に潜む爆弾です。トップからすると非常に怖い話です。

なにしろ、その爆弾が見えません。それでいて爆発すると自分の首が飛びます。

大きな志も夢もおしまいです。

 

不正行為の組織的隠ぺいが発覚するとトップの責任問題が問われます。最終責任者ですから、

これは当然です。但し、残念ながらトップを代えたところでどうにかなるものではありません。

しばらくして、また隠ぺいが発覚します。これはそんなに簡単な問題ではないと思います。

複雑です。ヒトの心の弱さに起因しますので。

 

一般的に、隠ぺい行為が起きるのは次の構造です。

 

主人公は“何かが明らかになると困る”誰かです。その“何か”が明らかになると、

自分の立場、地位、報酬、評価が崩れてしまう。それを恐れて、その“何か”を

隠ぺいするわけです。その不安、恐怖心から、物事の是非が見えなくなり、

隠すという行為に至るのです。

 

この行為に至る根源的原因は、自分に対する「実力以上の期待感へのプレッシャー」です。

 

たまたま、その期待に応えることができた。しかし、それが続くとは限らない。想定以上の

処遇(地位や報酬)を得てしまった。そこから転落するのが怖い。そうならないためには

何でもする・・・。この心象風景です。家庭でその処遇を当たり前とするプレッシャーがあると、

この行為に拍車がかかります。

 

もう一つあります。それは「対人的ストレス耐性の弱さ」です。仕事上のストレスには

「対人」と「対課題」があります。「対人ストレス」に弱い人は、感情的に怒られることを

極端に嫌います。そうならないためなら、嘘もつきます。嘘に嘘の上塗りもします。

“できないこと”であっても、怒られたくないので“できる”と言ってしまいます。

 

(ちなみに「対課題ストレス」に弱い人はその逆です。課題の量的負担が大きくなると

“できること”であっても“できない”と思えてしまいます。)

 

これらのマインドセットにある中間管理職がその心の弱さから「不正行為の隠ぺい」の

主人公になりがちです。

 

日本人はルールを守らない。外資系企業の外国人エクゼグティブによく言われます。

確かに、やってはいけないという通達があっても、ついやってしまう。そういう日本人が

散見されます。その逆もあります。やるべきことなのにやらない。日本人ほど上司の

指示命令を無視する国民はいないと言われます。

 

無知でルールを守らないのではありません。守るべきルールだとわかっています。

ところが実践しないときがある。しかも、それに対する罪悪感が希薄です。注意されると、

その場では深く反省します。しかし、同じことを繰り返しがちです。このメンタリティは謎です。

たばこのポイ捨て、自転車の信号無視はその身近な代表例です。

 

特定の宗教観をもつ日本人が少ないことも原因かもしれません。常に特定の神を意識していると、

神様が見ているという意識から変なことはできません。それがないから、やってしまうの

かもしれません。

 

“やってはいけない”というルーツが多すぎるのかもしれません。あれもダメ、これもダメ、

となりますとさすがに全部守っているわけにはいかない、となるのかもしれません。

罰則が緩いという説もあります。

 

理由はともかく、ルールを守らない部下がいて、それを改善しようと努力に努力を重ねても

一向に改善しない。そうなると先の転落への恐怖や、社内で糾弾されるのを恐れて

隠ぺいするという行為が起きてもおかしくはありません。

 

この状態にならないようにするためには、トップマネジメントチームが組織の感情に

敏感になること。そのための働きかけをすること。追い詰められている中間管理職が

いないかどうかを調べること。これらの活動を組織内に埋め込むこと。これしかありません。

これも組織開発という文脈の話です。組織開発への働きかけなしに不正の組織的隠ぺいを

減らすことはできません。

 

 

おまけー1:私も同じ過ちを繰り返すことがあり、身近な方々には迷惑をかけています。

ごめんなさい。しかも、悪気なくやっているので、ミスタービーンのようだ、と怒られます。

こればかりは自分を見つめる自分を意識し続けるしかないですね。

 

おまけー2:「アベンジャーズ」にアントマンが出ていると主張し続けている人がいます。

auさんの桃太郎シリーズのCMにこっそり一寸法師は出ていたようですが、アントマンいたかなー。

 

http://by-s.me/article/207304751259143499

 

 

