柴田励司の人事の目

Indigo Blue メールマガジン

Vol.502 相性が合わない部下との関係性

"思ったようには動いてくれない。仕事ができないかというとそうではない。
周囲への影響力も強い。"
 
こういう部下は上司にとって一番悩ましい存在です。特にその人が自分より
年上だったり、異性だったりすると余計にそうです。寝ても覚めても、その人の事が
気になってしょうがない。靴の中の小石みたいなものです。それがあるので、
何も考えずに全力疾走することができない。
 
多くの課長が持っているであろう、この悩みを解決しましょう。それが組織のスピードと
実行力を高めます。
 
しかしながら、課長にしてみると、この手の悩みはなかなか言いづらい。自分の
マネジメント力の無さを露呈するようなものだと思っているからです。
 
仕事ができない人のことだと言いやすい。周囲の評価と自分の評価が一致していますから。
仕事はできるが、扱いにくい人の話ですと、そうはいきません。それはあなたの問題だと
言われそうな気がするからです。事実そういう反応をする上司(部長)は多いでしょう。
共感してもらえないからこそ、悩みが深くなる。
 
ケミストリー(相性)が合わないのです。あなたが合わないと思っているなら、その相手も
合わないと思っています。だから相互に距離を置くのです。どんどん接触を避けるように
なります。結果として、ますますわかりあえなくなる。しかし、双方共に相手のことが
気になっています。全力で仕事をする環境ではありません。
 
こういう場合には何らかの処方箋が必要です。自然解決はしません。
 
大企業であれば配置転換は一つの救済策になります。しかし、この際に課長が異動対象者に
気を遣い過ぎて昇格・昇給込で異動させることがありますが、これはダメです。本質的な
解決になっていない上に、本筋ではない昇格・昇給をすると後々問題化します。
 
課長がこの問題を改善できるようにするための場をつくったり、そのための適切な
トレーニングを企画する。それこそ、本当の意味での課長力強化になります。経営者や
人材育成責任者が考えるべきことです。
 
論理的思考力や計数管理力を課長研修のプログラムの主軸に置くことがありますが、これは
テキストを示して、テスト(e-learning)で良いと思います。更に言えば、これらはもっと
前の段階で習得しておいてもらいたい内容です。入社3年~5年目までに仕上げましょう。
 
人との関係性をいかに築くか、これはずっと難しい。勉強でなんとかなるものではないからです。
しかしこれは上になればなるほど問われます。上になればなるほど、いろいろな利害関係者と
良い関係性を築かないといけませんから。但し、これは一朝一夕に身につくものではありません。
初級管理職のときからじっくり取り組むべき内容です。
 
ケミストリーが合わないタイプというのは客観的にわかります。その人の指向性から
類推できます。まずはここを頭で理解することから始めましょう。その上で、自分が
合わないタイプの人とどう関係性を築くか。これは基本編です。その上で、実際に今、
"靴の中の小石"化している人とどのようなコミュニケーションをとり、自分が抱えている、
その人との関係性をいかに改善していくか、これが応用編です。
 
応用編では自分の心の持ちようが問われます。自分が"保身"モードにあると絶対に関係は
改善されません。"自分のスタイルは変えない。そっちが変われ。"は却って関係を悪化
させます。いかに自分を溶解させるか。自分が硬い殻の中にいては相手を溶解させることは
できません。ここは自分自身への深い内省なしには進みません。
 
「課長」を「部長」や「社長」と置き換えても全て言える話だと思います。
 
これまで、多くの現場でこの問題に遭遇してきました。社長として、顧問として、
コンサルタントとして。そのノウハウと経験値をまとめて世の中に還元しようと思っています。
 
 
おまけー1:喋っているときの表情から多くのメッセージが出ます。ということで、
「空気を読むを科学する研究所」の清水代表によるセミナーのご案内です。
5月15日(木)19時~ 場所はフォーシーズンズ志木ふれあいプラザ です。
(詳細はこちら)
 
 
おまけー2:今回のメルマガのBGMとして最適な曲:パッション・カシェ~秘めた思い~
 (作曲: 松本 俊明 / ピアノアレンジ: 秋 敦子)です。
 
 
 
おまけー3:米は炊飯器で変わる!ちょっと高めの炊飯器を購入。本当に違います。(実感)
(ベッドと炊飯器はいいモノがいい!)