おまけー3:知人の石橋真さんがいい本を出しました。

「困難を乗りこえる強い自分のつくり方」(アスカ出版)さらっと読めて心に刺さります。

 

http://www.amazon.co.jp/%E5%9B%B0%E9%9B%A3%E3%82%92%E4%B9%97%E3%82%8A%E3%81%93%E3%81%88%E3%82%8B-%E5%BC%B7%E3%81%84%E8%87%AA%E5%88%86%E3%81%AE%E3%81%A4%E3%81%8F%E3%82%8A%E6%96%B9-%E3%82%A2%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9-%E7%9F%B3%E6%A9%8B-%E7%9C%9F/dp/4756918301/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1461416267&sr=8-1&keywords=%E7%9F%B3%E6%A9%8B%E7%9C%9F

 

 

Vol.600 投資されるヒトになってください

4月に入社した新人が現場に配属され始める頃ですね。私が会長を務めるマードゥレクス

社でも3名の新人を迎えました。先日お会いしましたが、まさにフレッシュ。

そういう新人に会うとこちらも身が引き締まります。

 

ということで、先週に続き新人へのメッセージです。(パクり、転送、シェア歓迎します。)

 

“投資される人になってください。”

 

上の人があなたに投資したいと思う。そんなヒトになってください。

 

企業の業績はどの業種・業態であっても次の要素で決まります。

 

「売りもの(商品・サービス・企画)」の良し悪し

「売り方(戦略・戦術)」の独自性

「実行体制(組織とヒト)」の確かさ

 

ここに「追い風・無風・逆風」という、統制できない「環境要素」が加わります。

 

「売りもの」は悩ましいです。力を抜くと勝てませんが、力を入れたとしても同じモノで

勝ち続けるのは困難です。一時的に市場を席巻したとしても、あっという間に模倣品や

改善品が出てくるものです。法的対応でなんとかなるものばかりではありません。

ここは既存の商品・サービス・企画のブラッシュアップと新たな試みへのチャレンジ

という不断の努力しかないのです。

 

その不断の努力をするのは「ヒト」です。

 

「売り方」で差別化を図るのはさらに困難です。誰もが思いつかないような神業戦略を

思いつく確率は(ないとは言いませんが)低いでしょう。それでも自社の優位性が

効果的に訴求できるようにギリギリと知恵を絞るしかありません。

 

この、ギリギリと知恵を絞るのは「ヒト」です。

 

優れた売りものや作戦があっても、実行できないと意味がありません。最終的には体制

(組織とヒト)で決まります。ここも「ヒト」、「ヒト、ヒト、ヒト」なのです。

 

経営資源は「ヒト、モノ、カネ」といいますが、実際には「ヒト、ヒト、ヒト」です。

ヒトが最大の資産であり、資源なのです。優れた集団にすることが業績向上への

最強の手段になります。だから各社とも「人材育成」に力を入れているのです。

 

この「育成」ですが、全員に対して等しく行うのは「新人研修」とその仕事をするために

必要不可欠なスキルや知識をインプットするものだけです。ヒトとしての器を大きく

するための育成は「見込みがありそうなヒト」だけが対象になります。

ここが「学校」とは違います。

 

どのような仕事をさせるか、誰の近くに置くか、自分の成長領域にいかに気づかせるか、

これが成長支援の最大の要素です。研修ではありません。経験です。成長させるための

経験をいかに積ませるか。これはそのヒトへの投資に他なりません。

投資ですから、最もリターンが大きそうなヒトに集中的に行うのは当たり前です。

 

上の人たちに“あいつをどう育てるか”と思ってもらわれませんと、永遠に自分への

投資機会は訪れません。

 

但し、自分を認めてもらおうという動きはダメです。それは見透かされます。

先週も書きましたが、そういうことではないのです。自分ために働くのではなく、

周囲のために一生懸命働くこと。そうすれば必ず“あいつをなんとかしてやろう”と

思われます。頑張ってください。

 

 

おまけー1:メルマガも気づけば600号。よく続いていると思います。

(1,000号に到達したらお祝いの特別企画を誰かが考えてくれるに違いない・・・)

 

 

おまけー2:Natural Lawsonで売っている久保田の「ミルク」アイスキャンディーは

美味しいです。たまに買占めたりしています。

 

おまけー3:アラフォー女性のための部活がすごいことになってきています。

メルマガを読んでいただいている女性の方へ。ぜひ、お友達を誘って遊びにきてください。

 

https://p-dress.jp/cate_bukatsucalendar

 

(まずは無料会員登録からお願いします。 (^^)/ )

 

 

 

Vol.599 新入社員へのアドバイス

お近くに「期待の新入社員」がいましたら、このメルマガを転送してあげてください。

社会人として31年先輩で、うち16年「社長的な仕事」をしている“おじさん”からの

アドバイスです。

 

 

将来、大きな仕事をしたい、影響力のある役職に就きたい、思う存分仕事をしたい・・・。

そう思っているなら、次のことを実践してみてください。

 

「上司、先輩、同僚、取引先。相手が誰であっても、その人が“どう思うか”

を考えて行動する。」

 

“相手にどう思われるか”ではありません。相手がどう思うか、です。

 

相手がありがたいと思う、助かったと思う、不快に感じない。これらを意識して

動いてみましょう。

 

例えば、

 

・荷物をたくさん持っている人がいたら手伝う

・時間に追われている人がいたら、自分で役に立つことがないか尋ねる

・相手を待たせない。(遅刻は絶対にダメ)

・気分を害している相手に自分の言い訳をしない

 

あくまでも相手基軸。褒めてもらおうという下心は透けて見えます。

そういうことではありません。自分を捨てて、相手のために動く。これを実践してみてください。

 

自分に課せられた仕事は120%やる。これは大前提です。その上で、周りの人たちのために

動くのです。他人のことばかりやって、自分の仕事はおろそか。これだと周りの人は

“ありがたい”とは思いません。

 

自分がやるべきことは大至急マスターしてしまいましょう。反復練習、朝練、闇練をして、

超短期間でマスターするのです。1週間でマスターせよ、と言われたら3日で。3日でと

言われたら1日でマスターするつもりで動きます。

 

そのときに周囲に迷惑をかけてはいけません。あくまでも自分の時間の配分と集中力で

なんとかするのです。その仕事がどんなに単純な作業であっても経験者にはかないません。

馬鹿にしてはいけません。必死にやらないとその人のレベルにはなりません。

 

短期間でマスターするための秘訣があります。“真似る”のです。テキパキと仕事を

片付ける身近な先輩を見つけて、そのしゃべり方、歩き方、仕事の仕方、すべて真似ます。

形を真似ているうちに身についてくるものです。

 

仮に自分が思い描いていた仕事と全く違う仕事を与えられていたとしても同じです。

四の五の言わずに、必死に短期間でマスターする。すべてはここからです。

 

これをやっていると必ずや次のステップにつながります。仮にその会社が“ブラック”で

使い倒されそうになったとしても大丈夫。必死にやったことは別の場所で必ず開花します。

 

 

最後に、なんらかの基準で選抜されて入社した人へ。幹部候補として採用された人へ。

 

あなたの優秀さを他人のために使ってください。その“優秀さ”は天賦の才とご自分の努力に

よるものでしょうが、“優秀さが花開いているのは周囲の理解とサポートがあったからこそ、

のはずです。

 

”優秀さ“を鼻にかけて、周囲を軽んじてはいけません。周囲から”あの人と一緒に働きたい

“と思われるような存在になってください。

 

フランスの詩人ポール・フォールの「輪踊り」(堀口大學 訳)を贈ります。

 

世界中の娘さんたちがみんな

手をつなぎ合う気にさえなったら

海をめぐって輪踊りを

踊る事さへ出来ように。

 

世界中の若者たちがみんな

船乗りになる気にさえなったら

海に綺麗な舟橋を

かけることさえ出来ように。

 

世界中の人たちがみんな

手を握り合う気にさえなったら

地球をめぐって輪踊りを

踊る事さへ出来ように。

 

“みんなをその気に”させて、チームを一枚岩にする。

そのためにあなたの“優秀さ”を使ってください。

 

 

おまけー1:「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」、観たいなーと言ったら、

「仲良くすればいいのに」とYさんがぼそり。(確かに)

 

 

おまけー2:若い嫁をもらったAさんとSJさんの会話。

 

SJ:嫁さんはAさんのどこに惚れたんですかね

A:禿げてるところだって。だから禿をやめられないんですよー。(禿ってやめられるのか)

 

 

おまけー3:季刊誌に生まれ変わった「DRESS」。発売しました。

“人生最高のサードプレイスの見つけ方”これがメインテーマです。表紙モデルには

原田知世さんに登場いただきました。私もコラム書いています。

 

https://p-dress.jp/articles/1618

 

 

 

Vol.598 心地いいと思わせる人の秘訣

“あ、心地いいな”と思わせる人がいます。

 

そう思わせているのは話の内容ではありません。波長です。間合いが合う、話していて

ストレスがない、話が弾む。または黙っていても心地いい。波長が合うとこうなります。

 

この波長。人それぞれに違います。当然ながら合う人もいれば、合わない人もいます。

 

ところが、どんな波長の人に対しても“心地よさ”を感じさせる人がいます。

そういう人が職場にいると組織内の感情が安定します。その人が人と人をつなぐ

触媒役になるからです。

 

人と人をつなぐ。つまり、人と人の波長を合わせる、この秘訣は何か?

私は「リアクションの仕方」、「表情」、「語気」がその秘訣だと考えています。

 

まず、相手の話をきちんと聞く。ここが第一歩です。適度なアイコンタクト、

あいづち、リフレーズ。

 

リフレーズとは、相手が話している内容の一部を繰り返すことです。

 

“昨日、コンビニでさー”という発言に対して、“コンビニで?”というような反応を

します。これがリフレーズです。

 

また、自然な会話の中で相手の文章が完結していないことがよくあります。それを

あいづち代わりに完結させる。これも波長を合わせるリアクションの手法になります。

こんな感じです。

 

“コンビニでさ、キャッシャーがすっごく混んでて・・” という発言に対して、

“・・・待ったんだ”、と応えます。

 

こうしたリアクションですが、そのやりとりだけでは波長は合いません。そのときの

「表情」が決め手になります。

 

相手の表情を受け止め、表情で返します。心地良さを感じさせる人は、話している相手の

表情を表情で受け止めています。明るい表情には明るい表情で、悲しい表情には悲しい

表情で。表情のミラーリングをしています。

 

表情が乏しい相手に対しても、表情でリアクションをしていきます。それにより、話し手の

表情が少しずつミラーリングしてきます。表情が出てくると気持ちも“アガって”きます。

それが話し手の気持ちを高揚させ、波長を合いやすくさせるのです。

 

更に決定的な要素があります。「語気」です。「語気」がソフトであること。

「語気」が強いのは完全にNGです。

 

「語気」の強さには、“いいから黙って話を聞け”というメッセージが出ます。

これは明らかな「拒絶」です。「拒絶」している相手と関係性を築こうと思うのは

よほどの場合です。相手側にその“よほどの理由”がない限り、「語気」のせいで

相手の気持ちが萎えます。

 

語気が強くなるのには理由があります。意見されると困るとき、何かを隠したいとき、

相手を黙らせたいとき・・・。いずれにしても波長を合わせるのとは逆のモチベーションが

働くときです。表情もそういう表情になってしまっているはずです。それは相手にも伝わります。

そうなると誰とも波長が合わなくなります。

 

中には自分の「語気の強さ」に気づいていない人がいます。こういう人にどうやって

気づいてもらうかですが、

「直接、指摘する」。このやり方はおススメできません。火に油を注ぐことになりかねません。

 

そもそも語気の強さは“攻められないための防御”ですから、直接の指摘を“攻撃”と

捉えて激しく反応します。

 

むしろ、語気が強い人に対しては、意識的に語気をソフトにして対応する。相手を

受け入れることを強く意識して包容力をもって接するのが一番です。心の中で“あなたの敵

ではない”“あなたを受け入れたい”、そう思いながら接するのです。それが相手の

語気を収めます。

 

これらの秘訣を組織のリーダーが実践できると心地よい組織が生まれます。

リーダーに求められる大事な要素の一つだと思います。

 

 

 

おまけー1:経営者、人事の方へのご案内です。体験型ケーススタディ(Organization Theater:OT)

を異業種間で体験できるイベントを4月22日(金)と5月30日(月)に開催します。

 

https://indigoblue.co.jp/ot_entry/index20160422.html

 

 

まだOTを体験したことがない企業のみなさんへ。ぜひ、お試しください!

 

おまけー2:家の近くの銭湯に出かけてみました。手ぶらOKとあったので、前から気になっていたのです。

都内の銭湯ですが、昔ながらの番台のおばさん、白鳥と富士山の絵。ケロヨンの桶。

それよりも銭湯に来ている人たちがみな“訳あり”そうなヒトばかりで不思議な空間でした。

ちなみに460円でした。

 

おまけー3:ロボット:ソフィアの映像です。未来が透けて見えます。

 

http://roboteer-tokyo.com/archives/3499/2